総合格闘技イベント「RIZIN男祭り」が5月4日、東京ドームで開催された。
当初は、朝倉未来選手と平本蓮選手の再戦を目玉にした「THE MATCH 2」として東京ドームでの開催を発表したが、平本選手の欠場によりすべては白紙に。
10周年という節目に開催危機を迎えた「RIZIN」だが、最高の格闘技の祭りをテーマに「RIZIN男祭り」としての開催を決断。朝倉選手の復帰戦も実施が決定した。
メインカードのクレベル・コイケ選手 vs. ラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手というフェザー級タイトルマッチに加え、朝倉選手と前フェザー旧王者の鈴木千裕選手が激突するセミメインカードも注目必至。
5月4日「RIZIN男祭り」試合順 ©︎RIZIN FF
当日は、「RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント」の1回戦3試合を含む全16試合(オープニングファイトを含めると全19試合)が組まれている。大会の模様はABEMA PPVなどで視聴できる。
この記事では、全16試合の結果速報をレポートする。
目次
- 1. 第1試合:平本丈 vs. 田丸辰
- 2. 第2試合:山本アーセン vs. 冨澤大智
- 3. 第3試合:朝久泰央 vs. ウザ強ヨシヤ
- 4. 第4試合:ジョン・ドッドソン vs. 征矢貴
- 5. 第5試合:ヒロヤ vs. 篠塚辰樹
- 6. 第6試合:ダニー・サバテロ vs. 太田忍
- 7. 第7試合:中村大介 vs. 桜庭大世
- 8. 第8試合:神龍誠 vs. 伊藤裕樹
- 9. 第9試合:皇治 vs. シナ・カリミアン
- 10. 第10試合:マレク・サモチュク vs. ダニエル・ジェームス
- 11. 第11試合:スダリオ剛 vs. ジョゼ・アウグスト
- 12. 第12試合:上田幹雄 vs. シビサイ頌真
- 13. 第13試合:萩原京平 vs. 西谷大成
- 14. 第14試合:高木凌 vs. 秋元強真
- 15. 第15試合:朝倉未来 vs. 鈴木千裕
- 16. 第16試合:クレベル・コイケ vs. ラジャブアリ・シェイドゥラエフ【フェザー級タイトルマッチ】
第1試合:平本丈 vs. 田丸辰
第1試合:平本丈 vs. 田丸辰
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:平本丈◯ vs. 田丸辰● ※判定3-0
平本蓮選手を兄に持つRIZIN2戦目の平本選手が、RISE二階級覇者である大型新人・田丸選手のMMAデビュー戦の相手に抜擢。キックボクシングをバックボーンに持つ者同士の戦いとなった。
キックボクシング出身で互いにまだMMA歴の浅い両者。打撃の撃ち合いが予想される中、いきなり序盤に平本選手がタックルを仕掛け、クリーンテイクダウンに成功。マウントポジションをキープするが、田丸選手も攻めさせずにブレイクがかかる。
スタンディングになるも、平本選手が組み付き、投げで再びグラウンドの展開へ。MMA歴で勝る平本選手が優勢。田丸選手にパウンドや肩パンチを浴びせる。ここで1ラウンド終了。
2ラウンド開始。取り返したい田丸選手がローキックやミドルキックで組み立てる。互いに打撃の功者の2人だが、距離を取り合い、手数は多くならない。田丸選手がわずかに打撃では上回る印象だが、再び平本選手がマウントポジションを獲得。田丸選手は下から逃げ出したいが、2ラウンドも平本選手が優勢の印象を与える。
3ラウンド。打撃の交錯の中で、平本選手が片足タックルを試みる。きれいには取れないながらも無理やりテイクダウンへ。若干ポジションは悪いが、サイドから膝蹴りや肘などを叩き込む。田丸選手はなんとか平本選手の首を押さえて攻撃を軽減させるのに手一杯の状況。
結果は平本選手の3-0判定勝利。MMAファイターとしてのたしかな成長を見せつけた。
第2試合:山本アーセン vs. 冨澤大智
第2試合:山本アーセン vs. 冨澤大智
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:山本アーセン◯ vs. ●冨澤大智 ※2R 一本
レスリング一家出身のエリートかつ「RIZIN」を初期から盛り上げてきたアーセン選手と、「BreakingDown」でその名を上げた新星・冨澤選手の一戦。MMA歴の差は一目瞭然だが、冨澤選手の思い切りの良い打撃がどこまで通用するのか、注目が集まった。
1ラウンド。打撃の差し合い、やや冨澤選手のパンチが当たった刹那、そのまま跳び膝へ。しかしアーセン選手がそれを避け、そのまま冨澤選手が倒れたところを押さえ込む。スクランブルの攻防の中で、アーセン選手が冨澤選手に対してバックチョークを仕掛ける。決まるかと思われたが、なんとか冨澤選手はエスケープに成功する。
しかしアーセン選手は攻撃の手を緩めず、アームロックを狙う。なんとかガードする冨澤選手だが、その代わりに膝をもらう。その後もバックチョークや肩固めを極められかけるが、冨澤選手はゴングに救われる。
2ラウンド開始前に、冨澤選手にロープ掴みの反則があったことが告げられた。
2ラウンド開始。スタンドで取り返したい冨澤選手。アーセン選手のタックルに左のカウンターをヒットさせる。アーセン選手、フラッシュダウン。しかし落ち着いて立て直し、バックポジションを取る。そのままリアネイキッドチョークを極めにいく。冨澤選手、何度も耐えた締め技地獄に、ついにタップで屈する。
アーセン選手が2ラウンド一本勝利。試合後のインタビューでは、7月に開幕する「RIZINフライ級GPトーナメント」への参戦に意欲を見せた。
第3試合:朝久泰央 vs. ウザ強ヨシヤ
第3試合:朝久泰央 vs. ウザ強ヨシヤ
RIZIN キックボクシングルール:3分 3R(63.0kg)
結果:朝久泰央◯ vs. ●ウザ強ヨシヤ ※2R KO
第5代K-1 WORLD GPライト級王者の朝久選手が、現役フジテレビ社員のウザ強選手を迎えた一戦。ウザ強選手はRIZIN参戦にあたり、フジテレビから戒告処分されたことでも注目を集めた。
キックボクシングルールで行われた試合は第1ラウンド、互いにキックで牽制し合う展開も、ウザ強選手がリングを縦横無尽に動き回りながら、トリッキーな仕掛けで翻弄する。
序盤は翻弄された朝久選手も終盤には適応したのか、カウンターパンチで一つ目のダウンを奪うと、さらに続けざまにダウンを奪い第1ラウンドは終了した。
2ラウンド。冒頭からバックブローを繰り出すウザ強選手だが、朝久選手からまたもダウンを奪われてしまう。するとロープ近くで朝久選手のハイキックが直撃。ウザ強選手が倒れたところでレフェリーストップ。
朝久選手が地力の差を見せつけて2ラウンドKO勝利を飾った。試合後のインタビューでは、フジテレビに対して「ウザ強選手をクビにしないでほしい」と対戦相手を気遣う場面も見せた。
第4試合:ジョン・ドッドソン vs. 征矢貴
第4試合:ジョン・ドッドソン vs. 征矢貴
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:ジョン・ドッドソン● vs. ◯征矢貴 ※判定0-3
2024年7月の「超RIZIN.3」ではベアナックル(グローブを装着せず素手で戦う)ルールで死闘を繰り広げたドッドソン選手と征矢選手が、MMAルールで再戦。ベアナックルではドッドソン選手が圧勝したが、MMAではどうなるのか。征矢選手の引き出しの多さが注目された。
1ラウンド。ステップを踏みながら攻撃のタイミングを仕掛ける征矢選手が、ドッドソン選手の攻撃をかいくぐりタックル。テイクダウンに成功。しかし攻撃には繋がらず、キープせずに一度離す。打撃のドッドソン選手と総合力の征矢選手。やや征矢選手が優勢に見えるが共に決定打はないまま1ラウンドが終了。
2ラウンド目は、近い距離で共にジャブを放ち合う展開に。征矢選手は打撃のフェイントでタックルを試みるが、すでに見切られているのか、外される。手数は征矢選手が優勢だが、ドッドソン選手の強打が顎を掠めるなど、余談を許さない状況。両者決め手に欠ける。
3ラウンド。前に出て攻撃を仕掛けるドッドソン選手に対して、タックルでコーナーに押しつける征矢選手。しかしエスケープし、ドッドソン選手のパンチがクリーンヒット。会場がどよめくも征矢選手も勢いは落ちない。その後もタックルと打撃を散らしながら、アグレッシブな印象を征矢選手が与えていく。
判定は3-0で征矢選手の勝利。ベアナックル戦のリベンジを果たした。
第5試合:ヒロヤ vs. 篠塚辰樹
第5試合:ヒロヤ vs. 篠塚辰樹
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:ヒロヤ◯ vs. ●篠塚辰樹 ※1R TKO
天才的なストライキングセンスと立ち振る舞いで一躍人気選手となった篠塚選手と、朝倉未来一門の特攻隊長・ヒロヤ選手の一戦。2024年大晦日の「雷神番外地」で勝利した篠塚選手が、試合後のマイクでヒロヤ選手との対決をアピールして実現した因縁マッチだ。
MMA初戦の篠塚選手がどのようなパフォーマンスを見せるのかに注目が集まると同時に、すでに歴戦のMMAファイターであるヒロヤ選手として絶対に負けられない試合となった。
1ラウンド、かなり遠い距離でスタート。ヒロヤ選手はタックルに入りづらいかと思いきや、篠塚選手のパンチをかわしながらテイクダウンへ。寝かせてからはサイドポジションからの肘の鉄槌を連打する。
抵抗しようとするも局面を打開できない篠塚選手。一方的な展開にタオル(バトン)が投げ込まれ、レフェリーストップ。
ヒロヤ選手がMMAファイターとしての貫禄を見せながら、TKOで見事な勝利を飾った。試合後のインタビューでは篠塚選手に対して「MMA初戦でこういう結果は当たり前。批判も来ると思うけど胸を張って欲しい」とコメントした。
第6試合:ダニー・サバテロ vs. 太田忍
第6試合:ダニー・サバテロ vs. 太田忍
RIZIN MMAルール:5分 3R(61.0kg)
結果:ダニー・サバテロ◯ vs. ●太田忍 ※3R KO
北米の強豪MMA団体・ベラトールから参戦したサバテロ選手と、RIZINバンタム級を牽引するオリンピック銀メダリスト・太田選手の実力派対決。共にレスリングエリートかつ、苛烈な舌戦においても定評のある2人だが、リングの上ではどちらが強いのか。
1ラウンド開始直後から距離をつめるサバテロ選手と、逆に間合いを取ろうとする太田選手。共に得意な組み付きを見せるが、レスリングでは一方的な展開にはならない。
しかし、打撃ではサバテロ選手が優勢。コーナー際での連打、そしてハイキックが顎を捉え、太田選手は目に見えたダメージを受けてしまう。それでも負けじと強打を撃ち返す太田選手。サバテロ選手の打撃を封じ込めるためか、四つ組の展開に持っていく。
2ラウンド。ストライキング技術で差を見せたサバテロ選手にどう対抗していくのか。サバテロ選手のジャブにカウンターでタックルを合わせる太田選手。しかしサバテロ選手が逆に脇に差し込み、有利な体制をつくる。
ブレイクされ、再び打撃の攻防へ。サークリングで間合いを取る太田選手と距離を詰めるサバテロ選手の構図。なんとか巻き返したい太田選手はパンチを大振りさせ、バックハンドブローなどの奇襲も見せるが、サバテロ選手は冷静に避けて対処する。
勝負は3ラウンド目にもつれ込む。太田選手がすぐさまタックルにいき、ジャーマンのような投げ技でサバテロ選手を持ち上げてマットに叩き落とすも、なぜか太田選手が下に。リプレイを見ると顔面から着地した時点で意識が飛んでいるようにも見えた。
そのままサバテロ選手がパウンドを連打し、太田選手は抵抗できず。結果はサバテロ選手の3ラウンドKO勝利となった。
第7試合:中村大介 vs. 桜庭大世
第7試合:中村大介 vs. 桜庭大世
RIZIN MMAルール:5分 3R(71.0kg)
結果:中村大介◯ vs. ●桜庭大世 ※2R 一本
6月に45歳の誕生日を迎える第7代DEEPライト級王者・中村選手と、桜庭和志選手の長男であり、大晦日のMMAデビュー戦でベテランの矢地選手を相手に瞬殺KOを飾った26歳の桜庭選手が激突。
実力はまだ未知数な若手が、再びベテランの中村選手と対峙。老獪な中村選手を相手にどう攻めていくのか。
1ラウンド。ノーガードで挑発的な中村選手を相手に、果敢に攻めていく桜庭選手。しかし組み付きからのテイクダウンを許してしまい、肩固めの体制を取られてしまう。
ガードしたい桜庭選手だが、しっかりと腕も押さえ込まれる展開に。それでも強いフィジカルを武器にエスケープに成功。ゴング間際にハイキックで中村選手の顔を捉える。
展開的にも体力的にも早期決着したい中村選手だったが、2ラウンド目に突入。すると、互いに激しい打撃の撃ち合いに。その攻防の中で桜庭選手がフラッシュダウン。
それを機と見たのか、再びグラウンドの展開に。腕を取りに行く中村選手。しかし桜庭選手も三角絞めで応戦。様々な締め技、関節技を連続で仕掛けていく中村選手。詰将棋のような攻防の中、ついにアームバーが決まり、桜庭選手の腕が伸び切ったところでタップアウト。
自身の誕生日を前に中村選手が歳の差マッチを制した。
第8試合:神龍誠 vs. 伊藤裕樹
第8試合:神龍誠 vs. 伊藤裕樹
RIZIN MMAルール:5分 3R(59.0kg)
結果:神龍誠◯ vs. ●伊藤裕樹 ※判定3-0
7月開幕予定の「RIZINフライ級GPトーナメント」を前に、レスリングをベースにしたグラップラーの神龍選手と、3月の香川大会を含めてRIZIN5連勝中のストライカー・伊藤選手が、堀口恭司選手不在のフライ級で国内最強の座をかけてあいまみえた。
1ラウンドは距離を測り合うようなはじまり。神龍選手が組み付きテイクダウンを狙うも伊藤選手も抵抗。極めようとする神龍選手だが、極まり切らないグラウンドでの攻防が続く。リング中央で上になった神龍選手がパウンドを浴びせ首を締めにかかるも極まらない。伊藤選手もしぶとく回避する。それでも神龍選手が試合を支配していた印象だった。
打撃での牽制から幕を開けた2ラウンド。伊藤選手が立ちでの攻撃を狙うも神龍選手がタックルでテイクダウン。神龍選手が背後から組んだ状態でロープぎわ、膠着するも再びグランドの展開に。
神龍選手は上からコツコツと打撃を当てると、マウントポジションからパウンドを繰り出すも当たらず。その後も羽交い締めの状態で伊藤選手の自由を許さない。伊藤選手は組み付きに対応するだけで精一杯。有効打を出せない状態が続く。
一方的な展開のまま3ラウンド目に突入。伊藤選手がスタート直後から膝蹴りで打撃戦を展開する。積極性が実り神龍選手の首を絞めにかかるもの不発。再びグラウンドの展開で神龍選手がマウントポジションを取る。逃れようとする伊藤選手と極めようとする神龍選手の一進一退の攻防。
背後からのパンチなども織り交ぜながら、神龍選手が最後まで伊藤選手の動きを封じた。結果は、神龍選手が3-0の判定で勝利を飾った
第9試合:皇治 vs. シナ・カリミアン
第9試合:皇治 vs. シナ・カリミアン
RIZINスタンディングバウト特別ルール:3分 3R(98.0kg)
※皇治は8オンスグローブ、シナ・カリミアンは12オンスグローブを着用
結果:皇治△ vs. △シナ・カリミアン ※引き分け
3月に当て逃げの疑いで書類送検された皇治選手が、東京ドームで迎える“禊”の一戦。体重差30kg以上の反則王ことカリミアン選手を相手に、皇治選手は不屈の闘志を見せることができるのか。
リング上の2人には圧倒的な身長差と体格差。皇治選手が果敢に攻撃を仕掛けるも、ダメージを与えられているかは微妙な状況。ロープぎわで組みになった時点でブレイクとなるため、試合全体としてもいまいちリズムに乗れない。カリミアン選手がやや積極性を見せて1ラウンドが終了。
2ラウンドもカリミアン選手が押し気味にスタート。皇治選手の打撃で跳ね返そうとするも、リーチの差からか有効打を放てない。そのまま最終3ラウンドに突入した。
皇治選手がパンチの連打、確実にカリミアン選手を捉える。両者疲れが見えるものの、パンチの打ち合いが続く。
しかし、大きな展開はないまま試合終了。結果は引き分けとなった。
第10試合:マレク・サモチュク vs. ダニエル・ジェームス
第10試合:マレク・サモチュク vs. ダニエル・ジェームス
RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント 1回戦
RIZIN MMAルール:5分 3R(120.0kg)
※ダニエル・ジェームス、0.8kg超過
結果:マレク・サモチュク◯ vs. ●ダニエル・ジェームス ※判定3-0
ヘビー級トーナメント第1回戦にして皮切りとなる試合。サモチュク選手はポーランドの団体KSWで3連勝中。ジェームス選手は決定率93%の強打が光る選手だ。しかし、ジェームス選手の前日計量の体重超過によりレッドカードにより減点された状況での試合となった。
減点もあり判定ではジェームス選手の勝ち目がなく、1ラウンド序盤から果敢にパンチで攻めていく。ヘビー級でも屈指の剛腕、その迫力に会場がどよめく。しかしサモチュク選手が組み付き、上から潰すような体勢に。
背中まではつけられないが腰がグラウンドについてしまい、ジェームス選手は立ち上がることができない。スクランブルの攻防で、ジェームス選手が片足を取り、そのままパワーで持ち上げて形勢を逆転。パウンドを数発お見舞いしたところでゴング。
2ラウンド目もアグレッシブに攻撃を仕掛けるジェームス選手。剛腕がヒットする音が広い東京ドームにも響く。しかしベビー級の体重もあってか、両者スタミナ的に不安を感じるパフォーマンス。打撃では不利と判断したか、再びサモチュク選手が組みついてテイクダウンに成功。しかしダメージを与えるような攻撃を仕掛けることができず、膠着した展開が続く。そのまま第3ラウンドへ。
ローキックで牽制するサモチュク選手と、ジャブで応戦するジェームス選手。明らかに体力を使い果たしている両者。サモチュク選手がタックルにいき、ジェームス選手をあっさりテイクダウン。
しかし、その後の展開がつくれず、審判からもアクションの声がかり、ブレイク。その後もサモチュク選手がテイクダウンして同様の展開へ。ヘビー級のバチバチとした試合を観たい観客からは、もやもやと物足りなさが残る試合となってしまった。
甲乙つけ難い内容だったが、判定はジェームス選手に減点が科されていることもあり、3-0でサモチュク選手の勝利となった。
第11試合:スダリオ剛 vs. ジョゼ・アウグスト
第11試合:スダリオ剛 vs. ジョゼ・アウグスト
RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント 1回戦
RIZIN MMAルール:5分 3R(120.0kg)
結果:スダリオ剛● vs. ◯ジョゼ・アウグスト ※判定0-3
日本ヘビー級の若手として期待されるスダリオ選手と、ブラジルの強豪・アウグスト選手の一戦。アウグスト選手はピットブル選手と同チームであることも知られている。こちらもヘビー級トーナメント第1戦。
ヘビー級らしからぬ軽やかならステップワークで距離を取るスダリオ選手に対し、強引に突っ込むアウグスト選手。スダリオ選手の出入りに対して、アウグスト選手の右ストレートがクリーンヒット。ダウンであわや試合が終わるかと思われたがアウグスト選手は追撃せず、続行。
ダメージはないのか、スダリオ選手はローキックで組み立て直す。その後は展開はないまま第1ラウンドが終了。互いの剛腕をいかに炸裂させるか、緊張感のある試合。
2ラウンド、互いに遠い距離でローキックの撃ち合い。じっくり削っていく作戦のように思えるが、審判からアクションの声がかかる。先に仕掛けたのはアウグスト選手。きれいなワンツーを放つ。手数の出ないスダリオ選手。
レフェリーも膠着した状況を鑑みて、ネガティブファイトによる注意を両選手に与える。アウグスト選手がサークリングで距離を取るスダリオ選手をコーナーに追い込むも、これも逃げられる。互いに攻め手に欠けたまま最終3ラウンドへ。
まずはスダリオ選手がワンツー。しかし間合いが遠く当たらない。ジャブで距離をつくるアウグスト選手。ダウンを取っていることもあり、ポイントアウトを狙う作戦かと思いきや、スダリオ選手がコーナーにいったところを飛び膝。しかし外れて自ら倒れてしまう。
スダリオ選手はすぐさま押さえ込むが、自らスタンドに戻す。ラウンド終盤にはじめてスダリオ選手の強打がヒット。しかし、どちらも高いパフォーマンスを発揮できず。勝負の行方は判定へ。
判定は3-0でアウグスト選手の勝利。日本ヘビー級の盛り上がりに重要な役割を持つスダリオ選手が、トーナメント1回戦で敗北する形となった。
第12試合:上田幹雄 vs. シビサイ頌真
第12試合:上田幹雄 vs. シビサイ頌真
RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント 1回戦
RIZIN MMAルール:5分 3R(120.0kg)
結果:上田幹雄◯ vs. ●シビサイ頌真 ※1R KO
ヘビー級トーナメント1回戦最後の試合は、極真空手世界王者からMMAに転向した上田選手と、日本ヘビー級を牽引してきたベテラン・シビサイ選手の日本人対決が早くも実現した。
試合開始直後から上田選手の強烈なインローが突き刺さる。なんとか隙を見て組み付きたいシビサイ選手だが、上田選手の第二、第三のカーフキックが炸裂。痛みに耐えきれず、シビサイ選手が戦意喪失。
上田選手が見事なKO勝利を飾り、日本人として唯一、ヘビー級トーナメントの準決勝に進出を果たした。
第13試合:萩原京平 vs. 西谷大成
第13試合:萩原京平 vs. 西谷大成
RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
結果:萩原京平◯ vs. ●西谷大成 ※1R KO
RIZINでは勝ち星がなく、なぜかいじられキャラとして確立してきた西谷選手と、RIZIN屈指の人気選手である萩原選手の一戦。共に戦績は良くないが、独特の雰囲気から高い支持を得ている。
萩原選手の弱点である寝技にいかにして持ち込むのか──そう考えるまもなく、1ラウンドから西谷選手は強引にタックルを仕掛けるが倒せず四つ組に。しかし引き離す萩原選手。
再びスタンドになると、西谷選手は左右のパンチを振りながらタックルするも、切られる。スタンドでは萩原選手の鋭い攻撃が光る。コンビネーションを織り交ぜた強打により、西谷選手が大の字に倒れるノックダウン。
これまで「組まれたら負け」という印象の強かった萩原選手。そこでの攻防にもたしかな成長を感じさせ、最高のKO勝利を成し遂げた。
第14試合:高木凌 vs. 秋元強真
第14試合:高木凌 vs. 秋元強真
RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
結果:高木凌● vs. ◯秋元強真 ※判定0-3
弱冠19歳の逸材・秋元選手と、フェザー級でも強打で知られる高木選手のストライカー対決。秋元選手はこれまでバンタム級での参戦だったが、今試合が初のフェザー級での試合となる。階級変更がどのように作用するのかも勝敗を左右する。
1ラウンドは、カーフや関節蹴りで仕掛ける高木選手に対して、冷静に対処する秋元選手。秋元選手はじりじりと距離を詰めてプレッシャーをかけていく。秋元選手のコンパクトな打撃が当たりはじめると、高木選手はテイクダウンを狙いにいくが外される。
なんとか組みついてピンチを逃れる高木選手、しかしそれも外される。高木選手としては武器がどれも通用せずにやりづらい印象。秋元選手はリーチの長いパンチを当て続けて好印象。そこまま第1ラウンドが終了。
続く2ラウンドがはじまると、高木選手はカーフキックと関節蹴り、秋元選手はジャブを差す展開。有効打の数では秋元選手が圧倒か。組み付かれても膝蹴りを出して着実にダメージを重ねる。ここで秋元選手の急所にローブローが入ってしまい試合中断。
高木選手のタックルにカウンターを合わせる形で打撃をラッシュする秋元選手。そのまま組み付き、バックを取ることに成功。高木選手も逃れるも、そこにも足関節を合わせられる。高度な攻防の中でも終始秋元ペースで進み、第3ラウンドへ。
迎えた最終第3ラウンド。得意な打撃で押されつづけている高木選手は、逃げるような形でタックルにいくが、逆に秋元選手がバックポジションを取り、チョークを狙う。しかし片腕で決まらない。
グラウンドでも秋元選手が譲らないが、判定では後のない高木選手も執念をみせ、一発逆転のバックチョークを狙う。意地と意地がぶつかるスクランブルの攻防で、会場はこの日最高の盛り上がりに。勝負は判定に持ち込まれた。
結果は秋元選手が3-0で判定勝利。打撃でも寝技でも、一段上のレベルを感じさせた。
第15試合:朝倉未来 vs. 鈴木千裕
第15試合:朝倉未来 vs. 鈴木千裕
RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
結果:朝倉未来◯ vs. ●鈴木千裕 ※3R TKO
セミメインイベントは、朝倉未来選手と鈴木千裕選手の一戦。今大会は朝倉選手の復帰大会として当初企画されており、紆余曲折の後に、前フェザー級チャンピオンの鈴木選手の緊急参戦が決まった。
「男祭り」を「男気祭り」と形容した朝倉選手はいかにして前チャンピオンと対峙するのか、朝倉選手側の作戦次第で展開が分かれる試合だ。
先に仕掛けたのは朝倉選手。鋭い強振から打撃を警戒させ、足を取りにすぐさまタックル。コーナーに押さえつけながら鈴木選手をテイクダウンすることに成功する。そのまま展開をつくれないものの、第1ラウンドは朝倉選手優勢で終了。
第2ラウンドは左右のパンチをぶん回す鈴木選手の攻撃を掻い潜り、再びタックルに入る朝倉選手。1ラウンドと同じくコーナー際に押し付け、グラウンドでコントロールする。
最終第3ラウンドは、互いの打撃が交錯する中で、両者共にクリーンヒット。判定で不利な鈴木選手が猛攻を仕掛けるも、朝倉選手が飛び膝によるカウンターを見舞う。スクランブルにもつれ込み、鈴木選手が朝倉選手の腕を取るが、出血が激しくドクターチェックへ。
鈴木選手が出血多量による試合続行不可能(ドクターストップ)となり、ファンが長年待ち望んだ朝倉選手の勝利となった。
第16試合:クレベル・コイケ vs. ラジャブアリ・シェイドゥラエフ【フェザー級タイトルマッチ】
第16試合:クレベル・コイケ vs. ラジャブアリ・シェイドゥラエフ
RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
結果:クレベル・コイケ● vs. ◯ラジャブアリ・シェイドゥラエフ ※1R KO
メインイベントは、MMA歴13戦13フィニッシュ勝利を記録する怪物・シェイドゥラエフ選手と、RIZINフェザー級であらゆる選手をリングに沈めてきたチャンピオン・クレベル選手のタイトルマッチ。
無敗の挑戦者に対し、RIZINという舞台を牽引してきたクレベル選手はいかにして迎え撃つのか。朝倉vs鈴木戦で最高潮に達した熱が冷めやらぬ中で、試合の幕が上がった。
圧倒的なフィジカルと攻撃力を持つシェイドゥラエフ選手に対し、クレベル選手はいかにして隙をついて一本を決めるのか。
試合はすぐに動いた。蹴りで展開をつくるクレベル選手に対し、強引にパンチで距離を詰めるシェイドゥラエフ選手。連打の中で右フックの強打がクレベル選手の側頭部を捉え、ダウン。一撃で意識を持っていかれた。
1ラウンド1分2秒、クレベル選手はキャリア初のKO負け。シェイドゥラエフ選手は事前の予想を上回る強打を見せ、見事にフェザー級タイトルを獲得。新チャンピオンが誕生した。
©︎RIZIN FF

この記事どう思う?
関連リンク
0件のコメント