「ヒップホップを“正しく”表現しないと」sheidAが語る、ラップスタアの影響とバーチャルへの進出

  • タイアップ
  • 0
fugakura

『攻殻機動隊』に出会って本格的にアニメにハマる

──sheidAさんは、いつ頃から漫画やアニメにハマったのでしょうか?

sheidA 子どもの頃から『キングダムハーツ』『太鼓の達人』『鉄拳』、そしてたくさんのニンテンドーDSのゲームが家にあったんです。学校から帰ると、弟とどっちが先にゲームで遊ぶかでケンカしていました(笑)。

アメリカ時代の漫画コレクションはいくつか今も持っていますし、札幌の学校ではアニメTシャツを着て通っていました。本格的にアニメにハマったのは『攻殻機動隊』に出会ってからです。アニメや漫画は、現実がつらいときに逃げ込める場所で、今でもそういう存在です。

『攻殻機動隊』にハマりはじめたのはアメリカにいた頃で、6〜7歳くらいのときです。特に惹かれたのは未来的な要素でした。あの作品のおかげで、子どもの頃から“未来のテクノロジー”へのワクワク感が強くなりました。実は昔つくった「gh0st」という曲も、攻殻機動隊から着想を得てつくったものなんです(笑)。

幼少期のsheidAさん(右)と弟(左)/本人提供

──家にゲームがたくさんあったということですが、ご家族のどなたかがお好きだったのでしょうか?

sheidA 実は、母親がゲーム会社で働いていたんです。

──そうだったんですね。「ラップスタア誕生」でもご家族との絆がフォーカスされていましたが、sheidAさんにとってご家族はどのような存在ですか?

sheidA 母はたったひとりで、私と弟を様々な状況の中で一生懸命育ててくれました。母のことをとても尊敬していて、心から愛しています。母の姿を見て育ったことで、「何だって可能なんだ」と思えるようになりました。彼女は私にとって一番のヒーローです。

「リバクロ」のICQは「声の表現の幅を思い切り試せる」

──そんなsheidAさんが「ReVers3:x」プロジェクトに参画していたというのは驚きでした。「ラップスタア誕生」以前からとうかがっていますが、いつ頃、どのようなきっかけだったのでしょうか?

sheidA 2022年11月のある日、「ReVers3:x」のプロジェクトチームの方からDMでご連絡をいただいたところからはじまりました。みんな私が“超オタク”なのを知っていたからだと思います(笑)。

もちろん即答で「やります」と言いました。「ReVers3:x」では、アーティストとしてのビジュアルにとらわれず、歌に集中できると思ってとてもワクワクしました。

──バーチャルアーティストのICQ(イコ)という存在として歌う経験は、sheidAさんにどのような新しい可能性を広げてくれると感じますか?

sheidA 私は、音楽活動の最初はR&Bがメインだったのですが、そこから自分のスタイルを様々に変えてきました。だから、いろんな声のトーンを使うのが好きなんです。

このプロジェクトでは、ICQというキャラクターを通して、そうした声の表現の幅を思い切り試せるのが嬉しいんです。こういうプロジェクトはずっと夢だったので、参加できて本当に嬉しかったです。

ICQが歌う漫画『リバクロ』主題歌「HYPERSONIC」

──ICQとして歌を歌う時は、どんなところを意識しているんですか?

sheidA できるだけ声を明るくすることを意識しています。コンセプトに合わせて声を変えるのが大好きで、明るい声がICQというキャラクターに一番合っていると思っています。

──ありがとうございます。最後に、今後予定しているプロジェクトがありましたら教えてください。

sheidA NY滞在中に制作したEPが12月にリリース予定です。それから、初のアルバム制作が控えています。また、EPに収録された楽曲から、完全に“アニメコア”(animecore)な内容のMVを2本準備しているので、今後の動向を楽しみにしていてほしいです。

──アニメコアは一般的に、2000年代初期のアニメやオタクコンテンツをノスタルジーと共に表現する美学、とされています。sheidAさんにとってのアニメコアとはどういった存在ですか?

sheidA 自分にとっての“アニメコア”とは、自分が放っている雰囲気を簡潔に説明するための言葉です。アーティストとして、あまり“人間らしさ”を前面に出すのではなく、もっとファンタジー的な存在でいたいと思っています。

それは同時に、自分がどういう人間なのかを表す、自分なりのアイデンティティの表現でもあります。

ICQが登場する漫画『リバクロ』を読んでみる
1
2
3
この記事どう思う?

この記事どう思う?

漫画『リバクロ』佐藤大さんへのインタビューもぜひ!

「VCRやストグラの影響を受けた」佐藤大が語る、異色のサイバーSF漫画『リバクロ』が生まれた理由

「VCRやストグラの影響を受けた」佐藤大が語る、異色のサイバーSF漫画『リバクロ』が生まれた理由

ヒップホップとメタバースと生成AIのプロンプト──この3つだけでも情報が渋滞を起こしそうな上に、「ストグラ」「MadTown GTA」などのストリーマーサーバーの影響も色濃く受けた漫画。そんな異色の“サイバーSF”Webtoon(縦読み漫画)『リバースクロス -プロンプトの魔術...

kai-you.net
バーチャルアーティストを描く異色のWebtoonが連載開始 脚本は『カウボーイビバップ』の佐藤大

バーチャルアーティストを描く異色のWebtoonが連載開始 脚本は『カウボーイビバップ』の佐藤大

ソニー・ミュージックレーベルズが、新たにWebtoon(縦読み漫画)プロジェクト『リバースクロス -プロンプトの魔術師-』をスタートした。同社から生まれたバーチャルアーティスト・ICQ(イコ)を主人公に、脚本を『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』の佐藤...

kai-you.net
「RAPSTAR 2025」フッドステージ通過者8人が決定 ファイナル進出を懸け「ラップスタアキャンプ」へ

「RAPSTAR 2025」フッドステージ通過者8人が決定 ファイナル進出を懸け「ラップスタアキャンプ」へ

ABEMA(アベマ)で配信中の次世代ラッパー発掘オーディションプロジェクト番組「RAPSTAR(ラップスタア) 2025」の最新回が放送され、次なる審査である「RAPSTAR CAMP」に進む8人のラッパーが明らかになった。11月1日に配信された新シーズン最新回では、各ラッパーの地...

kai-you.net
配信者が夜通し集う“ロールプレイ”遊び運営の掟──我々はどこまで物語に干渉すべきか

配信者が夜通し集う“ロールプレイ”遊び運営の掟──我々はどこまで物語に干渉すべきか

本稿では、しょぼすけさん発祥の企画『Grand Theft Auto V(グランド・セフト・オートV、以下GTAV)』の「ストリートグラフィティ ロールプレイ」(ストグラ)に関するインタビュー後編をお届けする。TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)や人狼ゲームの文化...

premium.kai-you.net

関連キーフレーズ

sheidA

ラッパー/アーティスト

東京の新世代音楽シーンの最前線に躍り出たマルチに活動するシンガーソングライター。 LA、NY(ブルックリン)、そして東京という多様な文化的環境で生まれ育った彼女は、アニメ/オタク文化から得た様々なインスピレーションを融合させ、ユニークな音楽風景を生み出している。 現在は、才能溢れるトラックメーカー/アーティスト集団 "The Game Changers"(D3adstock、Kiyoki、Tovgo)の一員として活動している。

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。