VTuberがボカロ曲の歌ってみた動画を投稿したり、ボカロPがVTuberにオリジナル楽曲を提供したりと、蜜月な関係を紡いできたVTuber文化とボーカロイド(VOCALOID、以下ボカロ)文化。
その共創の歴史に続くがごとく、バーチャルシンガーとボカロ関連クリエイターがタッグを組んだ、新たなダンスチューンが誕生した。
タイトルは「メメメのメ」。楽曲を歌うのは、ソニーミュージックのVTuberプロジェクト・VEE所属の天籠りのんさん。提供したのは、OTOIRO所属のサウンドプロデューサー/ギタリストのtepeさんだ。
1月31日に「メメメのメ」が天籠りのんさんの2ndデジタルシングルとしてリリース&MV公開されたことを記念し、今回KAI-YOUでは、2人の対談インタビューを実施。
「Vシンガーから見たボカロ文化、ボカロ関連クリエイターから見たVTuber文化」をテーマに、存分に語り合ってもらった。
取材:highland 文・編集:都築陵佑
目次
天籠りのんとtepeの共通点は“丁寧なインプット"
天籠りのん こんこも〜! ソニーミュージックのVTuberプロジェクト「VEE」所属の“最恐”Vシンガー・天籠りのんです! よろしくお願いしま〜す!
tepe OTOIRO所属のサウンドプロデューサー/ギタリストのtepeです。よろしくお願いします。
──よろしくお願いします。お二人は、今回の新曲「メメメのメ」が初コラボだったとのことですが、お互いの印象はどうでしたか?
天籠りのん 私は今回、シングル第2弾を制作するにあたって、VEEの音楽チームから「ぜひあのtepeさんに依頼したいと思っているんです!」って熱烈な推薦を受けまして。
そこではじめてtepeさんの楽曲を聴いたんですけど、本当にどの曲を聴いても、可愛いくて格好よくて! メロディーも歌詞もすごい洗練されていて、どの曲もめちゃめちゃ素敵だと思いました。今回ご一緒できてすごく嬉しかったです。
tepe 実は、ご依頼をいただく前から、りのんさんのことは知っていたんですよね。新しいVTuberがデビューしたら、「どんな方なのかな?」とか、声を聴いてみたりとかチェックするように心がけていて。
天籠りのん !?
tepe 格好よさと可愛さを兼ね備えた歌声がすごい魅力的だと思っていました。
天籠りのん 嬉しいです……! お互い、“可愛いくて格好いい”って同じ印象を感じていたんですね(笑)。
tepe (笑)。あと、りのんさんは、やっぱり麻雀のイメージが強いですね。
天籠りのん 麻雀は、Vシンガーとしての活動をはじめる前から好きだったんですが、元々全然強くなかったんです。でも、今はプロ雀士の方に指導していただく企画なども配信でやっていまして、少しずつ成長してきました。
──「メメメのメ」の歌詞にも麻雀用語が散りばめられています。
<リーチで裏ドラめくってみたい>
<和了(あが)っちゃえ>
<超絶頂です しごろで/テンパイじゃん!>「メメメのメ」歌詞より引用
天籠りのん いやあ、めちゃめちゃ良いですよね……。麻雀の要素を自然に混ぜていただいていて、ありがたいです。
曲が仕上がってから、麻雀をやっていると、456(シゴロ=麻雀の役を構成するための牌の組み合わせ「面子」の一つ)が気になって気になって(笑)。
tepe (笑)。実は、ご依頼をいただいた際、「麻雀の要素を曲に入れてほしい」というオーダーはなかったんです。
でも「りのんさんのパーソナルな部分を曲にしたいな」と思っていたので、もう調べに調べて。「やっぱり麻雀だな」と思いました。
元々、僕は麻雀をやったこともなくて、ルールも面子も役もまったく知らなかったんですが、今回のご依頼をいただいて麻雀をはじめました。
天籠りのん え!? そうだったんですか!?
tepe 本当に難しかったんですが、いざやってみると、どんどん麻雀にハマっちゃって、何なら曲ができた後もやっちゃってます。
麻雀配信への解像度がすっごい上がりましたし、りのんさんの麻雀の上手さも、僕の麻雀の弱さも分かるようになりました(笑)。
天籠りのん (笑)。
tepe 事前ミーティングのとき、好きな役を聞いたりしましたよね?
天籠りのん そうでしたね(笑)。本当に私のパーソナルな話を丁寧にヒアリングしてくださって、すごい麻雀の話をたくさんさせていただきました。
──過去の別媒体のインタビュー(外部リンク)でもおっしゃられていましたが、tepeさんは楽曲提供の際、そのアーティストのインタビューを読み漁ったり、歌を聴き込んだりと、資料読みを徹底するそうですね。
tepe そうですね。なるべく100%そのアーティストに寄り添った曲が書きたいので。その上で、自分の味を加えるのが一番いいかなと。だから、とにかく調べまくりますね。
天籠りのん 私もVシンガーとして活動する上で、丁寧なインプットは意識しています。
例えば、アニソンを歌枠配信や「歌ってみた」でカバーさせていただく際には、なるべくタイアップ元のアニメを観て、歌詞の意図をしっかりと汲んで歌えるようにしています。
天籠りのん アニメを観ると観ないとでは、結構アニソンの聴こえ方って変わりますよね。時間が許せば、観ておきたいです。
もっとたくさん歌を覚えないと、歌枠配信がマンネリ化してしまうのは最近の悩みではあるんですが……まあ、アニメ1作品でOPテーマとEDテーマの2曲いけるので(笑)。
──(笑)。
天籠りのん 私はあんまり創造性あふれるタイプのシンガーじゃないので、歌い回しはその場その場で決めているのではなく、狙ってやることの方が多くて。
なので、一つ一つ準備をしっかりして、フレーズの文脈を踏まえつつ、歌い方や構成を考えてから歌うのがルーティーンになってます。
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楽曲情報
天籠りのん 2ndデジタルシングル「メメメのメ」
- 作詞・作曲・編曲
- tepe(OTOIRO)
関連リンク
天籠りのん
バーチャルシンガー
Sony MusicによるVTuberプロジェクト「VEE」所属のバーチャルタレント。
VSinger志望のエセ不良少女。その実態は、可愛いもの好きで、ちょっとものぐさなただの引き籠り。
他人に舐められやすいのを気にして不良に擬態してみたものの、あまり上手くいっていない。
2023年8月12日にデビュー。歌を中心に活動を行い、その圧倒的な歌唱力で人気を集める。さらに麻雀や雑談など、様々なジャンルの配信を行なっている。
自身のYouTubeチャンネル登録者数は8万人を突破(※2025年1月現在)。
2024年7月31日(水)に初のオリジナル楽曲「虚無虚無です。」を、ソニー・ミュージックエンタテインメントよりデジタル配信リリース。
イラスト:小原トメ太
tepe
サウンドプロデューサー/ギタリスト
テクニカルかつ繊細なギターを操り、ドープなトラップチューンからポップサウンドまで、一聴してtepeとわかる思いっ切りの良い演出・ボイシングを得意とするサウンドクリエイター。
繊細で優しいニュアンスの中で生まれる、共感性のある『青い』歌詞から、毒を含みながら心に爪痕を残すライミングも高く評価されており、ティーンを中心に人気が上昇中。
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