アニメ業界で親しまれた三菱鉛筆「硬質色鉛筆」が生産終了 赤色のみ継続

アニメ業界で親しまれた三菱鉛筆「硬質色鉛筆」が生産終了 赤色のみ継続
アニメ業界で親しまれた三菱鉛筆「硬質色鉛筆」が生産終了 赤色のみ継続

「三菱鉛筆 色鉛筆 硬質 No.7700 黄緑」/画像はすべてAmazonから

POPなポイントを3行で

  • 三菱鉛筆「7700 硬質色鉛筆」の3色が生産終了
  • 橙色、黄緑色、水色──アニメ業界の必需品
  • アニメ業界団体が混乱を避けるためアナウンス
文房具メーカーの三菱鉛筆が、原材料調達の困難から「硬質色鉛筆 7700」の橙色、黄緑色、水色の生産を6月末をもって終了すると発表した。

同商品は、アニメーターを中心としたアニメ業界の必需品として長く愛用されてきた。

三菱鉛筆は通常商品の生産終了に関して対外的に発信していないが、今回は「⻑らく特定の業種の方々にご愛顧いただいておりましたことを考慮して」との理由で、特例でプレスリリースが発信された。

通常販売量であれば6月末までの数量が用意されているが、在庫が無くなり次第、販売も終了となる。なお赤色は今後も生産・販売を継続する。

アニメ業界も制作現場の混乱を避けるためアナウンス

橙色、黄緑、水色の生産が終了した「硬質色鉛筆 7700」は、長らくアニメの制作現場で使用されてきた商品。

硬質色鉛筆は軟質のものと比べて、細くくっきりとした線が描きやすく、芯の粉も出にくい。アニメ制作においては、原画や動画などの場面で、修正指示や彩色担当者の色・影の指定などに用いられてきた。

2015年に赤色以外の生産終了がアナウンスされたものの、使用が規定されている制作現場も多いことから、個人アニメーターが所属する一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)などが三菱鉛筆と協議を行い、今回生産が終了した3色については再生産されていた。 今回の生産終了にあたっても、JAniCAやアニメスタジオなどが所属する一般社団法人日本動画協会には、三菱鉛筆が事前に状況を説明。

そのうえで、制作現場の混乱を防ぐため、両団体が窓口となり、アニメ業界の全法人・個人を対象に、2月10日(水)の24時を締め切りとして、最終注文を行うべく対応をしていることが発表されている。

業界団体「アニメ制作になくてはならない重要なツール」

日本動画協会および日本アニメーター・演出協会は連名で発表した声明の中で、「『7700』はアニメーション制作になくてはならない重要なツール」と言及しつつ、三菱鉛筆の対応に感謝を述べている。

その上で、デジタル化が進む一方で、アナログな制作も続く現場において「『7700』の姿が見えなくなることは非常に残念でなりませんが、また新しいツールが今後のアニメーション制作を支えていくことは間違いありません」とコメントした。

両団体の発表にもある通り、手描きとデジタル、ツールが充実しフラットに選択ができるようになった現代では、双方の持ち味を活かして様々なアニメがつくられている。

例えば、アーティスト「ずっと真夜中でいいのに。」の楽曲「お勉強しといてよ」のMVはフルリモートで制作されたことが、アニメの企画・プロデュース会社・ツインエンジン主催の座談会で語られている(関連記事)。
ずっと真夜中でいいのに。「お勉強しといてよ」MV
また、iPadでアニメを制作する個人クリエイター・こむぎこ2000さんは、背景の素材は使いまわすといった簡略化に触れ、効率性を重視することで、個人制作のハードルが下がっている点も指摘していた。

一方で、7年以上をかけて、監督がすべて手描きかつほぼ1人で完成させたアニメ映画『音楽』のように、アナログならではの表現が追及された作品も存在している。
71分全て手描き!アニメーション映画『音楽』予告編

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