連載 | #71 渋谷万歳

「渋谷ハロウィン2019」現地で感じた平和と混沌 路上飲酒規制の効果とは?

【狂乱の渋谷ハロウィン】「飲酒禁止」もカオスなセンター街

POPなポイントを3行で

  • 2019年の渋谷ハロウィン潜入レポート
  • 路上飲酒規制条例が与えた影響
  • 暴徒化した前年と比べて「平和」なハロウィン?
近年、大きな盛り上がりを見せている「渋谷ハロウィン」。

ハロウィン路上飲酒規制条例」が施行されたものの(関連記事)、2019年も例年同様、平日にも関わらず、どこからともなくやってきた無数の仮装した人々が渋谷スクランブル交差点からセンター街にかけて集結。 練り歩いては立ち止まり、慣れた手つきで自撮り、あるいは別のグループ同士が一緒に写真を撮ったり、話し込んだり、歌ったりといった行為が随所で発生していました。

一部の参加者が暴徒化して軽トラックが横転、負傷者や逮捕者が出た2018年の光景と比較したとき、率直に感じたのは「平和」です。

残念ながら、一部では逮捕者や山積みとなったゴミなども報道されていましたが(外部リンク)、筆者が実際に現地で見た中では、少なくとも暴動などの危険行為はありませんでした。

「ハロウィン路上飲酒規制条例」が行使されたことで一体どんな変化があったのか、筆者の体感と参加者に聞いた話を通じて2019年のハロウィンを振り返ります。

【写真】2019年のハロウィンを彩った美女たちを見る

路上禁酒で何が変わった?

2019年のハロウィンを振り返る上で避けられない話題は条例の施行に伴う路上禁酒。コンビニでは酒コーナーにカーテンが引かれ、「販売自粛」を伝える紙が貼られていました。

KAI-YOUではハロウィン直前の週末も渋谷を取材。週末も31日当日も、路上での飲酒禁止は確実に効果を発揮しており、物騒な雰囲気は感じる場面は少なかった印象です。 それでも渋谷に集まった人の数はすさまじく、歩行が困難な状態であったのは前年同様。

当日のセンター街は仮装した多くの参加者でごった返し、往来を整理する警察の呼びかけなど、混沌とした空間であったことは否めません。

酒を求める人はバーや飲食店で

路上禁酒とはいえ、お酒を飲みたいと考える人がいるのも事実。街を歩いているとアルコールの匂いが鼻を突く場面もあり、あくまで路上での飲酒が禁止されているだけで、飲食店や居酒屋などでは普段通りお酒が提供されていました。

とあるバーに入ってみるとお客の回転率の早さが目立ちます。路上での飲酒が禁止されているため、飲食店でお酒だけ飲み、短時間で店を出る──という行為を繰り返した参加者たちも多かったようです。

実際に、10人程の外国人グループが店を訪れ、テキーラを1杯だけ飲んですぐ店を出た場面にも遭遇しました。バーの店主は「店が狭いので回転が早いのはいいこと」と話していました。

警察「出動人数は前年とほとんど変わらない」

警備にあたった警察官によると出動している人数は「去年とほとんど変わらない」模様。

実際にセンター街をひと通り歩き回っても飲酒している人はほとんどおらず、また、それによって出るゴミもあまり見られませんでした。 ゴミで投票するキャンペーンを展開していた企業の担当者が、道行く参加者に「ゴミある?」と聞いては「ないかぁ…」とボヤいてたのも印象的でした。

ただし、例年同様に多くの人が渋谷に集まり、警察が出動したことは事実。翌日には路上に散乱したゴミや、それらを拾う人たちのことが報道されており、必ずしもすべてが改善されたわけではないようです。

参加者「治安がよくなった」「店で飲めるから変わらない」

路上禁酒が功を奏したのか、参加者からは「安全なイメージが湧くからいい」「治安がよくなった」などの好意的な意見も。

一方で「本当は(お酒を)飲みたい」「結局店で飲めるから変わらないのでは」という声も上がっていました。

ここ数年ハロウィンに限らず、サッカーのW杯や年末のカウントダウン、直近では平成から令和へと元号が変わるタイミングなど、大きなイベントがあるたびに渋谷に人が集結。問題が発生し、警察が出動するといったことが繰り返されています。

今後は年末のカウントダウン、さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えており、人が大挙して押し寄せることは容易に想像がつく中、果たしてどのような光景が繰り広げられるのでしょうか。
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暴徒化した2018年のハロウィンを振り返る

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渋谷万歳

日本が世界に誇るべき最高のポップシティ、渋谷。 あらゆるカルチャーと人種が集まるこの街で、毎日のように繰り広げられるパーティー、愛のはじまり、夢の終わり、高揚感と喧噪、その捉えがたきポップの断片をかき集める人気連続企画。 2010年代は渋谷から発信されていく、と思う。

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