連載 | #5 「新潟国際アニメーション映画祭」特集

大友克洋、りんたろう新作の上映会にサプライズ登壇「りんさんなので、やるしかない」

大友克洋「次は監督として新潟国際アニメーション映画祭に来たい」

サプライズ登壇した大友克洋さんは、映画祭の開催前からTwitterで現地参戦を宣言。あくまでもプライベートでの参加とみられていたが、映画祭内では大友克洋監督作品の特集上映もあり、ファンの間ではイベント登壇への期待が高まっていた。

本作にキャラクターデザインで参加した大友克洋さんは、「りんさんなんで、やるしかないんですよ。山中貞雄は好きですから良かったです。なかなかこんな仕事はないですからね。“山中貞雄を描いてくれ”なんてないですから。楽しかったです」と制作を振り返った。

ちなみに大友克洋さんは、りんたろう監督の『幻魔大戦』(1983年)でアニメーション制作に初参加。当時もキャラクターデザイナーをつとめており、そうした関係性もうかがえるコメントだ。 また、もともと江戸時代の物語は好きだということで、「夜寝る前は『半七捕物帳』を読んでますから」という大友克洋さん。

自らも江戸時代をテーマに作品をつくってみたいと語るも、「難しいんですよ。当時の感じがわからない。昔の無声映画の頃のセット、あれが一番ね、当時の美術の人間が江戸時代を知っているんですよ。なので、あれを見ると江戸ってこんな感じだったんだろうなっていうのがわかるんですよね。『人情紙風船』もすごい瀬戸っぽいですよね。今ああいう江戸はつくれない」と、江戸時代を舞台にした作品をつくる難しさに言及した。

なお、大友克洋さんは「次は監督として新潟国際アニメーション映画祭に来たい」とも語っており、新作への期待も高まる。

山中貞雄の3作品と共にフランスで上映決定

本作で弁士役として出演した声優の小山茉美さんは、「無声映画(の弁士役)ですから普通の芝居とは違うので、悩みました」と告白。しかし「今回は冒険というか実験というか、新しい試みをさせていただきました」とコメント。

今回は台詞を録った後に音楽や効果音をつける一般的なやり方と違い、音楽との掛け合いでの収録に挑戦したという。収録の前に送られてきた絵コンテも参考にしながらの収録では、江戸弁のニュアンスが一番難しかったのこと。

そのため「監督が送って下さった志ん生の落語のテープで勉強しました」と裏話を語っている。

トークパートの最後には、共同制作者としてフランスから来日したMiyuプロダクションのエマニュエル=アラン・レナールさんと、ピエール・ボサロンさんも登壇。

山中貞雄さんの3作品とともに、『山中貞雄に捧げる漫画映画 「鼠小僧次郎吉」』がフランスで上映されることを報告した。
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「新潟国際アニメーション映画祭」特集

アジア最大の長編アニメーション映画祭として開催される「第1回新潟国際アニメーション映画祭」。 2023年3月17日〜22日までの期間中、これまで多かったアート寄りの短編アニメを扱う映画祭とは異なり、長編商業アニメーション部門にフォーカス。 審査委員長を押井守監督がつとめ、世界15ヶ国から10本の作品がエントリーしたコンペティションのほか、大友克洋監督の作品を特集するレトロスペクティブ、りんたろう監督、永野護監督、片渕須直監督、磯光雄監督らが登壇するイベントを実施。 現地取材を交えながら、世界を見据えるアニメ映画祭の模様をレポート。

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