Live2D×実写で表現した“そこに居る”存在感「Live2D Awards」グランプリインタビュー

一緒に大人になったゲーム仲間との共同制作

──ここまでのやりとりからも仲の良さがうかがえますが、そもそも2人はどういった関係なのでしょう?


まほうしょうじょ 元々『Splatoon(スプラトゥーン)』を通じてオンラインで知り合って、それからずっとゲーム仲間ですね。たまに通話して、時事問題や将来について語り合ったり。お互い成人になる前からなので、もう8年くらいの付き合いです。一緒に大人になってきたんだなぁって思います。


sokat なんかエモい言い方しますね(笑)。


──今まで一緒に作品を制作したことはなかったんですか?


まほうしょうじょ 僕はアニメーションでsokatは音楽と、それぞれで創作活動はしていたんですが、フィールドが違うので一緒に何かをつくる機会はありませんでした。いつかは一緒にやりたいと思っていたので、今回『海と休日』という作品を制作できて、すごく満足しています。

sokat 僕はまほうさんがXに投稿しているモーション動画を見て、すごい人だって思っていたんですよ。だから、今回のアワードへの応募を通じて、まほうさんには「もっと有名になってくれ!」っていう気持ちでした。


まほうしょうじょ そうだったの?!


──これまでのものづくりの経歴についても教えてください。


まほうしょうじょ Live2Dでの制作を始めたのは2018年からです。一番最初のきっかけは、たぶんSNSとかで見たrariemonnさんがつくったアニメーションだったと思います。それから本人のLive2Dのメイキング本を参考に勉強していました。


その後、Live2Dクリエイターが参加するカンファレンス「alive」にも参加して、いろいろ刺激を受けましたが、翌年に就職したのであまり個人制作はできていませんでした。たまに1人でつくったアニメーションを公開して、反応をもらうくらい。ゆるく続けていました。

sokat 僕は高校3年生の頃、YouTubeに演奏動画を投稿している人たちに憧れて、ピアノを始めました。


ただ、その人たちは楽譜がないような曲を耳コピで弾いていたんです。だから、真似するために動画を止めながら、鍵盤上の指の位置を見て楽譜に起こすっていう、途方も無い作業をやっていました。


──すごい……。


sokat そこからコード理論にもハマって、好きな曲をピアノアレンジしたり、自作の曲をYouTubeで公開したりするようになりました。


──ちなみに普段のお仕事はどのようなことをされているのでしょう?


sokat Web系のエンジニアで、最近は技術広報みたいなこともやっています。映像制作とはあまり関係ないんですが、他のスタッフの背中を押すような仕事も多いので、まほうさんにも気づかないうちに発破をかけていたのかもしれません(笑)。


まほうしょうじょ そうなんだ(笑)。僕はデザイン会社所属のモーションデザイナーです。主にソーシャルゲームのモーション制作やディレクションを担当しているので、仕事でも個人制作でも同じようなことをやっていますね。

実写とLive2Dの融合だからできたこと

──グランプリを受賞した作品『海と休日』は、全体的に実写背景を用いているという点を活かした表現が特徴的でした。


まほうしょうじょ 実写背景だからこその表現を考えた時に、視点を固定した状態でキャラクターを追うようなワンカット長回しができると思ったんです。


従来の2Dアニメーションで、背景を併せて動かそうとするとかなり大変なので。そういった表現が比較的容易な実写背景の利点を活かしながら、特に映像終盤の見せ場ではできるだけワンカットでつくることにこだわりました。

『海と休日』にはワンカット長回しを用いたシーンが随所に登場

上の画像からここまでワンカット長回し

──素敵なロケーションでしたが、実写という意味では撮影場所の選定にも理由があったんでしょうか?


sokat 撮影場所は僕の地元の近くなんです。今回の作品の裏テーマとして、地方創生みたいなものを考えていました。個人的に、地元の宮崎県が何かの聖地になったらいいなと思っていたので。


撮影場所を探していく中で、海の向こうに島が見えるきれいな景色が決め手になって、大堂津に決めました。その後母親から聞いたんですが、大堂津の海水浴場には子供の頃よく行っていたらしくて、思わぬ形でストーリーも生まれてました。

『海と休日』に登場する場所は、宮崎県日南市にある大堂津の海水浴場

まほうしょうじょ いい話。


──撮影にあたって、JR九州、日南市役所観光・クルーズ課に許可を取ったようですが、グランプリ受賞は報告されましたか?


まほうしょうじょ 完成時に報告しました。すごく喜んでくれた……というか、正確には直接やり取りしていた方は「映像の知識がないのでよくわからないけど、周りがすごく盛り上がってる」と教えてくれて、ちょっと微笑ましかったです。

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