Engadgetの報道では、InstagramへのNFTの詳細な導入方法については明かされていないが、既存のNFT作品を利用するだけでなくInstagram内でミント(NFTトークンを作成・マーケットプレイスへアップロードし、ブロックチェーンへの紐づけが行われること)できるようになることを示唆しているとされている。
アートの民主化を巻き起こすNFT
NFTは、取引の記録が連鎖的に集積されるブロックチェーン技術を利用し、データの固有性を担保する技術。ブロックチェーンでは、誰が誰とどこで取引を行ったのかという記録が改ざんを防ぐための暗号に組み込まれていく。
それを利用しNFTをアート作品に紐づけることで、作品が取引されていったとしても、最初の出品者(≒作品の作者)をたどることができ、作品の真贋性の担保に役立つ(あくまで、Aさんが出品したデータが「Aさんが出品したデータ」であるということが担保されるだけなので、Aさんが本当に作品の作者か、データの盗用などを行っていないかなどはまた別で証明を行う必要がある)。
そのデータの固有性を担保できるという性質によって、これまで複製の簡単さなどから販売方法が限られていたイラストやデジタルアートを販売しやすくなっている。
ブロックチェーン技術を活用したアート流通などのためのインフラ「Startrail」を開発するスタートバーン株式会社代表の施井泰平さんは、KAI-YOUのインタビューに対し、NFTでは作品の真贋がシステムによって担保されているため、審美眼や専門知識がなくてもアートマーケットに参加でき、アートの民主化が起きていると語っている。
続く大企業のNFT参入に反対の声も
現在、大企業のNFTへの参入が続いている。例えば、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで展開されているTwitterの月額有料制サービス(「Twitter Blue」ではNFT作品をアイコンに設定)できる。
また「Twitter Blue」とは別に、ラッパー・エミネムさんが、「Bored Ape Yacht Club」というコレクションから自身をモデルにした1作を購入しTwitterのアイコンにするなど、NFTとSNSの接点は広がっている。
画像はエミネムさん公式Twitterより
そのことによる環境問題への影響も懸念されており、スクウェア・エニックスの代表取締役社長・松田洋祐さんが2022年の「年頭所感」にてNFTへの参入を表明した際には、海外のゲームコミュニティから反発の声が上がった。
そういった意見もあり、ゲームの開発者たちが意見交換を行うイベント「Game Developers Conference」に際して行われたアンケートでは「興味ない」という回答が70%を占めた。
同アンケートには「誰かがJPEGを『所有』していることを確認するために熱帯雨林を焼き払うことを是認するのは避けたい」という厳しい意見も寄せられている。
NFTについては、新たな技術を利用し躍進を遂げるクリエイターがいる一方、反発も起きているのが現状だ。
筆者個人としては、さいとうなおきさんが語っているように、クリエイターがクライアントワークに頼らず収入を得られるということは、不利な条件のクライアントワークなどから身を守る術にもつながると考えているため、課題の解決やルールの整備が進み、クリエイターたちがより活躍できる環境が整っていってほしいと願っている。
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