マンガで分かる! “修羅の国“北九州のウソとホント

マンガで分かる! “修羅の国“北九州のウソとホント
マンガで分かる! “修羅の国“北九州のウソとホント

POPなポイントを3行で

  • ネットでは「修羅の国」と揶揄されがちな北九州市
  • ふんわりジャンプ「ぼくたちLGBT」連載中のトミムラコタさんが漫画化
  • 成人式の過剰報道、修羅の国、女性像…北九州市にまつわるウソとホント!
九州の北端、「北九州市」にどんなイメージを持っているだろうか。

いまだに“修羅の国”というイメージしか持ってない人は、正直情弱だと言わざるを得ない

北九州市の全面協力を元に、編集部で調査に調査を重ねた「北九州のウソとホント」を漫画化。漫画家・トミムラコタさんによる漫画と共に、4本立てでお届けする。

原案:新見直・菱谷佳代子 漫画:トミムラコタ 協力:北九州市

面白おかしく報道される北九州の「成人式」、知られざる真実

ド派手な衣装、異様な盛り上がり……毎年恒例のように大々的に報道される北九州市の成人式。“無軌道な若者”といったテンプレ批判に利用されることも多いが、実はあまり報道されていない側面もある。

彼らは普段からお祭り騒ぎに興じているわけではない。20歳にもなれば、社会人になっていたり勉強に励んでいたり、他の多くの20歳と同じように日々を懸命に過ごしている。 その様子はテレビ朝日のバラエティー番組「ソノサキ ~知りたい見たいを大追跡!」で特集され、「北九州を見直した」という多くの声が挙がった(外部リンク)。

北九州は元来お祭りが盛んで、小倉祇園太鼓や黒崎祇園山笠など、夏になると各地区で毎週末お祭りが開催されている。中でも、200年以上の歴史を誇る「戸畑祇園大山笠行事」はユネスコ無形文化遺産に登録されたほど。

お祭り好きな北九州市民は、懐も深い。酒場で出会った地元のおじさんは「成人式(笑)? あんなの可愛いもんよ。昔は……」と笑い飛ばした。

個性的な5レンジャーが合体! 北九州の本当の姿

北九州を「九州の北部地方のことを指している」と勘違いしている人は多い。北九州市は、人口100万人近くを擁し、横浜、大阪などに次ぎ、6番目に誕生した政令指定都市だ。

旧5市が合併して「北九州市」が誕生したのは、今から55年前、1963年のこと。

それまで独立した市だった5地区はそれぞれ際立った特性を持ち、その土地ごとの個性は今もなお受け継がれている。

北九州の女性、日本最強説

“荒れている”というイメージに引っ張られてか、北九州市にはなぜか気の強いギャルが多くて怖いという説が一部にある。ここには、ホントとウソの両方が含まれている。 北九州市の女性は、たしかに強い。ただしそれは、乱暴という意味で強いのではない。

例えば、北九州発祥の文化のひとつに“角打ち”がある。所説あるが、労働者たちが仕事帰りに、酒屋の一角でそのまま一杯ひっかけて帰っていたことから酒屋での立ち飲み文化が広がっていったとされている。

角打ちの暖簾をくぐったことのある人間なら誰しも知っていることだが、北九州の人は、観光客だろうがお構いなしに話しかけて来る。何十年も、全国から仕事を求めてやって来る労働者を受け入れてきた土地柄なのかもしれない。北九州の女性は世話焼きで気立てがいいと言われている。

そして彼女たちは、いざという時には真っ先に立ち上がる行動力も兼ね備えている

国内有数の工業地帯だった北九州は、日本が近代化・高度経済成長を果たすための重要な拠点であったのと同時に、工場から排出される煙や排水の影響で深刻な公害問題に悩まされた。

洗ってもきれいにならない洗濯物。体調が悪くなる子どもたち。こうした状況の中、真っ先に立ち上がったのが母親であり妻である北九州の女性たちだった。

彼女たちが率先して企業や行政に対して改善を働きかけ、その結果、企業や行政の公害対策につながり、公害克服の第一歩となった。

こうした女性たちの活躍のおかげで、公害を克服した北九州市は「奇跡の街」と呼ばれている。その成果は今では世界的に認められ、2011年には経済協力開発機構(OECD)からアジアで初めてグリーン成長都市に選定されたことも。

北九州市の発展は、真の意味で“強い”女性たちが支えてきたのだ。

修羅の国? 冗談じゃない、家族に優しい地方都市です!

手りゅう弾110番」という福岡県警独自のユニークな制度がある。「拳銃110番」は全国的に導入されていて、情報を提供して銃器等の押収や所持者の検挙に貢献したら報奨金として10万円程度が支払われるというもので、それの手りゅう弾verだ。

これをもって「物騒だ!」となじるのは早計というものだ。むしろ北九州市は、こうして警察、行政、市民が協力して本気で街の浄化活動に取り組んだ結果、今では驚きの成果を挙げ、全国的に名誉ある評価を納めているからだ。 よくネット上では「修羅の国」という北九州いじりの常套句と共に、イメージだけで「犯罪発生率が高い」というウソが平然とまかり通っているが、政令指定都市における北九州市の刑法犯認知件数は、20市のうち上から13番目(2015年時点での人口千人あたりの数字)。その犯罪率は上位でさえない。

ネット上での悪いイメージは刷新されていないが、地元や近隣の人々は、急速に治安の回復していった北九州市の実態にとっくに気付いている。

宝島社が発行する月刊誌『田舎暮らしの本』の恒例企画で、2018年、人口10万人以上の住みたい地方都市ランキングにおいて「総合部門」「シニア世代部門」で1位を獲得するという栄誉ある二冠に輝いているのだから。

政令指定都市の中で物価の安さ1位、家賃の安さ4位。首都圏で深刻化している待機児童もゼロだ。「次世代育成環境ランキング」(NPO法人エガリテ大手前)において現在のところ、6年連続1位という快挙を成し遂げている。

九州で2番目の人口規模を持ち、“ほどよく都会でほどよく田舎”という部分が、多くの人に支持されている理由かもしれない。

そして、2017年時点で、北九州市の高齢化率は政令指定都市で1番だ。市の担当は「高齢化は首都圏と比べて20年以上進んでいる」とし、50歳以上の高齢者も住みやすいようにさらに医療施設やインフラも充実させてきた。その結果、人口10万人あたりの病床数は病院・一般診療所で共に2位となっている(2015年時点)。

北九州市は、これから日本全体が確実に直面する超高齢化社会とその課題に対して、先駆けて向き合っている都市だとも言える。高齢化社会のロールモデルとして、専門家から注目も集めている。

まとめ

いかがだろうか? その魅力や市を挙げての懸命な努力の成果のすべてをここには書き切れないが、“修羅の国”という物騒なイメージが覆い隠してきた「北九州市」のホントを、少しはお伝えできただろうか。

何より、北九州市は、全国から労働者が集まる“移民都市”だったと言っても過言ではない。多様性を受け入れ、地元民と県外からの労働者が共に手を携えて街を発展させていったその先に、今の北九州市がある。

実際に足を運んだ際には、きっとあなたも出会うだろう。夏のお祭りで、なんでもない日のそこらの酒場で、人懐っこく話しかけてくる北九州市民に。彼らはいつでもその門戸を開いている。

北九州のことを、もっと知る

SHARE

この記事をシェアする

Post
Share
Bookmark
LINE

関連キーフレーズ

トミムラコタ

イラストレーター/漫画家

90年生まれ。ハムスターを飼っています。
ウェブサイト: http://tomimuracota.com/

12件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:4401)

九州か規模の大きい会社が消えても田舎みたいになるとかそんな感じでしょう仕事が有る所に人は移動する生き物でしょうね移動しきらない人も人を使いたい人が連れて行ったり行かなかったりするとかそんな感じになるのかね?

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:4268)

あのね~ やっぱし北九の小倉・黒崎はガラ悪いんだよね。
屋台で酒出せ無いし、オハギしか出てこんでっしょ?
博多とは月とスッポンポン。 残念でした。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:3072)

環境都市?
炭鉱が閉山しただけやろ(笑)

すべてのコメントを見る

コメントを削除します。
よろしいですか?

コメントを受け付けました

コメントは現在承認待ちです。

コメントは、編集部の承認を経て掲載されます。

※掲載可否の基準につきましては利用規約の確認をお願いします。

POP UP !

もっと見る

もっと見る

よく読まれている記事

KAI-YOU Premium

もっと見る

もっと見る
KEYPHRASE

いま、みんなが気になっていること

KAI-YOU.netにログインしているユーザーなら誰でも編集できるKAI-YOU.netの百科事典、それが「キーフレーズ」です。

キーフレーズ機能をもっと知る

エンタメの週間ランキング

エンタメの画像ランキング

もっと見る

もっと見る

最新のPOPをお届け!

もっと見る

もっと見る

このページは、株式会社カイユウに所属するKAI-YOU編集部が、独自に定めたコンテンツポリシーに基づき制作・配信しています。 KAI-YOU.netでは、文芸、アニメや漫画、YouTuberやVTuber、音楽や映像、イラストやアート、ゲーム、ヒップホップ、テクノロジーなどに関する最新ニュースを毎日更新しています。様々なジャンルを横断するポップカルチャーに関するインタビューやコラム、レポートといったコンテンツをお届けします。

ページトップへ