国際信州学院大学とうどんや蛞蝓亭 架空騒動から漂うインターネット感

国際信州学院大学とうどんや蛞蝓亭 架空騒動から漂うインターネット感
国際信州学院大学とうどんや蛞蝓亭 架空騒動から漂うインターネット感

国際信州学院大学/画像は公式サイトより

POPなポイントを3行で

  • 国際信州学院大学の教職員に「ドタキャンされた」とうどん屋が嘆く
  • 教員やうどん屋の晒しに避難も相次ぐがよくよく見ると…
  • 大学もうどん屋も実はデマでただのネタだけど、良い? 悪い?
大型連休の翌週末の5月13日、うどん屋さんが無断キャンセルの被害を受けてそれを告発したツイートが大きな話題を集めました。

その内容は、「国際信州学院大学の教職員がうどん屋で50人の貸切予約をしたにも関わらず、時間になっても現れない。店から電話するとキャンセルと伝えられ、店がキャンセル料を請求したら逆ギレされた」というもの。 リプライには「ひどい!」「もったいない」など、大学側を避難する声も寄せられましたが、結論から言えば、このツイートを行った「うどんや 蛞蝓亭(なめくじてい)」も国際信州学院大学も、いずれも現実にはない架空の存在。

ネタバレ後は「悪質なデマだ!」と憤る人、「久々に釣られた〜」と悔しがりながらも楽しむ人、反応はさまざま。

日々インターネットを眺めていると、いろいろな出来事に遭遇しますが、釣りと釣られる人・釣られない人たちが織りなすインターネットらしい現象を、久しぶりに見た気がします。

本当は存在しない…国際信州学院大学とは?

国際信州学院大学は、長野県安曇野市にある1900年に設立されたという架空の大学です。

画像は公式サイトのスクリーンショット

誕生のきっかけとなったのは、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の「ニュー速VIP」板に1月に立ったスレッド「受験シーズンだし安価で架空の大学を作って受験生釣ろうぜ」。

ここに集まったユーザーの手によって、大学の名前や歴史、学部情報や公式サイト・SNSなどがつくられていきました。

その存在が注目を集めたのは、同大学のコンピューター同好会を名乗るアカウントによる投稿でしょうか。教員による海賊版サイト「漫画村」の利用や、学歴フィルターについてのツイートを見かけたという人も多いはず。 そうしたなか、4月17日にJ-CASTニュースが誕生した経緯などをまとめた記事を公開(外部リンク)。

その後、大学ジャーナリストの石渡嶺司さんが、J-CASTニュースの記事にも触れつつ「国際信州学院大学はどこにある?~架空大学サイトを現実の大学・企業関係者は笑えるか」という記事を公開しました(外部リンク)。

一見すると、公式サイトやSNSアカウント(在学生やサークルのアカウントまである)は巧妙につくられています。

しかし、「学長は就任とともに『コナン・ロシュフォール』と名乗ることになっている」、キャッチコピーが「為せば成る、為さなくてもなるようにはなる」、歴代学長の中に「ヴィップク・オリティ」(=VIPクオリティ)という人物がいる、就職実績に「YouTuber200人」など、随所に「嘘だ」とわかる要素が散りばめられています。

うどん屋への謝罪も取材申請もすべてネタ

問題となったうどん屋のツイートからは、日常的に学生や大学関係者が利用していたことがうかがえます(それもデマですが)。

当該のツイートのリプライには、学生を名乗る者、大学のマスコットキャラクター・フラッパー君からの謝罪、信州メディアなるローカルテレビ局からの取材申請があり、真実味が増しています。 ちなみに、これら3つのアカウントもすべて架空の存在。巧妙かつ規模も広いネタだったわけです。

批判の一方、ネット上には肯定的な意見も

結果的に、うどん屋を本気で心配したり、客に憤った人を騙しているので、それらに対しては批判も集まっています。

一方で、インターネットにはかつてこうした事例がいくつもあり、釣りやネタを見破ったり釣られたりすることを楽しむ文化もありました。

実際、今回のネタに対して、「いまだにこういった文化があって成功させるだけの力があることを嬉しく思う」「世の中目に見える物が全て正しいとは限らないという事をキッズに教える為にもこれは必要でした」「これはいい釣りだね(※縦読み)」など、肯定的な意見が上がっているのも事実。 出どころがわかりづらい、ユーザーのリテラシーの差がある、でも拡散されやすい、それを利用した釣り/ネタ文化があるなどなど、インターネットらしさが凝縮されたかのような出来事でした。

同時に、かつて2ちゃんねるの管理人であったひろゆきこと西村博之さんの言葉を思い出しました。

嘘は嘘であると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい

インターネットの楽しさ

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