総合格闘技団体・RIZIN FIGHTING FEDERATIONの代表をつとめる榊原信行CEOが、9月5日18時に記者会見を実施。
平本蓮選手及び朝倉未来選手(現在は引退)のドーピング検査(尿検査)の結果を発表した。発表によると、平本蓮選手及び朝倉未来選手の検査結果は「陰性」。
平本蓮選手を巡っては、7月の「超RIZIN.3」で朝倉未来選手との試合に勝利後、ドーピング疑惑が浮上。騒動の拡大を受け、9月2日に本人が会見で、「ドーピングの類は一切やっていない」と潔白を主張していた。
さらには、仮に血液検査や毛髪検査などの追加検査の要請があれば、「RIZIN側の指示に従う」とも語っていた。
9月5日の会見には、RIZINの榊原信行CEOに加え、事前に報じられていた通りドクター3名が登壇。RIZIN医療部 部長の諫山和男さん、同副部長の金成道さんと川口慶さんが同席した。
榊原信行CEOは、「2015年のRIZIN旗揚げ当初から、公明で公平な舞台であり、そこに禁止薬物があってはならないという考えのもと、すべてのタイトルマッチで厳格なドーピング検査を設けてきた」と説明。
RIZIN医療部 部長の諫山和男さんから、RIZINの検査体制の詳細が明かされた。「主催者側が結果を捏造するのではないか」との世間の声を受けて、あくまでも医療部は主催者から独立した、中立の立場であることを強調した。
RIZIN、ドーピング検査の抜本的見直しへ 厳罰化や血液検査も視野に
加えて、榊原信行CEOは、これまで厳しいルールを設けてきたが、平本蓮選手を巡る騒動を受けて、「試合当日の検査だけというルールを抜本的に見直す」と明言。当日の検査だけで中立が保たれない、公明正大さが保たれないのであれば、改善する意向を示した。
医療部をはじめドーピング検査チームなどの意見を踏まえ、経済的な負担は大きくなるものの、ドーピング規定の見直しと、新たなドーピングポリシーの策定を進める。
その上で、「必要であれば血液検査も取り入れていきたい」とコメント。一方で、選手や選手関係者に対して、主催者として勉強会や講習会を実施。有識者を迎え、ドーピングに対する意識の啓蒙を行い、何がドーピングに該当するかを伝えていきたいとした。
また、罰則の厳罰化を宣言。今回の騒動を受けて、罰金をはじめとした選手に対する規制を強化する。選手との契約においても、より厳しい規約を設けていく。
「日本のプロスポーツにおけるドーピング基準を徹底的に学びたい」とし、「学んだことをRIZINにフィードバックして、信頼回復のために全力を挙げる」と語った。
平本蓮には大晦日RIZINの出演も検討「血液検査に応じてもらうことになると思う」
ルール改定後は、WADA(世界ドーピング防止機構)の基準に基づき、ドーピングを企てただけでも違反に該当する可能性もあると言及。直接話をしたという平本蓮選手に対しては、「猛省してほしい」とコメント。
今後、大晦日の試合をオファーすることになるとして、その際は「血液検査にも応じてもらうことになると思う」と明言。その検査結果が陰性であれば、具体的なオファーを進めることになるという。
榊原信行CEOは平本蓮選手に対して、「疑惑を起こしてしまったことに対して反省し、自分自身の行動規範を変えるきっかけにしてもらいたいし、僕らも向き合っていきたい」とコメント。
実際、平本蓮選手の「買ったけど使ってない」との主張は、「『本当?』と思ってしまう」と心境を吐露。そういう“疑惑”の状態になってしまったからこそ、「今後の試合に向けてより厳格化な検査を取り入れ、それをパスした上で身の潔白を示していくしかない」と主張。
さらに「出場する選手や関係者も意識を改めて、メイドインジャパンのRIZINとして、次なる10年に向けて変わっていきたい」と力を込めた。
榊原信行CEO「朝倉未来の引退試合に泥を塗ってしまった。未来が不憫でならない」
続けて、「プロモーターとしての立ち位置からは逸脱するかもしれない」と前置きしつつ、朝倉未来選手にも言及。
「僕は朝倉未来の活躍に一喜一憂し、彼の戦いに心を震わせた、7月28日の試合も4万人が熱狂した。彼の引退をかけた試合に、ドーピングの疑惑で泥を塗ってしまった、汚してしまったことが本当に悔しい。未来が不憫でならない。最終的には僕の責任。この場を借りて、朝倉未来にはお詫びしたい」
その上で、「ここ数年は、朝倉未来と朝倉海と共にRIZINの熱はつくり出したと思っている。それがああいった形で最後になってしまったのが、本当に申し訳ないし、悔しい。ファンも含めた関係者すべてにお詫びする」と謝罪した。
最後は改めて、「僕らはこれだけ世間を騒がせてしまったことを猛省し、ここから変わっていきたい」とコメントした。
なお、赤沢幸典選手の告発については、「赤沢選手とは会ったことがない」として、告発の中にあった「RIZINの関係者に相談した」などの主張に関しても、「(相談を受けたという事実は)まったくない」と語った。
朝倉未来戦に勝利、赤沢選手の告発──平本蓮選手のドーピング疑惑騒動
平本蓮選手は7月28日に開催された「超RIZIN.3」で、自らの引退をかけて臨んできた朝倉未来選手との試合に勝利。本マッチのために用意された「ラストマン・スタンディング(LMS)」のタイトルを獲得した。
しかし8月20日、SNS上で「復活の日本」を名乗るアカウントから投稿された音声動画により、ドーピング疑惑が浮上。音声動画には、平本蓮選手と何者かのドーピングに関するやり取りが収められており、格闘技ファンを中心に大きな波紋が広がった。
8月21日、RIZIN運営会社の榊原信行CEOは、9月開催の「RIZIN.48」に向けた記者会見で疑惑に言及。厳正な検査体制を説明した上で、尿検査の結果を待ってほしいと呼びかけた。
検査結果を待つ形でいったん事態は収束したかに見えたが、8月28日夜に平本蓮選手とも親交が深い総合格闘家・赤沢幸典選手が、音声動画を撮影したのは自分であるとXで告発。
「平本蓮選手から相談を受け、尿検査にひっかからないドーピングの方法を教えた」と主張した。
平本蓮「僕は必ずシロ」 RIZINの追加検査にも「従う」
赤沢幸典選手の告発によって、疑惑は大きな騒動へと拡大。格闘技ファン全体の注目を集める中、榊原信行CEOは8月31日にXを更新。
「ドーピングの検査結果を踏まえて、来週後半までには記者会見を必ず実施します。時間がかかっていますが、今暫くお待ち下さい」と、記者会見の実施を明言していた(※今回の会見となる)。
一方、騒動の拡大を受け、平本蓮選手は9月2日に独自に記者会見を実施。「ドーピングの類は一切やっていない」として、自身の潔白を報道陣に訴えかけた。
告発内容については、赤沢幸典選手との信頼関係もあり「ステロイドの類とは知らずに薬物を購入はしたものの、使用は一切してない」と強調。
その上で「僕は必ずシロなので、自分を信じてる。RIZINの検査結果を待ちたい」とコメント。仮にRIZIN側から血液検査や毛髪検査など、尿検査以外に追加検査の要請があれば、「RIZIN側の指示に従う」とも語った。
なお、平本蓮選手の会見に先駆けて、赤沢幸典選手はXで自身の主張の正当性を改めて訴えた。9月2日の会見以降、現在に至るまで更新されていない。
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