連載 | #6 アニメーションズ・ブリッジ

テレ朝がアニメに活かす“中継権”とは 『リーマンズクラブ』インタビュー

榎木淳弥の生々しい演技でキャラが立体的に

──メインスタッフはどのように決められたのでしょうか? 特に山内愛弥監督は今作が初監督です。最近では『東京リベンジャーズ』での各話演出が印象深い演出家ですね。

遠藤 山内監督はライデンフィルムさんからご推薦いただきました。ライデンフィルムに所属されている方なんですが、『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』など他社作品からもお声が掛かるくらいクリエイティブ面に優れた演出家さんです。企画をご説明したところ内容やビジョンをすぐご理解いただけたので、ぜひお願いしたいなと思い決定しました。

──キャラクター原案は『夜桜四重奏』のヤスダスズヒトさん、キャラクターデザインは『マクロスΔ』のまじろさんです。

遠藤 監督とライデンフィルムさんとともにキャラクター原案を誰にするか候補を出しました。その中で、バドミントンプレイヤーには細マッチョが多いので、スタイリッシュなキャラクターが合うのではないかと気づいたんです。

ヤスダスズヒトさんはご存じの通り『デュラララ!!』などスタイリッシュなデザインが魅力で、実業団もので細マッチョならヤスダさんの絵がマッチするのではと思い、オファーさせていただきました。

そのヤスダさんのデザインを受けて、コラボレーションが上手くいくのではと思い、私からまじろさんのお名前を提案いたしました。そして、ライデンフィルムさんからまじろさんにアプローチしていただいたところ、こちらも快諾していただいたという流れですね。

──シリーズ構成は『さらざんまい』を手掛けられた内海照子さんです。

遠藤 実はストーリーの骨子は山内監督と自分の2人でざっくりとしたものを決めていたんですが、やはりある段階でプロのライターさんのお力が必要になりました。

そこで他作品でご一緒させていただいた際に、面白いアイデアと構成力の持ち主として印象深かった内海さんが思い浮かんだんです。内海さんに一度全体をリライトしていただいてからは、シリーズ構成があまりブレずに進んでいったと思います。

──メインキャストの選考についてもうかがいたいです。キャスト陣の選考はオーデイションだったのでしょうか?

榎木淳弥さんが演じる白鳥尊(しらとり・みこと)。19歳。かつては神童と呼ばれながら、インターハイでのトラウマが原因で思うように結果が出せなくなっている

遠藤 直接この人を、と指名した方もいらっしゃいますが、主人公が所属するサンライトビバレッジの5人は全員オーデイションで選ばせていただきました。白鳥尊役の榎木淳弥さんに関しては、実は少し迷ったんですよ。というのも、テープオーディションの段階だと自分の想像していた尊のイメージからは遠かったんです。

でも、何か引っかかりを感じて、スタジオオーディションにお呼びしました。そこで改めて聞いたところ、「尊ってこれじゃない?」と(笑)。榎木さんの生々しい演技が絶妙で、尊というキャラクターを立体的にしてくださったなと思っています。

──尊とバディを組む宮澄建役はベテランの三木眞一郎さんです。

遠藤 『リーマンズクラブ』では、歳の差バディから生まれるドラマを描きたいというのが軸の一つとしてあります。仕事とバドミントンを両立させる生活に飛び込んだ尊に対して、それを導いていく先輩キャラクターを描くのであれば、説得力のある声が欲しかった。

そこで三木眞一郎さんが素晴らしい声を充ててくださったので、おふたりに決まった際には、これはもういいコンビになると確信しましたね。

特に三木さんはメインでベテランということもあって、アフレコが終わった後に「声が入った映像を見せてほしい」とおっしゃってくださったんですよ。全体の演技バランスを見ながらどうアプローチしていくのかを考えてくださって、収録現場でも非常に安心感と信頼感がありました。

三木眞一郎さんが演じる宮澄建(みやずみ・たつる)。32歳。後輩である尊とペアを組む。気さくで暑苦しいが営業成績は常にトップ

──描写そのものの話に移ると、スポーツはもはやアクションのようなものですから、テレビシリーズで描くのは大変かと思います。

遠藤 いろいろなスポーツアニメがありますが、どの作品も本当に苦労されていると思います。その中でも『リーマンズクラブ』が大変なのは、ダブルスの試合が多いというところです。シングルスよりも単純に動かすものが倍になりますし、フォーメーションも複雑になります。

シナリオ会議では、自分が山内監督や内海さんの前で、どこに位置取ってどこに隙が生まれるからここに攻めて……と逐一ホワイトボードに書いてラリーの組み立てを決めていました(笑)。CGに関しても『はねバド!』と同じくFelixFilmさんが担当されていて、見ごたえのあるものになっています。 ──完成した映像をご覧になっていかがでしたか?

小野 ティザーPVの映像も素晴らしかったんですが、第1話以降もそれを超えてくる出来になっていると思います。

遠藤 これまでシナリオ会議を長時間実施してきたこともあって、第1話は特に洗練された構成になっているんじゃないかと思います。作画をはじめとする現場のみなさんの頑張りも映像に表れていて、第2話以降もチーム一丸となってアイデアを出した甲斐がある、非常に自信をもってお出しできる内容になりました。

──男子バドミントンものというアニメ自体珍しく楽しみです。特に注目してほしいポイントを教えください。

遠藤 まず、バドミントンシーンです。ここはライデンフィルムさんが頑張ってくださったので、競技経験者にも驚いていただけるような迫力あるクオリティになっているのではないでしょうか。

もちろんバドミントンをご存じない方も、サンライトビバレッジやライバルチームの個性的なキャラクター、彼らが織り成す人間ドラマが濃密ですので、男女問わずお楽しみいただけると思っています。

小野 2022年のNUMAnimationは、『リーマンズクラブ』を皮切りにスポーツものあり、『カッコウの許嫁』のような恋愛ものありと多種多様なラインナップを予定しているので、土曜夜にぜひ楽しんでいただければと思います。
『リーマンズクラブ』第2弾PV
『リーマンズクラブ』第1話「アサイン」予告
・小野仁(おのひとし)
テレビ朝日コンテンツ編成局アニメ担当局次長。プロデューサーや製作出資など、10年以上アニメ事業開発に携わる。2021年より現職着任し、NUMAnimationのチーフプロデューサーを務める。

・遠藤一樹(えんどうかずき)
テレビ朝日コンテンツ編成局ストーリー制作部所属。2022年1月スタートのオリジナルTVアニメ『リーマンズクラブ』の企画を立ち上げ、プロデューサーを務める。TVアニメ『リーマンズクラブ』は1月29日(土)毎週土曜深夜1時30分から、テレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠ほかで放送開始。

©Team RMC/サンライトビバレッジ広報部

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作品情報

リーマンズクラブ

放送
2022年1月29日(土)より
テレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠にて
毎週土曜 深夜1時30分〜放送スタート
BS朝日・CSテレ朝チャンネル1でも放送
テレビ朝日系全国24局ネット
“NUMAnimation”枠2022年1月29日(土)より毎週土曜 深夜1時30分〜
BS朝日2022年2月4日(金)より毎週金曜 夜11時00分〜
CSテレ朝チャンネル1 2022年1月29日(土)より毎週土曜 深夜2時30分〜
配信
2022年1月30日(日)正午より順次配信開始
Amazon Prime Video/FOD/J:COM オンデマンド/バンダイチャンネル/Milplus/TELASA/au スマートパスプレミアム/ABEMA/d アニメストア/Paravi/dTV/AnimeFesta./ひかり TV/Hulu/U-NEXT/アニメ放題/アニメカ/テレ朝動画/GYAO!ストア/クランクイン!ビデオDMM 動画/ニコニコチャンネル/ビデオマーケット/music.jp/Rakuten TV
<スタッフ>
原作
Team RMC
監督
山内愛弥
シリーズ構成
内海照子、山内愛弥
キャラクター原案
ヤスダスズヒト
キャラクターデザイン
まじろ
美術設定
佐藤正浩(ヘッドワークス)
美術監督
甲斐政俊
美術背景
スタジオ KAIMU
色彩設計
小野寺笑子
2Dワークス
渡部岳、中島俊 / 旭プロダクション デザイン部
3Dワークス
FelixFilm
撮影監督
長谷川奈穂
撮影
旭プロダクション
編集
長谷川舞(editz)
音楽
fox capture plan
音響監督
本山 哲
音響制作
グロービジョン
アニメーション制作
ライデンフィルム
製作
サンライトビバレッジ広報部
主題歌
オープニングテーマ:Novelbright「The Warrior」
エンディングテーマ:まふまふ「二千五百万分の一」
<キャスト>
白鳥 尊
榎木淳弥
宮澄 建
三木眞一郎
佐伯蒼汰
石川界人
佐伯橙也
逢坂良太
竹田浩輝
柿原徹也
大野安臣
黒田崇矢
霧島隼人
福山潤
荻野目大樹
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毎クールごとに膨大な量が放送されるアニメ。漫画やライトノベルを原作としたもの、もしくは原作なしのオリジナルと、そこには新たな作品・表現との出会いが待っている。 連載「アニメーションズ・ブリッジ」では、数々の作品の中から、アニメライター兼ライトノベルライターである筆者が、アニメ・ラノベ etc.を橋渡しする作品をピックアップ。 「このアニメが好きならこの原作も」、そして「こんな面白い新作もある」と、1つの作品をきっかけにまだ見ぬ名作への架け橋をつくり出していく。

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