──何か学びたいことや研究したいことがあって東工大を選んだわけではなかったんですか?
ふくらP もともと第一志望は東大だったんです。でも何かを研究したくてというよりは、日本一の難関を目指してみようかなという感じでした。ただ、センター試験を受けたら、二次試験を受けても絶対受からないだろうという結果になって。それで志望校をひとつ下げて、東工大になりました。
だから東工大を選んだ理由は、言ってしまえば、この研究室があるからとか何を学びたいからとかではなくて、東大より入りやすくて理系である、くらいのものだったんです。その中で、僕が通っていた高校にはクイズ研究会がなかったので、大学に入ったら絶対クイズ研究会に入ってクイズをやろう、ということを考えていました。 ──それで大学に入ったら実際クイズ漬けになったと。
ふくらP 授業中もずっとクイズのことを調べたりしてましたね。大学の数学の授業なんてクイズに出ないんですよ。だから「この90分の授業を聞いてもクイズは強くならないな」と思って(苦笑)。
今の僕だったらそんなことはしないと思いますけど、大学は学ぶことを一旦置いておいて遊んでもいい場所なんだ、というような間違った思い込みがあったんでしょうね。その段階では、大学での学びの重要性に気づいていなかったんです。
──であれば、大学に入る前からご自身にとって一番大事だったのはクイズであって、休学期間中にQuizKnockに加入してそのまま今に至るのは、自然な流れのようにも見えますね。
ふくらP そうかもしれないですね。とはいえ、QuizKnockに誘われたのは本当にたまたまで、活動し始めたときは復学の選択肢がずっと頭にありました。単位を取りに学校に戻るか、このままやっていくかの二択だった。
もともと大学1〜2年生の頃に「クイズ作家になりたいな」と思っていた時期があったんです。でも、当時クイズ作家として成功している人はほとんどいなかったし、日本で数人しか食べていけない職業だと思っていたんですね。クイズプレイヤーなら誰もが一度は夢見るけど実際にはなれないもの、という認識でした。
だからもし復学して卒業したら、会社で働きながら土日だけクイズをやる社会人になるのかなぁとぼんやり考えていたんですけど、QuizKnockがどんどん大きくなっていって「あれ?これはもしかして毎日24時間クイズのことだけ考えて生計が立てられるんじゃない?」って気づいたんです。 ──ふくらさんが、大学生をやり直すという選択をせずに社会に出たとき、「自分はやっていける」というある種の勝算が少なからずあったと。
ふくらP 勝算……僕は別に人生を見通してるわけじゃないので、2年後困ってる可能性はあるんですけど(笑)。でも目下のところでは「これでやっていけるかも」と感じてたから、勝算といえば勝算かもしれない。
クイズのことだけを考えながら生計を立てられるのだとしたら、そんな嬉しいことはないですし、だったら卒業にこだわらなくていいなと決心して、大学を中退して正式にQuizKnockで働きはじめました。
ふくらP 僕と同じ時期に河村が休学してるんですね。僕は、河村にはちゃんと卒業してほしいと思っていたし、本人も卒業を目指していました。それで河村と話していたのが、もし僕が中退についてはっきり語ったらファンの方は多分「それもひとつの選択肢ですよね」と肯定的に受け入れてくれるだろう、と。だけど、それを見てしまったら河村の卒業への意欲が下がってしまうかもしれない。河村に卒業してほしかったから言わなかったというのは大きいです。河村が晴れて“東大卒”になったので、もう言ってもいいかなって。
──同時に、QuizKnockの露出が日増しに増えるにあたって、事実を明らかにするという意図もあると思いますが、「東大生の集団」というイメージが大きくなっていくなかで、ふくらさんのなかにコンプレックスのようなものはあったんでしょうか?
ふくらP コンプレックス……あるのかなぁ。「あるのかなぁ」って言ってる時点でないような気もしますが(笑)。東大卒だったら「東大」って書けたのになぁと思うことは正直多いかもしれないですね。「東大なんですよね?」って言われて「あ、東工大なんです」と返すシーンもよくあるので、それもコンプレックスといえばコンプレックスなのかな。「もう一度東大受けようかな?」と思ったことはありますし。
──そうなんですね。
ふくらP 1回、「東大入学してみた」って動画の企画をやろうかなと考えたこともあります(笑)。
もちろん一発で受かるとは思ってないですけど、10回くらい受けたらたまたま点が取れて受かったりするかな?って。でも受かったところでQuizKnockをやりながら卒業するのは難しいだろうし、それで合格者の枠を埋めるのはほかの受験生に迷惑なのでやめました。
今も趣味で、大学の授業のようなことをやっているYouTuberの方の動画を見てるんですよ。僕は大学で「この順番で学んでね」と言われてしまうのが大変だと感じてしまって辞めてしまいましたけど、大学以外では学ぶのが楽しくて学べていると思います。「何を学んでもいいし、学ぶのを辞めたければ辞めてもいい」という、趣味として学ぶのはやっぱり本当に楽しいですよね。
──かつてに比べたら、たとえば就職活動においても学歴が絶対重視されるものではなくなってきている部分はあると思います。ご自身の経験を踏まえて、やりたいことがあるならば、最終学歴にこだわらずにその道に進むと選択はアリだと考えますか?
ふくらP う〜ん…。それも一理あるけれど、僕はやっぱり「卒業したほうがいい」と言いたいですね。
僕も、2012年の大学入学時点からやり直せるなら卒業を目指すと思います。復学するか中退してQuizKnockで働こうか考えていたとき、周囲の年長者に相談すると「卒業したほうがいいよ」とよく言われました。結局それを押し切って中退しましたが、いま迷っている人がいたら僕もやっぱり同じように「卒業しろ」って言うと思いますね。 ふくらP 言ってしまえば、僕はすごくラッキーだったというか。QuizKnockという存在、伊沢という存在と巡り合って、自分が始めたYouTubeチャンネルが大きくなっていったのもかなり運が良かった。それってやっぱり結構奇跡的なことで、なかなかそんなことって起きないと思うんです。しかも、僕はQuizKnockの規模がある程度大きくなって先の見通しが立ってから中退していますからね。YouTubeが伸びていなかったら、復学して卒業していたと思います。大学で学べることは社会に出ても学べる、とも僕は正直あまり思わないですし。
──ふくらさん自身は大学中退という学歴で何か不利益を被ったことは?
ふくらP それはないですね。あえて謙遜なしに言うなら、東工大の入試を突破していること自体がひとつの実績ですし、仮に僕が今ここを辞めてどこかに履歴書を出したとしても、学歴の欄よりこれまでの仕事を見てもらえると思うので。でも僕がそれをできるのはたまたまであって、一般的なことをいうのであれば、卒業できた人間のほうが優秀な人材なんだろうと思います。僕自身、それがすごく難しくて大変だったから諦めたわけですし。
完全にその道を捨てて好きなことでやっていこうという選択も否定はしないですが、オススメはできないですね。危険な賭けです!(笑)。
KAI-YOU Premiumでは、5周年に寄せてこれまでとこれからについて語ってもらっています(後編を読む)。
ふくらP もともと第一志望は東大だったんです。でも何かを研究したくてというよりは、日本一の難関を目指してみようかなという感じでした。ただ、センター試験を受けたら、二次試験を受けても絶対受からないだろうという結果になって。それで志望校をひとつ下げて、東工大になりました。
だから東工大を選んだ理由は、言ってしまえば、この研究室があるからとか何を学びたいからとかではなくて、東大より入りやすくて理系である、くらいのものだったんです。その中で、僕が通っていた高校にはクイズ研究会がなかったので、大学に入ったら絶対クイズ研究会に入ってクイズをやろう、ということを考えていました。 ──それで大学に入ったら実際クイズ漬けになったと。
ふくらP 授業中もずっとクイズのことを調べたりしてましたね。大学の数学の授業なんてクイズに出ないんですよ。だから「この90分の授業を聞いてもクイズは強くならないな」と思って(苦笑)。
今の僕だったらそんなことはしないと思いますけど、大学は学ぶことを一旦置いておいて遊んでもいい場所なんだ、というような間違った思い込みがあったんでしょうね。その段階では、大学での学びの重要性に気づいていなかったんです。
──であれば、大学に入る前からご自身にとって一番大事だったのはクイズであって、休学期間中にQuizKnockに加入してそのまま今に至るのは、自然な流れのようにも見えますね。
ふくらP そうかもしれないですね。とはいえ、QuizKnockに誘われたのは本当にたまたまで、活動し始めたときは復学の選択肢がずっと頭にありました。単位を取りに学校に戻るか、このままやっていくかの二択だった。
もともと大学1〜2年生の頃に「クイズ作家になりたいな」と思っていた時期があったんです。でも、当時クイズ作家として成功している人はほとんどいなかったし、日本で数人しか食べていけない職業だと思っていたんですね。クイズプレイヤーなら誰もが一度は夢見るけど実際にはなれないもの、という認識でした。
だからもし復学して卒業したら、会社で働きながら土日だけクイズをやる社会人になるのかなぁとぼんやり考えていたんですけど、QuizKnockがどんどん大きくなっていって「あれ?これはもしかして毎日24時間クイズのことだけ考えて生計が立てられるんじゃない?」って気づいたんです。 ──ふくらさんが、大学生をやり直すという選択をせずに社会に出たとき、「自分はやっていける」というある種の勝算が少なからずあったと。
ふくらP 勝算……僕は別に人生を見通してるわけじゃないので、2年後困ってる可能性はあるんですけど(笑)。でも目下のところでは「これでやっていけるかも」と感じてたから、勝算といえば勝算かもしれない。
クイズのことだけを考えながら生計を立てられるのだとしたら、そんな嬉しいことはないですし、だったら卒業にこだわらなくていいなと決心して、大学を中退して正式にQuizKnockで働きはじめました。
迷っている人がいたら、「卒業しろ」という
──これまで大学をやめた経緯については語ってきていないと思います。そこには何か理由があったんでしょうか?ふくらP 僕と同じ時期に河村が休学してるんですね。僕は、河村にはちゃんと卒業してほしいと思っていたし、本人も卒業を目指していました。それで河村と話していたのが、もし僕が中退についてはっきり語ったらファンの方は多分「それもひとつの選択肢ですよね」と肯定的に受け入れてくれるだろう、と。だけど、それを見てしまったら河村の卒業への意欲が下がってしまうかもしれない。河村に卒業してほしかったから言わなかったというのは大きいです。河村が晴れて“東大卒”になったので、もう言ってもいいかなって。
──同時に、QuizKnockの露出が日増しに増えるにあたって、事実を明らかにするという意図もあると思いますが、「東大生の集団」というイメージが大きくなっていくなかで、ふくらさんのなかにコンプレックスのようなものはあったんでしょうか?
ふくらP コンプレックス……あるのかなぁ。「あるのかなぁ」って言ってる時点でないような気もしますが(笑)。東大卒だったら「東大」って書けたのになぁと思うことは正直多いかもしれないですね。「東大なんですよね?」って言われて「あ、東工大なんです」と返すシーンもよくあるので、それもコンプレックスといえばコンプレックスなのかな。「もう一度東大受けようかな?」と思ったことはありますし。
──そうなんですね。
ふくらP 1回、「東大入学してみた」って動画の企画をやろうかなと考えたこともあります(笑)。
もちろん一発で受かるとは思ってないですけど、10回くらい受けたらたまたま点が取れて受かったりするかな?って。でも受かったところでQuizKnockをやりながら卒業するのは難しいだろうし、それで合格者の枠を埋めるのはほかの受験生に迷惑なのでやめました。
今も趣味で、大学の授業のようなことをやっているYouTuberの方の動画を見てるんですよ。僕は大学で「この順番で学んでね」と言われてしまうのが大変だと感じてしまって辞めてしまいましたけど、大学以外では学ぶのが楽しくて学べていると思います。「何を学んでもいいし、学ぶのを辞めたければ辞めてもいい」という、趣味として学ぶのはやっぱり本当に楽しいですよね。
──かつてに比べたら、たとえば就職活動においても学歴が絶対重視されるものではなくなってきている部分はあると思います。ご自身の経験を踏まえて、やりたいことがあるならば、最終学歴にこだわらずにその道に進むと選択はアリだと考えますか?
ふくらP う〜ん…。それも一理あるけれど、僕はやっぱり「卒業したほうがいい」と言いたいですね。
僕も、2012年の大学入学時点からやり直せるなら卒業を目指すと思います。復学するか中退してQuizKnockで働こうか考えていたとき、周囲の年長者に相談すると「卒業したほうがいいよ」とよく言われました。結局それを押し切って中退しましたが、いま迷っている人がいたら僕もやっぱり同じように「卒業しろ」って言うと思いますね。 ふくらP 言ってしまえば、僕はすごくラッキーだったというか。QuizKnockという存在、伊沢という存在と巡り合って、自分が始めたYouTubeチャンネルが大きくなっていったのもかなり運が良かった。それってやっぱり結構奇跡的なことで、なかなかそんなことって起きないと思うんです。しかも、僕はQuizKnockの規模がある程度大きくなって先の見通しが立ってから中退していますからね。YouTubeが伸びていなかったら、復学して卒業していたと思います。大学で学べることは社会に出ても学べる、とも僕は正直あまり思わないですし。
──ふくらさん自身は大学中退という学歴で何か不利益を被ったことは?
ふくらP それはないですね。あえて謙遜なしに言うなら、東工大の入試を突破していること自体がひとつの実績ですし、仮に僕が今ここを辞めてどこかに履歴書を出したとしても、学歴の欄よりこれまでの仕事を見てもらえると思うので。でも僕がそれをできるのはたまたまであって、一般的なことをいうのであれば、卒業できた人間のほうが優秀な人材なんだろうと思います。僕自身、それがすごく難しくて大変だったから諦めたわけですし。
完全にその道を捨てて好きなことでやっていこうという選択も否定はしないですが、オススメはできないですね。危険な賭けです!(笑)。
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イベント情報
QuizKnock 5周年記念展
- 期間
- 10月1日(金)〜10月17日(日)
- 開催場所
- hmv museum(「HMV&BOOKS SHIBUYA」6F)
- 詳細
- https://www.hmv.co.jp/news/article/2106151012/
関連リンク
ふくらP
QuizKnock・プロデューサー
本名は福良拳(ふくらけん)。2016年12月にWEBのライターとしてQuizKnockに参加。 3ヶ月後、YouTubeを始めることを提案。現在は動画プロデューサーとして、企画、出演、編集を主な業務とする。 (QuizKnockファンブックより)
1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:4833)
ふくらさんの経歴が東工大「出身」なのはずっと気になっていました。公表しなかったのにはこんなに深い理由があったのですね。河村さんとの深い絆、伊沢さんとの出会いがあったから今のふくらさんがいらっしゃるんだと思うと、運命というものに感謝したいです。これからも楽しくて学べる動画を期待しています!!