全米図書賞の翻訳文学、多和田葉子『献灯使』 『たけくらべ』『万葉集』以来の快挙

全米図書賞の翻訳文学、多和田葉子『献灯使』 『たけくらべ』『万葉集』以来の快挙
全米図書賞の翻訳文学、多和田葉子『献灯使』 『たけくらべ』『万葉集』以来の快挙

翻訳版『献灯使』(英題「The Emissary」)表紙/画像はAmazonより

POPなポイントを3行で

  • 全米図書賞の翻訳文学、多和田葉子『献灯使』に
  • 日本語で書かれた小説として1982年以来、36年ぶりの快挙
  • 核に汚染された近未来の日本を描いた長編小説
アメリカの権威ある文学賞の一つ「全米図書賞」(National Book Foundation)の翻訳文学部門において、小説家・多和田葉子さんの作品をマーガレット・ミツタニさんが翻訳した『献灯使』(英題「The Emissary」)が受賞した。

同部門は全米図書協会が2018年に新設したもので、世界中の作品から10作品がノミネートされていた。

翻訳部門は1983年まで存在したが、対象はフィクションのみ。新たな翻訳文学部門では、ノンフィクション作品も対象となっていた。

芥川賞作家の多和田葉子

多和田葉子さんは、1993年に『犬婿入り』で日本の文学賞である「芥川龍之介賞」を受賞した。

多和田葉子さん/新潮社の著者プロフィールより

日本語とドイツ語で小説を執筆し続け、2006年にはドイツに移住。その功績が評価され、2006年にはドイツで最も権威ある文学賞の一つ「クライスト賞」を日本人として初めて受賞している。

『献灯使』は、大震災を経て、核で汚染された近未来の日本を舞台にした近未来SF風の長編小説。深刻な環境汚染の中、外来語も自動車もインターネットもなくなった鎖国状態の日本から、ある少年が海外に旅立っていく。

なお、日本語で執筆された作品が「全米図書賞」を受賞したのは、1982年の翻訳部門における、樋口一葉さんの『たけくらべ』(英題「The Ten Thousand Leaves」)と『万葉集』(英題「The Ten Thousand Leaves」、翻訳はリービ英雄)以来、36年ぶりの快挙となった。

文芸を巡る話題

この記事どう思う?

この記事どう思う?

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。