フェミニズムの視点から様々なゲームを批評する評論集『フェミニスト、ゲームやってる』(晶文社)が、5月24日(金)に刊行される。
『The Last of Us Part II』などのAAAタイトルから、『Unpacking』といったインディーゲームまで、幅広く批評の対象にしている。
著者はアーティスト/美術史家の近藤銀河さん。定価は1980円(税込)。
Wezzy連載のエッセイを書籍化した『フェミニスト、ゲームやってる』
『フェミニスト、ゲームやってる』は、Webメディア・Wezzyで連載されていた近藤銀河さんによるエッセイをもとにした書籍。
フェミニストで美術史研究者、パンセクシュアルで車いすユーザーの近藤銀河さんによるエッセイは、フェミニズムやクィアの視点からビデオゲームの面白さを伝える画期的な評論として、好評を博した。
フェミニズムの視点から『Apex Legends』などを批評する
書籍では『The Last of Us Part II』『Apex Legends』『アサシン クリード オデッセイ』『スプラトゥーン3』といった大作を、フェミニズムの視点から評論。従来のビデオゲーム評論にはなかった新たな観点を提示している。
さらに『ゴーンホーム』や『Unpacking』といったインディーゲームを多数取り扱い、クィア/フェミニズムといったテーマにどう捉えているのかを描き出している。
また、各タイトルの評論の合間に挟まるコラムでは、障がい、都市、コミュニティ、能力主義などのテーマで、『Horizon Zero Dawn』や『ストリートファイター6』など様々なゲームを横断的にピックアップ。
さらに、フェミニストに向けたゲーム制作ガイドも収録する。
『フェミニスト、ゲームやってる』収録「おわりに」より
「トラウマを語ったり、現実の世界の問題を考えたり、そうした行為を少しだけ遠く、少しだけコントロールできる状態でやっていく。ゲームのそんな機能に私は助けられてきた。そこでは自分にとって辛い問題を、距離をとりつつ思考することができる。この本も、誰かにとってそんな役割を持つことができたら、そしてそんなゲームを、フェミニズムを広めることができたら、そんなふうに考えながら今、書いている」
推薦コメント
ゲームをつくり、プレイし、プレイし損なう。そのすべてがフェミニズムの実践たりうると教えてくれる───三木那由他(哲学者)
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イベント情報
ゲーム評論集『フェミニスト、ゲームやってる』
- 定価
- 1980円(税込)
- 書誌
- 四六判並製、320頁、横128mm×縦186mm
- 装丁
- 佐藤亜沙美(サトウサンカイ)
- 装画
- 加川日向子
【著者 近藤銀河 (こんどう・ぎんが)】
1992年生まれ。アーティスト、美術史家、パンセクシュアル。中学の頃に難病 CFS/ME を発症、以降車いすで生活。2023年から東京芸術大学・先端芸術表現科博士課程在籍。主に「女性同性愛と美術の関係」のテーマを研究し、ゲームエンジンやCGを用いた作品を発表する。ついたあだ名が「車いすの上の哲学者」。ライターとしても精力的に活動し、雑誌では『現代思想』『SF マガジン』『エトセトラ』、書籍では『われらはすでに共にある──反トランス差別ブックレット』『インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド──ゲームの沼』『SF作家はこう考える』など寄稿多数。本書が初の単著。初めてやったゲームはまったくおぼえていない。
【目次】
Ⅰ あの有名なゲーム
#01 かくして私は収奪と救出に失敗する
──「ピクミン4」、やってみた
#02 多様なキャラクターのシューターゲーム
──「スプラトゥーン 3」「オーバーウォッチ」「エーペックスレジェンズ」、やってみた
#03 選べない環境と自分自身のはざまで
──「ラスト・オブ・アス パート2」、やってみた
【コラム】ボーイズクラブとしてのゲームコミュニティ
Ⅱ クィアが活躍するゲーム
#04 大作ゲームの女性表象とクィア表象の歪みと良さを体現する
──「アサシン クリード オデッセイ」、やってみた
#05 ゲームの難しさがマイクロアグレッションを表現する?
──「セフォニー Sephonie」をやってみた
#06 クィアがオプションじゃない恋愛ゲーム!
──「ボーイフレンド・ダンジョン Boy Friend Dungeon」、やってみた
【コラム】語られるレイシズム・語られないセクシズム
Ⅲ マイノリティの日常を感じるゲーム
#07 トランスジェンダーの日常と過去の解釈
──「テル・ミー・ホワイ Tell me Why」、やってみた
#08 バイセクシュアルの表象とモノの方を向くお引っ越しゲーム
──「アンパッキング」、やってみた
#09 トランスジェンダー男性同士の交流を描く
──「ペイトンの術後訪問記 Peyton’s Post-Op Visits」、やってみた
#10 卒業間近のノンバイナリーの学生たちの日常を活写する
──「ノーロンガーホーム No Longer Home」、やってみた
【コラム】成果を礼賛するゲームと差別の乗り越え
Ⅳ 80-90 年代を描くゲーム
#11 90 年代の Zine とレズビアンの反抗物語
──「ゴーンホーム Gone Home」、やってみた
#12 クィアなミドルエイジ女性の過去・現在・未来を描く
──「レイク Lake」、やってみた
#13 トランスジェンダー女性記録を消しながら記憶をたどる
──「イフ・ファウンド… If found…」、やってみた
【コラム】ゲームと障がいはじめに なぜフェミニスト、ゲームやってる
Ⅴ 歴史を想像するゲーム
#14 台湾の戦後と恐怖を再訪するホラーゲーム
──「返校-Detention-」、やってみた
#15 哀悼と歴史の可能性を考える
──「シベリア:ザ・ワールド・ビフォー Syberia: The World Before」、やってみた
#16 男らしさに呪われる運動家たちの殺人事件
──「ディスコ エリジウム Disco Elysium」、やってみた
#17 社会運動の理想と抵抗のあいだに…
──「スパイダーマン:マイルズ・モラレス」、やってみた
【コラム】オープンワールドと都市の遊歩者
Ⅵ ファンタジー世界を旅するゲーム
#18 ヘイターと戦うレズビアンでトランスなロードムービー
──「ゲット・イン・ザ・カー、ルーザー Get In The Car, Loser! 」、やってみた
#19 過去と未来を作り変えられる魔女になってどうする?
──「コズミックホイール・ホイール・シスターフッド The Cosmic Wheel Sisterhood」、やってみた
#20 かつて私は、あのゲームの余白にフェミニズムやクィアを投影していた
──「ドラゴンクエストⅥ」「ファイナルファンタジーⅥ」「MOTHER2」、やってみた
【コラム】ゲームを作るフェミニストとクィアな人たち
おわりに フェミニストたち、ゲームやっていく
参考文献
さらにゲームを知るための文献リスト
フェミニストのためのゲームリスト
関連リンク
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