『宝石の国』『図書館の大魔術師』といった名作や、『チー付与』『平成敗残兵すみれちゃん』などの話題作が、77円あるいは88円になるセールがはじまりました。
めちゃんこ安い。類似のセールが集英社などでも開催中で、2025年は初っ端から大幅値引きのセールが連発しています。
このセールの期間は不明。新年だからこそのセールなのかもしれないので、気になる漫画があればお買い得のうちに買っておきましょう。
目次
市川春子『宝石の国』
『宝石の国』は1〜3巻まで88円で、さらに続刊も全てではありませんが最大27%のポイント還元になっています。
物語の舞台は、“にんげん”が姿を消してから幾星霜を経た未来。生命が宿った人型の宝石と、月から襲来して宝石たちをさらっていく月人との戦いを描きます。
月人はなぜ宝石たちをさらっていくのか? 理由を求めて会話のできない月人とのコンタクトを試みる主人公・フォスの行動が、事態を大きく変えていきます。特に終盤は賛否を呼ぶ展開でXでもかなり話題になりました。一読すべき漫画です。
泉光『図書館の大魔術師』
その精緻な絵に度肝抜かれる『図書館の大魔術師』は、当代屈指のファンタジーです。
作中世界の知識を適切に管理/保存する図書館の司書を目指す少年が主人公。彼がひとり立ちするまでを収録した1巻の完成度が半端ないです。今ならちょうど77円です。絶対に読んでほしい。1巻を読み終えたら自然と2巻に手が伸びるはずです。
新章がはじまる2巻以降は事細かい設定が少しずつに開示されて物語に深みが生まれ、ますます面白い。壮大な世界観をちら見せして期待感を高めつつ、主人公の成長を実に丁寧に描いていきます。傑作!
業務用餅/六志麻あさ/kisui『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~』
タイトルがなげえ! 通称『チー付与』は1巻が77円。装備を強化する強化魔術師の主人公がギルドを追われ、今まで搾取されていた力を新しい仲間のために使い無双します。
なろう系の追放もので似た作品は多いですが、本作はギャグとツッコミの切れが普通じゃない。終始おちゃらけた作風なのに、主人公の弩級の能力が判明して以降は急に組織戦/頭脳戦を繰り広げてシリアスになったり、様々な顔を見せます。
起承転結の承を適度に抜いたダイナミックな展開も持ち味で、独特の読み応えあり。ギャグが乗ってくる2巻までは読んでほしいです。
里見U『平成敗残兵すみれちゃん』
31歳、元アイドルのほぼニート。パチカスで酒カスでヤニカスと三拍子揃った主人公・すみれちゃんが、従兄弟の高校生のプロデュースを受けて再起をかける『平成敗残兵すみれちゃん』。1巻が77円で最新4巻まで27%ポイント還元。
すみれちゃんは人の金を使い込むなどクズなのに、どこか憎めません。時代の流れを掴むセンスと年相応の純朴さを併せ持つ従兄弟の高校生、すみれちゃんの可能性に目をつける敏腕女社長などキャラクターが全員が魅力的です。
すみれちゃんと同じ元アイドルで、諸々だらしない同人作家のすしカルマが出てくる4巻以降、面白さがさらに加速します。
武田スーパー『だれでも抱けるキミが好き』
誰にでも抱かれる同級生のヒロインに惚れてしまった主人公の高校生が、パンパンにたまりきった性への渇望を炸裂させる『だれでも抱けるキミが好き』。
誰にでも身体を許すヒロインに内心複雑な心境を抱きながら、ヒロインにむらがるその他大勢の男と同じく性欲に抗えない主人公。葛藤する日々の中、ヒロインの心境にも変化が生まれるのですがどうにも2人の心はすれ違います。
身体だけで通じる関係の気楽さを描く一方で、心でも通じあえる関係の尊さを、しかも高校生の主人公たちを通して表現しようとしている、色々と大胆な漫画です。
泰三子『だんドーン』
『だんドーン』、めっちゃ面白いです。西郷隆盛を筆頭に大久保利通らが登場する幕末の歴史漫画です。
日本の歴史を動かしたそんな人物たちの影で、しっかり大きな仕事を成した川路利良──近代警察の礎を日本に築き、“日本警察の父”と称される彼の目線から幕末史を描きます。
前作『ハコヅメ』でも軽妙な会話劇で読ませた作者・泰三子さんが、本作でも本領を発揮。何気ない会話が後の事件に繋がる足がかりになっていて、いつの間にか事態が動き出している。滑らかすぎる起承転結の転がりは職人芸の域です。
カレー沢薫/ドネリー美咲『ひとりでしにたい』
35歳、独身、美術館の学芸員で猫と暮らす主人公が、かつて憧れていた伯母の悲惨な孤独死をきっかけに終活をはじめる漫画です。1人でよりよく生きて死ぬために今を頑張るお話。2巻まで77円。
お墓や老後の資金をどうするのかといった実際的な問題から、自分よりも早く亡くなる両親の老後問題にも踏み込みます。誰もがいつかはぶつかる重いテーマではあるのですが、作者持ち前のユーモアで笑いながら読めます。
主人公と母親がフリースタイルラップバトルで将来についての意見をぶつけ合うシーンは爆笑しました。
吉本浩二『定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ』
妻と2人の子どもと暮らす漫画家の吉本浩二さんが、毎月のお小遣い2万1000円をどうやり繰りしているのか赤裸々に明かす漫画です。2巻まで77円。
決して多くないお小遣いなのについ好きなお菓子に手が伸びちゃう作者の人間味に親しみが湧きます。財布の中が寂しくなってからが本番で、ユニークな節約術やお金を使わないささやかな楽しみを描き、それがまた面白い。
作者以外にもお小遣い制の夫が多数登場。限りあるお金の使い道は驚くほど多様で、どこかの誰かのリアルなお金への価値観が知れるドキュメンタリーになっています。
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