米山舞 個展「EYE」レポート SNS時代に再構築するイラストレーションの可能性

米山舞 個展「EYE」レポート SNS時代に再構築するイラストレーションの可能性
米山舞 個展「EYE」レポート SNS時代に再構築するイラストレーションの可能性

米山舞 個展「EYE」

イラストレーター・米山舞さんの個展「EYE」がPARCO MUSEUM TOKYO(渋谷パルコ4F)にて開催されている。

期間は5月12日(金)から5月29日(月)。米山舞さんにとって、個展の開催は約2年ぶりとなる。

今回の展覧会は、昨今のイラストレーションシーン、あるいは自身という存在そのものへの危機感が批評性としても立ち上がる、唯一無二の展覧会だった。

「イラストレーターはこの先、どのような可能性を提示できるか」

米山舞さんはガイナックスのアニメーターとしてキャリアをスタート。その後はトリガーでアニメ『キズナイーバー』『ダーリン・イン・ザ・フランキス』等の作品で作画監督を担当。

現在はクリエイター集団「SSS by applibot」の一員として活動しながら、個人のクリエイターとしても、常に新たな表現を磨き続けている。 SNSの普遍化に伴い、イラストレーターの活躍の場は広がり続けている。その一方で、その前線を走ってきた彼女は「イラストレーターはこの先、どのような可能性を提示できるか」と語る。

集団制作で「イラスト」の在り方、そのものを見つめ直す展覧会

そんな心配をしてるくせに、SNSとかで、人の絵を流し観てしまうような自分がいて──本当にそれでいいのかと

米山舞さんが近年の活動を通して取り組んでいるのが、イラストという表現自体の拡張だ。彼女の物質的で3次元的なイラスト展示の表現は、以後、様々なイラストレーターの展示に影響を与えている。

「普段表現しているものとから更に、楽しみ方の拡張をするべく展覧会という方法で、何かできるようなことはないかと考えたんです」

今回の「EYE」では、さらにその物質的なイラスト表現を進化させた展示になっている。

マテリアルなレイヤー構造を推し出した作品、最新の印刷技術を用いた作品、手づくりガジェットを用いたアニメーション作品、センサーに反応して表情を変える作品など、様々な観点から、イラストという概念を見つめ直す。 個展「EYE」ではイラストレーターの仕事というには、あまりに多岐に渡る表現・展示方法が採用されている。もちろん、米山舞さんだけの力でそれらが実現したわけではない。

「今回の展示は、いろんな企業や分野のクリエイターの皆さんの力をお借りして、集団制作を一つのテーマとして取り組んでいます」

かつて米山舞さんは、アニメーターからイラストレーターとして独立した契機の一つとして「集団制作だと、どこまでが自分の成果で、責任だったのかわからなくなってしまう」という旨の発言を、どちらかというとネガティブな意味合いで挙げていた。 展覧会に関わったスタッフ一覧が掲出されているが、まさにアニメ作品のエンドロールのように、膨大な人数が関わっていることがうかがえる(作品も含めて、是非とも実際に現場で観てほしい)。

イラストレーターとして活動をはじめたときは「一人」や「自分」であることに拘っていた米山舞さん。

「今回の展覧会をやってみて、改めて集団制作は良いなと(笑)。むしろ今こそ、アニメをつくってみたいと思っているんです」

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