出版各社、海賊版サイトの被害額を公開 「利用しないで」読者へ協力求める

出版各社、海賊版サイトの被害額を公開 「利用しないで」読者へ協力求める
出版各社、海賊版サイトの被害額を公開 「利用しないで」読者へ協力求める

「STOP! 海賊版」/画像は出版広報センター公式サイトより

POPなポイントを3行で

  • 出版広報センターが海賊版の被害額を発表し注意喚起
  • 漫画村は3200億円、はるか夢の址は731億円
  • 「クール・ジャパンの象徴」として読者への協力呼びかけ
出版各社や団体で構成される出版広報センターが「深刻な海賊版の被害」と題して、漫画村など海賊版サイトの影響でもたらされた被害額を改めて公開した。

海賊版の国内での被害額500億円(平成25年度経済産業省委託調査)を筆頭に、日本最大級の海賊版グループ「はるか夢の址」の被害額として731億円(コンピュータソフトウェア著作権協会調べ)、「漫画村」にいたっては被害額3200億円(コンテンツ海外流通促進機構の試算)にのぼるという。

被害額の資産はこれまで公表されている数字だが、それをまとめるとともに「海賊版が読まれても、そのすべての収益は海賊たちのもの」と海賊版への注意を喚起。

書店、取次、出版社といった漫画の制作・流通に関わる会社、さらには作者である漫画家に一切還元されない点を強調している。

その上で「漫画家が面白い作品を描く→日本全国、そして世界中で正しく読まれる→収益がきちんと漫画家に渡る→さらにおもしろい新しい作品が生まれる、という創造のサイクルが崩壊の危機にある」と締めくくった。

出版社が協力して実施する「STOP! 海賊版」キャンペーン

被害額を大々的に公開したのは、8月1日からはじまった出版広報センターと海賊版緊急対策ワーキンググループが主導する「STOP! 海賊版」キャンペーンの一環だ。

メインビジュアルに小学館の「名探偵コナン」、講談社の「七つの大罪」、集英社「ONE PIECE」、KADOKAWA「文豪ストレイドッグス」と、各社の代表作品が並んでいることからも、出版社を横断した取り組みであることがうかがえる。

画像は特設サイトのスクリーンショット

特設サイトでは「海賊版でマンガがピンチ 守れ!! 創造のサイクル!!」という漫画を公開。

海賊版の影響で生活できなくなった漫画家、新たな才能の育たないマンガ業界、書店の販売収入の減少、読者にとって面白い漫画がなくなるという、負のサイクルを描いている。

あわせて記載された説明では、海賊版がいかに悪質かつ正しく利益が還元されていないかに言及。

「漫画は日本が世界に誇る文化であり、クール・ジャパンの象徴です」と文化的価値に触れている。

続けて「漫画文化を永続させるためにも、違法な海賊版サイトを利用したり広めたりしないよう、読者のみなさまのご協力をお願いいたします」と読者への協力を呼びかけた。

海賊版は「漫画村」だけじゃない 典型的な6事例

海賊版の被害額を公開した出版広報センターのサイトでは、典型的な6つの海賊版について詳しく解説している。

1. オンラインリーディングサイト
2. リーチサイト
3. 動画投稿サイト
4. ネタバレサイト
5. P2P
6. 詐欺サイト 海賊版 典型的な6つの例

社会問題となった「漫画村」は「1.オンラインリーディングサイト」に該当する。解説によると「スマホやタブレット、PCでアクセスするだけで、簡単に読める」という容易さから「巨大なサイトに成長する危険性がある」と指摘。

「漫画村」などオンラインリーディングサイトに関する説明/画像はページのスクリーンショット

2017年に話題を集めた海賊版の漫画投稿サイト「Free Books」(フリーブックス)は閉鎖直前に月間訪問者数1750万に到達。 「漫画村」はそれをはるかに上回る月間1億6000万人に達し、ユニークユーザーも1000万人を記録していたという。

さらには「防弾サーバー」と呼ばれる捜査や権利者に非協力的なサービスを複数利用している点など、運営の仕組みにまで言及。

「リーチサイト」や「動画投稿サイト」といった他の海賊版についても、収益システムや出版社による削除対応に至るまで詳細に解説している。

「漫画村」をきっかけに海賊版サイトを知った人にとっては、一言に「海賊版」と呼ばれるサービスの実態が把握できる内容だ。

海賊版サイトをめぐる動き

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