Chim↑Pom展覧会「ナラッキー」新宿歌舞伎町の王城ビルで開催

歌舞伎町アートセンター構想委員会メンバーのコメント

方山堯さん
ニューヨークのマンハッタンには、大規模・大衆的・ヒマワリ的存在の「ブロードウェイ」と、中小規模・前衛的・月見草的存在の「オフ・ブロードウェイ」「オフ・オフ・ブロードウェイ」があることで知られています。王城ビルは1964年の竣工以来、常に旧新宿ミラノ座、旧新宿コマ劇場、そして新築の東急歌舞伎町タワーといった街の巨人たちを微かに意識し、場を作り、そして発展してきました。これは決して今回のアートという文脈のみならず、これまで王城で名曲喫茶、キャバレー、カラオケ店、そして居酒屋を営む中で、常に”ブロードウェイ”を横目にしてきたと言えるでしょう。そこには”オフ””オフ・オフ”ならではの歴史があり、人の出会いがあり、そして想いが小規模ながら凝縮して染み込まれています。今回のテーマである「表舞台」と「奈落」の関係性も、まさにこの考えに類するものと言えると思います。祖父の代に造られたこの特異な建造物を引き継いでいくことこそが私の人生の使命ですが、今回のアートイベント、そしてこれから更に未来を創造する中で”オフ””オフ・オフ”であり続け、小さく強く光り輝くことに、この上ない喜びを感じざるを得ないと思っております。

卯城竜太さん
そもそも歌舞伎町は、モノを売ってきた街ではない。コトを、サービスを、身体を売ってきた街である。街とアートの歴史を見ても、「ゼロ次元」や「新宿少年アート」、「状況劇場」、Chim↑Pomでいえばエリイの結婚デモや解体間近のビルでの展示など、ハプニングや身体表現が勃発する場所だった。そのような街にアートスペースなど可能だろうか?美術館型のホワイトキューブにとって物質性と不変性はデフォルトである。歌舞伎町で起きてきたことはまさにその真逆、パフォーマティブな流動性によるアクシデントだった。だからこそ、劇場型のまちづくりにあっても歌舞伎町には、美術館が必要とされてこなかった(のではないか)。この街にあえて「美術館」ができるとしたら......そこで鑑賞されるのはきっとモノではなく、完全なる出来事だろう。そんな展示スペースは可能だろうか?

手塚マキさん
「てめーら1時間後に死ぬかもしれねーんだろ?だったら楽しもうぜ!」高級シャンパンが入ったホストクラブの席で売れっ子ホストが叫んでいる。この町は湿地の上に立つ盛り場だ。角筈から運ばれた土がこの沼地の水を塞ごうとしてもなお、明日のことを考えていないヒトたちの泥酔した汗が、熱気のこもったゴールデン街の息苦しさのなかを、地下のホストクラブのひびわれた壁をつたう水のなかを彷徨っている。湿り気、それは我々がうとましくおもい、包みかくそうとしてきたものではなかったか。それでも私は、他人の目など気にせず湿り気に誘われて沼にはまる時間が人間には必要だと思う。肩書や役割を捨て、ただの1人の人間として。

山本裕子さん
新宿・歌舞伎町は戦後の復興計画にあっても多様性に溢れ、1960年頃からは多くの前衛芸術家らが活動してきた場であり、今なお路上文化が息づく、東京最後の有機的な繁華街です。ここに居場所を見つけた生身の人間が本音で生きる街のそのリアルな様は、怖くもあり、清々しくもある。Chim↑Pom from Smappa!Groupや東急歌舞伎町タワーのアートプロジェクトに関わる中で、この街を魅力的にしているのは、まさにその人間たちがつくってきた文化だと実感しています。王城ビルで新たに立ち上がった地元の機運と共にある芸術活動が、日本のアートシーンの一つになり、その特性から、翻って最もインターナショナルな評価を得てしまう可能性を感じます。

田島邦晃さん
奈落は地獄なのだろうか。ずっと考えている。奈落は「土」であり、土の上は舞台であり、その上で踊るぼくたちは「風」ではないだろうか。詩人の岩崎航が「漆黒とは、光を映す色のことだと。」と詠んでいる詩を思い出した。奈落の底からは光が噴き出し、その上で僕たちは踊る。奈落は希望であり、風土を作り出している。
いみじくもChim↑Pom from Smappa!Groupは、今回のテーマを「ナラッキー(Na-Lucky)」とした。奈落の底の希望を感じ、漆黒の中の光を浴びて踊る、傾奇者になる。

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イベント情報

Chim↑Pom from Smappa!Group展覧会「ナラッキー」

会期
2023年9月2日〜10月1日
※火曜日休館
会場
王城ビル(東京都新宿区歌舞伎町​1-13-2)

・開館時間
15:00〜21:00 (最終入館20:30)
*1Fレストランは22:00まで営業
※ただしイベントによって時間変更予定

・料金
2,000円 (併設されるレストランは入場無料)
※学生の方は学生証提示で1,500円
※障がい者の方は手帳提示で1,500円
(付き添い1名まで。なお、館内のバリアフリー未対応ですのでご留意ください)
※新宿区民の方は入館時証明書提示で100円引
※4歳未満無料、キッズルーム完備

・お問い合わせ
会場について info@picpeck.jp
展覧会について info.chimpom@gmail.com

企画
歌舞伎町アートセンター構想委員会、Chim↑Pom from Smappa!Group

主催
大星商事株式会社、Chim↑Pom from Smappa!Group、Smappa!Group

共催
ANOMALY

協賛
東急歌舞伎町タワー

後援
新宿区(予定)、歌舞伎町商店街振興組合、一般社団法人ナイトタイムエコノミー推進協議会

協力
尾上右近事務所、OIP、無人島プロダクション、WHITEHOUSE、studio ghost、浅草公会堂

スペシャルサンクス
尾上右近

出演者
東京 QQQ
アオイヤマダ×夢無子、KUMI、高村 月×RYO SATO、MONDO、もしもしチューリップ(KUMI、山田ホアニータ、ちびもえこ)×ANNA FUJIWARA、キリーシャクレイ×宮原夢画、平位蛙、かんばらけんた

キャスティング
Oi-chan

制作協力
東弘一郎(あずま工房)、周防貴之、滝本信幸、松田修、渡辺志桜里、西村健太、稲永英俊、石谷岳寛、 山口淳、山村一輝、涌井智仁、福田亮、山本彩、笹原花音、西岡七歩子、板垣賢司 (順不同)

イベント(予定)
・会期中、毎週土曜日夜は、Smappa!Groupプレゼンツ・涌井智仁、古藤寛也、シャララジマなどによるイベントを開催予定。イベント中はいくつかの展示はご覧いただけません。
・なお、9/12(火)は、Oi-chanオーガナイズイベントを予定しています。
・会期中、トークセッションも予定しています。

イベントの詳細は逐次更新いたします。

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