なぜ人は刺青/タトゥーを入れるのか?──現役彫師が語る歴史と魅力

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浅田カズラ

自らの身体に絵や文様を描く刺青タトゥー

ストリートカルチャーの一つであり、しばしばファッションやアートの文脈でも語られますが、日本ではまだまだ誤解されがちな文化でもあります。

そんなタトゥー文化について、タトゥースタジオ「BIZEN ART TATTOO STUDIO」の現役彫師、美漸(びぜん)さん、茉凛灼(まりや)さんが、その魅力と知識を基礎から解説します。

日本では刑罰として刺青が普及 日本と海外の価値観の違い

まず最初に二人が触れたのは、タトゥーの歴史や、タトゥー文化に対する日本と海外の価値観の違いについて。

日本ではもともと刑罰として刺青が普及していたこともあり、現在でもネガティブなものとして認知されがち。家を借りられないなど、社会的に不利な場面もある点は、お土産感覚でタトゥーを彫る人もいる海外とは大きな違いがあるといいます。

最近は日本でも「おしゃれ感覚」が広まりつつあるのだとか

そんな空気感の日本でもあえて人がタトゥーを入れる理由としては、ペットや家族との縁を残すため、彫師という職人に惹かれたため、和彫りの場合は痛みに耐えることで“漢”を見せたいなど、様々な理由があるそう。

ちなみに、タトゥー/刺青/和彫りなど、呼び方は様々ありますが、タトゥーの場合は文字やかわいい絵柄、刺青や和彫りなど、和のテイストを取り入れたものを指すことが多いのだそうです。

タトゥーを彫る機械は様々 熟練の職人は機械すら凌駕する

タトゥーを彫る道具についても紹介。大きく分けて、半自動でインクのついた針が動くものから、ボタン一つで全自動で彫れるものも。お値段は前者が約5万円、後者は約20万円とのこと。

機械彫りに使う道具

ちなみに、手で彫る「手掘り」と、こうした道具を使う「機械彫り」は、基本的には機械のほうが早いですが、熟練の職人は機械すら凌駕する速さで彫ることができるそうです。

また、最近の傾向としてはY2Kの要素がある小さな「韓国タトゥー」が流行りつつ、伝統的な和彫りも人気だといいます。

なお、タトゥーは一度入れると容易には消せないようです。レーザーで消す、皮膚を切り取るなど方法はあるものの、彫るよりも高価かつ、彫る時よりも痛いのだそう……。

タトゥーの迷信とデメリット──それでも惹かれるタトゥーの魅力

「保険に入れない」や「MRIに入れない」など、タトゥーには様々な迷信もあります。いずれも、基本的には大丈夫なものの、入れない保険や、MRIへの反応も起こり得るのだとか。

同様に、タトゥーがあると入れない施設もあります。茉凛灼さんは自動車合宿を断られたエピソードを語りました。とはいえ、都内であればタトゥーOKの施設も増えており、比較的暮らしやすくなっているそうです。

就学や就業に不利に働くケースも少なくなく、タトゥーを入れることはいくつかのデメリットがあるもの。その上で、タトゥーを入れるメリットはあるのか。どんな人がタトゥーを入れるべきか……二人が語るタトゥーの魅力と共に、ぜひ動画でご覧ください。

刺青/タトゥーとは──なぜ彫るのか? 現役彫師が答える
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