格闘技大会「Yogibo presents RIZIN.48」が9月29日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催されている。
4万人超が熱狂した7月の「超RIZIN.3」を経た今回は、ホベルト・サトシ・ソウザ選手vs.ルイス・グスタボ選手、井上直樹選手vs.キム・スーチョル選手というダブルタイトルマッチをはじめとした全11試合。
バンタム級王座を返上して朝倉海選手はアメリカのUFCへ旅立ち、長年格闘技シーンを牽引してきた朝倉未来選手が引退、そして彼に勝利した平本蓮選手を巡って多くの格闘家やファンを巻き込んだドーピング疑惑──RIZINは新たな時代へと突入する。
全出場選手のフィニッシュ率(判定決着ではないKO/TKOの割合)の平均値は驚異の70.5%。新時代の象徴となるような新たなスターの誕生も期待される「RIZIN.48」。この記事では、熱戦必死の試合結果を随時更新していく。
目次
- 1. 第1試合:カルシャガ・ダウトベック○ vs. ●木下カラテ
- 2. 第2試合:新井丈● vs. ○エンカジムーロ・ズールー
- 3. 第3試合:金太郎● vs. ○秋元強真
- 4. 第4試合:萩原京平● vs. ○高木凌
- 5. 第5試合:矢地祐介○ vs. ●宇佐美正パトリック
- 6. 第6試合:牛久絢太郎● vs. ○佐藤将光
- 7. 第7試合:伊澤星花○ vs. ●浅倉カンナ
- 8. 第8試合:フアン・アーチュレッタ● vs. ○ラジャブアリ・シェイドゥラエフ
- 9. 第9試合:元谷友貴○ vs. ●太田忍
- 10. 第10試合:井上直樹○ vs. ●キム・スーチョル
- 11. 第11試合:ホベルト・サトシ・ソウザ○ vs. ●ルイス・グスタボ
第1試合:カルシャガ・ダウトベック○ vs. ●木下カラテ
第1試合は、ダウトベック選手と木下選手のフェザー級マッチ(RIZIN MMAルール:5分3R)。ストライカー同士の対決。共にフィニッシュ率が高く、大会の盛り上がりに火をつけるべく、1試合目はダウトベック選手が希望したものだという。
違いに鋭い打撃を繰り出す両者。カーフキックをヒットさせる木下カラテ選手。ダウトベック選手の攻撃は空振りでも会場がどよめく。凄まじい緊張感。
しかし刹那、ダウトベック選手の左ストレートが一閃、木下カラテ選手にクリーンヒットし、そのまま意識を飛ばしてKO。ダウトベック選手が1R KO勝利で宣言通り、会場に火をつけた。
第2試合:新井丈● vs. ○エンカジムーロ・ズールー
第2試合はフライ級ストライカー同士の一戦(RIZIN MMAルール:5分3R)。フィニッシュ率77%の新井選手と同93%のズールー選手が激突した。ズールー選手はRIZIN初参戦。新井選手は前回の敗北を払拭できるか。
勢いよく前に飛び出す新井選手。そのままプレッシャーをかけ続ける。ズールー選手も鋭いジャブで応戦。コーナー際に追い詰める新井選手がボディにクリーンヒットさせるも。ズールー選手もやり返す。交錯の中でボディが効いてしまったか、新井選手の動きが明らかに鈍くなる。
ここぞとばかりに打撃の連打、跳び膝蹴りまでみせるズールー選手に対し、新井選手は序盤のようにアクションを起こすことができない。そのままズールー選手は連打で畳み掛ける。フィニッシュは左のミドルキック。たまらずレフェリーストップとなった。ズールー選手が1R TKO勝利で、鮮烈なRIZINデビューを飾った。
第3試合:金太郎● vs. ○秋元強真
第3試合は、RIZIN9戦目のベテラン・金太郎選手と、「格闘代理戦争 THEMAX」でも注目された18歳・秋元選手の一戦(RIZIN MMAルール:5分3R)。戦い方を変更中のオールラウンダーと、プロデビュー2年足らずでRIZIN初参戦のストライカーとの戦いだ。
カーフキックで試合をつくる金太郎選手と、中央を陣どる秋元選手。秋元選手の打撃に合わせ、金太郎選手がタックルを仕掛け、テイクダウンに成功。バックポジションからそのままチョークが決まるかと思いきや、 秋元選手がエスケープに成功する。
膠着するも、離れ際に秋元選手の左の打撃がヒット。そのまま打撃が交錯。しかし秋元選手の左があたり、金太郎選手がダウン。倒れた金太郎選手に対して、秋元選手は頭を押さえつけながら膝、膝、膝と容赦のない攻撃。ここでレフェリーストップ。
秋元選手が圧巻の1R TKO勝利。新時代の到来を感じさせる鮮やかなTKOを飾った。ここまですべて1R決着!
第4試合:萩原京平● vs. ○高木凌
第4試合は、萩原選手と高木選手というフェザー級ストライカー同士の一戦(RIZIN MMAルール:5分3R)。プロ7年目で直近連敗中の萩原選手と、プロ3年目で連勝中の若手・高木選手が対決した。
高い打撃スキルを持つ両者だが、立ち上がりは萩原選手が優勢にゲームを進め、コーナーへと高木選手を追い詰める。打撃勝負では劣勢と感じたが、高木選手はタックルに入り、腰を着かせることに成功。すかさずフロントチョークの体制を萩原選手はつくるが、高木選手が逃げ切り、萩原選手の後ろをとる。
ここで不安がよぎる。萩原選手は過去に何度もバックチョークで敗北している──と感じた刹那。やはりバックチョーク。萩原選手、なんとか抵抗するも首にしっかりとセットされ、締め上げられていく。無念のタップアウト。高木選手が1R 一本勝ち。打撃だけでなくMMAスキルの引き出しの多さを見せつけての勝利となった。
第5試合:矢地祐介○ vs. ●宇佐美正パトリック
第5試合は、RIZIN18戦のベテラングラップラー・矢地選手とRIZIN4戦の若手ストライカー・宇佐美選手によるライト級マッチ(RIZIN MMAルール:5分3R)。
1ラウンド目。試合開始のゴングからすぐに足を取りに行く矢地選手。グラップリングに持ち込みたい。テイクダウンされるも、すぐに立ち上がるパトリック選手。その後は打撃で追い込まれつつも、矢地選手をコーナーまで追い込む。しかし矢地選手が再びテイクダウンに成功。パトリック選手はフロントチョークで応戦。しかし抜け出した矢地選手の強力なパウンドをもらってしまう。
2ラウンド目は見合う時間が多い。随所でパトリック選手の打撃が光る。なかなかタックルにいけない矢地選手だったが、ラウンド終了間際にテイクダウン成功。後半からパトリック選手も手数が減り、特にいちばんの武器である右を出せない。
3ラウンド目。やはり全く手が出せないパトリック選手。拳を怪我したか。プレッシャーをかけられず、フリーな矢地選手がテイクダウン成功。サイドから抑えつけてパウンドを入れていく。パトリック選手、体力も使い果たしたのか、全く逃げられない。マウントからのパウンド連打で試合終了。判定は矢地選手が3-0で勝利。RIZINで戦い続けてきたベテランの意地を見せた。
第6試合:牛久絢太郎● vs. ○佐藤将光
第6試合は、元RIZINフェザー級チャンピオン・牛久選手と佐藤選手のバンタム級の一戦(RIZIN MMAルール:5分3R)。前者はプロ30戦、後者は50戦以上と、共に豊富な経験値を有するオールラウンダー同士の対決。
1ラウンド目。前蹴りで距離をつくりながら攻撃する佐藤選手。牛久選手はガードを高く上げ、パンチのカウンターでリズムの間に入ろうとする。攻防の最中、コーナー際で四つ組みに。佐藤選手が投げようとするも牛久選手が強靭なフィジカルを見せ、倒れない。膠着した時間が進み、1ラウンド目は終了。
2ラウンド目。フェイントと独特なリズムで隙をつくろうとする佐藤選手。牛久選手はしかし動じずに冷静に攻撃を見切る。再び四つ組。組みつつも、腿や脛に対して嫌がらせのような細かい打撃を入れる佐藤選手。しかし甲乙つけ難い試合展開。2ラウンド目も終了。勝負は最終ラウンドへ。
3ラウンド目。ポイントがどちらに転ぶか分からない中、先ほどまでと打って変わり、構えをスイッチしながらアグレッシブに攻める牛久選手。四つ組になるもすぐさまジャッジもブレイクさせる。
佐藤選手の打撃が当たりはじめ、リズムをキープしたまま組み→フロントチョークへ。極めれはしないものの、これが審判への印象を決定づけたか。判定は3-0で佐藤選手の勝利。“勝つための戦い方”を見せつける内容となった。
第7試合:伊澤星花○ vs. ●浅倉カンナ
第7試合は、スーパーアトム級の一戦(RIZIN MMAルール:5分3R)。現役王者である伊澤選手と2017年のRIZIN WGP覇者の浅倉選手による戦いであり、浅倉選手にとっては引退試合となった。
1ラウンド目。グラップリングの印象が強い伊澤選手だが、開始直後から打撃でプレッシャーをかけていく。そのまま綺麗にタックルへと繋ぎ、テイクダウン。上から打撃を落としていくが、組みを解き、浅倉選手を立たせる。
実力差が明白と思われたマッチメイクだが、浅倉選手も打撃で応戦し、伊澤選手の顔を捉えるシーンもつくる。しかし寝技になると伊澤選手が再び押さえ込み圧倒。浅倉選手がピンチになるもゴング。
2ラウンド目。開始序盤からコンビネーションからのタックルを仕掛ける伊澤選手。コーナーで押しつぶし、パンチを連打。あわや止められるかという展開だが、浅倉選手の闘志は潰えない。フロントチョークを仕掛ける伊澤選手。ここもなんとか耐える浅倉選手。防戦一方。さらに伊澤選手に立て続けに首を絞められあげるも、ゴングに救われる。
3ラウンド目。どうにか形勢を逆転させたい浅倉選手はとにかく前に出る。伊澤選手の組みを解き、上からパウンドを浴びせる。寝技に定評のある伊澤選手は下からと三角締めでフィニッシュを狙う。転がっても両者が激しく動き続ける展開。
これまで優勢が続いていた伊澤選手だが、浅倉選手がRIZINを牽引し続けていた意地と気迫を見せ、試合終盤には打撃の混戦に打ち勝つ。浅倉選手が大きな見せ場をつくりつつも、判定は3-0で伊澤選手に軍配。勝利したものの、「情けない試合をしてしまった」と苦渋の表情を見せた。
第8試合:フアン・アーチュレッタ● vs. ○ラジャブアリ・シェイドゥラエフ
第8試合は、元バンタム級王者の37歳・アーチュレッタ選手と、プロ11戦11勝かつ驚異のフィニッシュ率100%を誇る23歳・シェイドゥラエフ選手によるフェザー級マッチ(RIZIN MMAルール:5分3R)。
前日計量で体重超過したアーチュレッタ選手に減点を科した上での試合となり、シェイドゥラエフ選手が勝利した場合は公式記録、引き分けか負けの場合は無効試合となる。
試合開始から思い切りの良い右で突っ込むアーチュレッタ選手。冷静に回避しつつ、先に攻撃をヒットさせたのはシェイドゥラエフ選手。アーチュレッタ選手は組みついて投げを試みる。
しかし回転させて簡単には有利なポジションを取らせない。激しくグラウンドで動き続ける両者だが、一瞬の隙をついてシェイドラエフ選手がアームバーを極めて1R 一本勝利。あまりの早業に会場は騒然となった。
第9試合:元谷友貴○ vs. ●太田忍
第9試合は、2年ぶりの再戦となったバンタム級マッチ(RIZIN MMAルール:5分3R)。2年前の対戦では、オールラウンダーの元谷選手が、リオ五輪銀メダリストのグラップラー・太田選手に勝利。その後好戦績が続く太田選手の成長にも注目が集まった。
1ラウンド目。静かな立ち上がり。距離を取り、太田選手にタックルに入らせないように立ち回る元谷選手。遠い間合いから打撃を繰り出し続け、これが太田選手に当たる。
そのまま元谷選手が自ら距離を詰めていく。組みになるも外し、再び距離感のある攻防。太田選手は両手をブンブン振り回しながら無理やり距離を詰め、ついにタックルしてテイクダウン。しかし元谷選手のディフェンスが上手く逃げられる。離れ際で打撃を交錯させてゴング。
2ラウンド目。スタンドでは有利と読んだ元谷選手がプレッシャーをかける。しかし太田選手も強気にパンチを繰り出し、元谷選手の顔にヒット。これが効いたのか、コーナー際に後退する。大振りで連打する太田選手。クリンチ気味に組み合う。離れて打撃の乱戦に。
先ほどのダメージがあるのか、太田選手のフックが当たりはじめる。勢いづく太田選手は挑発やバックハンドブローも繰り出して会場を沸かせる。最後、元谷選手は太田選手のタックルにフロントチョークを合わせるも、ここで時間終了。ダメージがあるのは元谷選手か。
3ラウンド目。太田選手が思い切りの良い打撃で距離を詰めていく。これまでのタックル一辺倒な戦い方ではなく、打撃にも自信をのぞかせる太田選手。劣勢な元谷選手だが、逆にタックルを仕掛け、バックポジションを取ることに成功。すぐさまバックチョークをセットする。
太田選手はなんとか防ぐも、有利な後ろから攻撃を散らされ、防御が甘くなったところに元谷選手が一瞬で首をセットしなおす。これが深く入り、太田選手はタップアウト。元谷選手が3R 4分9秒 一本勝ち。バックチョークでの見事な逆転勝利を掴んだ。
第10試合:井上直樹○ vs. ●キム・スーチョル
第10試合は、RIZINバンタム級の新王者を決めるタイトルマッチ(RIZIN MMAルール:5分3R)。スピードと技術が武器の井上選手と、スタミナや突進力が強みの“日本人選手無敗”のスーチョル選手と激突した。
試合開始。出入りの早い井上選手が非常に遠い間合いから攻撃を繰り出す。距離を潰したいスーチョル選手が追いかけ続ける構図。次第に距離が縮まり、互いに強打が当たりはじめる。
ほぼ互角の攻防に見える中で、井上選手が一気にギアを上げ、よろめいたスーチョル選手をリング端に追い込む。ダメージがあるのか、反撃できないスーチョル選手。
右の強力な連打に、たまらずリング外へと身体を逃がそうとする。ここでレフェリーストップ。1R 3分55秒、井上選手が日本人無敗のスーチョル選手に圧倒的なTKO勝利を飾った。
第11試合:ホベルト・サトシ・ソウザ○ vs. ●ルイス・グスタボ
第11試合は「RIZIN.48」のメインカードであるライト級タイトルマッチ(RIZIN MMAルール:5分3R)。現王者のグラップラー・サトシ選手が、ストライカーのグスタボ選手の挑戦を受ける防衛戦は、ブラジル人同士の一戦だ。
試合開始、フェイントから右ミドルキックで攻撃を仕掛けるサトシ選手。これが脇腹に当たったグスタボ選手が体勢を崩し、一気にサトシ選手が猛追。渾身の左ストレートがグスタボ選手の顔を捉え、ダウン。
そのまま鬼神の如きパウンド連打で何もさせない。レフェリーストップ。この間21秒。1R 21秒 KO勝利。サトシ選手が絶対王者の風格を示した。
©︎RIZIN FF
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