ニューヨークを拠点に活動する日系人ラッパー・OMEN44(オーメンフォーフォー)さんの新作『Year Of The Dragon』のLP盤が、10月31日(木)にリリースされる。
前作ではこれでもかというほどブーンバップに固執したOMEN44さんだが、新作『Year Of The Dragon』はサウンド面でまた新たなる進化を遂げている。
文:かなえ
ヒップホップの架け橋となるラッパーOMEN44
2000年に神戸からNYへ移住し、日本とNYを行き来しながらアーティスト活動を続けるOMEN44さん。
日本にいる時には関西弁を話す彼も、音源では英語を主な言語として使用し、国境にとらわれない幅広い活動を強みとしている。
過去にも彼の作品にはD.I.T.CのA.G.さん、Smif-n-WessunのTekさん、さらにSADAT Xさん、Sicknature(SNOWGOONS)、Planet Asiaさんといった世界的に著名なラッパーが度々参加してきた。
また、日本のラッパーとも度々共演をしており、BUDDHA BRANDのCQさん、そしてNIPPSさん、さらにMEGA-Gさん、VIKNさんなど錚々たる面子を迎えて音源を制作している。世界と日本のヒップホップの架け橋となる存在、と言っても過言ではない。
Shing02らも参加する新作『Year Of The Dragon』
今回の『Year Of The Dragon』はOMEN44さんの得意とする“古き良きヒップホップ”をベースに置きながらも、エレクトロやドラムンベースを取り入れた実験的な作品だ。
ブーンバップヒップホップを昇華してきた彼だからこそ、織りなすことができる浮遊感と泥臭さは健在。OMEN44さんのソフトな声質とドラムンベースの小刻みなスネアとの相性も良く、彼の新しい一面を垣間見ることができる。
客演でも豪華なメンバーを迎えており、Kool KeithさんにTragedy Khadafiさん、Craig Gさん、Boot Camp Clickといったオールドスクール好きにはたまらない人選だ。また、レゲエ界からはラスタファリムーブメントの先駆者・Richie Spiceさんが参戦する。
そしてあのShing02さんも参加。Shing02といえばNujabesとのコラボ作「luv(sic)」シリーズが大ヒットし、20年前の日本におけるジャジーヒップホップブームの原点ともなった。
過去に「未帰国子女」を謳っていたshingo02さんだが、世界的な活動を続けるOMEN44さんとの相性はとても良い。
国境やジャンルを越境して広がるOMEN44の世界
『Year Of The Dragon』はゲストだけでなく、制作陣も実に豪華。NYでの下剋上ライフが注目を浴びるDJ MUNARIさんとのコラボは見逃せない。
また、Gradis Niceさん、BudaMunkさんなど日本勢のほか、前作に続いてフランス人プロデューサーのKyo Itachiさんなどを迎えている。
先立って公開された「The Package」のMVはもうすぐ30万回再生に届こうとしている。
NYを拠点に活動する日本人のDJ MUNARIさんとのコラボ作品ということにも注目したいが、90年代中期を象徴するアーティストであるSmif-N-WessunがBoot Camp Clickとして参加しているのも見逃せない。
また、Chelsea Rejectさん、そしてT'nahさんとの共演作となった「Catch A Fire」のMVも公開中。NYの現行シーンで活躍する2人を迎え入れたこの曲は歌モノに仕上がっており、ヒップホップだけでなく、R&B好きにも刺さるだろう。
ヒップホップ、R&B、ドラムンベースといったエッセンスがOMEN44さんの世界に華を添えた。国境、そしてジャンルすらも超えて活動する彼の活動は、今後もさらに拡大していきそうだ。
OMEN44「HIPHOPというジャンルや国境を超えたアルバム」
【OMEN44さんコメント】
何もかもうまくいかなくて絶望していた10代の終わりに、気まぐれでイギリスのグラストンベリー音楽祭に行って、アーティストのライブをぼんやり眺めていたら、ふと"What do you deserve ?(オマエは何を望む?)"と問いかける声を聞いた気がした。辺りには誰もいない。とても不思議な体験だった。あれから20年、UKサウンドのエッセンスを加えたり、日本人アーティストともコラボしたり、HIPHOPというジャンルや国境を超えたこのアルバムの完成を以て、その答え合わせがようやくできたと思う。
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作品情報
『Year Of The Dragon』LP盤
- レーベル
- jazzysport
- 定価
- 4,444円(税込)
- 発売日
- 2024年10月31日
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