「ヒップホップを“正しく”表現しないと」sheidAが語る、ラップスタアの影響とバーチャルへの進出

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fugakura

エレクトロミュージックは「頭の中を落ち着かせてくれる」

──「自分らしさ」という意味では、sheidAさんはヒップホップ以外にも、エレクトロミュージックの要素を楽曲に取り入れていることも特徴です。エレクトロミュージックもヒップホップ同様、肉体やメンタルの枷をテクノロジーの力で乗り越えることができる特別なジャンルだと思います。

sheidA ADHD持ちの私にとって、エレクトロミュージックは頭の中を落ち着かせてくれるジャンルなんです。音が大きくて複雑なほど良いんです(笑)。それからピッチチェンジやデジタルエフェクターで、自分の思う通りの“声”をつくれる点も好きですね。

電子音楽を通して本当の自分を出しやすくなる気がしています。エレクトロミュージックは自分のひとつの側面だけではなく、多面性をそのまま音にできるのが魅力だと感じます。

これまで発表した中でお気に入りのエレクトロミュージック寄りの曲は 「Hurt」「D.A.N.C.E.」「crAzy」「takeitxxx」です。どれも自分の中でしっくりきた作品です。

sheidAさん

──D3adStock×Kiyokiや、hirihiriさん、Seann Bowe(ショーンボウ)さんらを迎え、ヒップホップにhyperpopやドラムンベースといったエレクトロミュージックを合体させたスタイルは唯一無二だと思います。一体、どのようにエレクトロミュージックに出会ったのでしょうか?

sheidA 私は昔から、日本のエレクトロミュージックに夢中だったんです。今の自分のサウンドは、Livetuneのkzさん、ボカロ、アニメソング、Daokoさん、Reolさんなどから大きな影響を受けています。

sheidAを“育てた”ネット文化とポップカルチャー

──sheidAさんはSNS等でも、漫画やアニメ、ゲームへの愛情あふれる発言が多いです。どのような作品から影響を受けているのでしょうか?

sheidA キャラクターデザイナーの村田蓮爾さんの作品は人生で最も感動したし、とても影響を受けています。その独特なスタイルはずっとお気に入りですし、イラストレーターのredjuiceさんの作品も同じくらい好きです。

村田蓮爾さんは『LAST EXILE(ラストエグザイル)』と『シャングリ・ラ』のビジュアルが特に好きです。未来的でファンタジーな感じのキャラクターたちにずっと憧れていました。

redjuiceさんは『ギルティクラウン』のアートワークをきっかけに彼の作品に惚れ込みました。自分も昔、デジタルアートをよく描いていて、彼のような作品をつくりたいとインスパイアされていました。

それから、子どもの頃のとても辛い時期に『ソウルイーター』の漫画に本当に助けられました。特に作中に出てくる「A sound soul dwells in a sound mind and sound body(健全な魂は健全な精神と肉体に宿る)」という言葉が大好きで、めちゃくちゃ深いと感じます。

──『ソウルイーター』には「姿形が重要ではなく、魂が大事だ」という象徴的なメッセージがありますが、そのメッセージはsheidAさんの音楽や価値観に影響を与えていますか?

sheidA 間違いなく影響しています。自分にとって『ソウルイーター』は、ある意味“自分を育ててくれた作品”なんです。ファッションも世界観も、ほとんどがソウルイーターから来ています。

sheidAさんの私物の漫画やアニメ関連グッズ/本人提供

──2025年8月に公開された楽曲「D.A.N.C.E.」のMVでは、往年のニコニコ動画のネタが大量に散りばめられていました。ある意味、10年以上前のオタクがまだ世間から「キモい」と馬鹿にされていた時代の表現を、あえて真正面からやっていたように思います。そうした「引きこもりっぽくて、ナードなもの」でも、sheidAさんがカッコいいと思う部分はどこにあるのでしょうか?

sheidA あの頃のネット文化は、私を育ててくれたようなものです(笑)。なぜあんなに惹かれたのかは説明できないけど、とにかく全部がクールに見えていた。「D.A.N.C.E.」で、自分の“本当の姿”を出せて本当に嬉しかったです。

sheidA「D.A.N.C.E.」

sheidA MVの監督のAiraとは同世代なので、同じ懐かしさを共有できて、2人とも子どもの頃の自分に戻れた感じがしましたし、Airaには本当に感謝しています。

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ラッパー/アーティスト

東京の新世代音楽シーンの最前線に躍り出たマルチに活動するシンガーソングライター。 LA、NY(ブルックリン)、そして東京という多様な文化的環境で生まれ育った彼女は、アニメ/オタク文化から得た様々なインスピレーションを融合させ、ユニークな音楽風景を生み出している。 現在は、才能溢れるトラックメーカー/アーティスト集団 "The Game Changers"(D3adstock、Kiyoki、Tovgo)の一員として活動している。

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