日本語ラップ・シーンの興隆、エンターテイメントとしてのMCバトルの流行……今や、ポップカルチャーと呼べるほどに市民権を獲得したヒップホップ。フリースタイル信じてたら韻辞典は禁じ手
あくまで参考 俺は先んじて言っておこう キングギドラ「見まわそう」歌詞より抜粋
その歌唱法であるラップ(Rap)において、欠かせない要素といえば「ライム(韻)/ライミング(韻を踏む行為)」です。
韻を考えるという行為は、初学者がラップに挑戦する際、大きなハードルのひとつとして立ちはだかっています。
ラップで韻辞典を使うのは本当に“禁じ手”か?
ところで、筆者はラッパーとしても活動をしているのですが、ヒップホップのある風潮に長らく疑問を抱いていました。韻辞典(音韻検索ツール)は、本当に“禁じ手”なのでしょうか?
もちろん、その場で描写したかのようなフリースタイル性がラップの面白さであり、醍醐味であることは確かです。
しかしその一方、自分の表現したいモノ・コトをより高い密度で伝えるため、外部のツールを活用することが悪いことだとは筆者には思えません(それこそ、“韻辞典は禁じ手”に続く「見まわそう」のリリックは“あくまで参考”です)。
米ラッパーのエミネム(Eminem)さんも、学生時代に辞書を読み込んでいたことを過去のインタビューで語っています(外部リンク)。
痒い所に手が届かない、現代の音韻検索ツール
古くは、いとうせいこうさんのアルバム『MESS/AGE』に付録されていた「THE RHYMING BIBLE 福韻書」にはじまる韻辞典。インターネットの普及以降、「韻検索-作詞支援ツール(外部リンク)」や「韻ノート(外部リンク)」など、Web上で使用できる音韻検索ツールが登場するようになりました。
しかし、前者は固有名詞が大量に登録されており、後者は5文字以上の音韻でその真価を発揮。
これはあくまで私見なのですが、名詞のみで構成されたライミングよりも、それ以外の品詞(動詞や形容詞など)やそれらを組み合わせた句も交えつつ構成されたライミングの方が、より洗練された仕上がりになる印象があります(しばしばラップとダジャレが混同されてしまうのには、この名詞のみで構成されたライミングが原因のひとつであると思います)。
また、そもそもライミングはラップのリズムを強調するという役割を担っているため、5文字以上で踏む大ネタだけでなく、2・3・4文字で踏む小技を活用する機会も少なくありません。
前者・後者ともに、いかんせん痒い所に手が届いていないという印象がどうしてもあります。
そこでいよいよ本題。今回は、現在Web上に存在する音韻検索ツールが抱える課題を、話題の対話型チャットAIボット「ChatGPT」が解決できるかを検証したいと思います。
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