漫画『ガンニバル』レビュー Disney+実写ドラマも話題、狂気の食人サスペンス

漫画『ガンニバル』レビュー Disney+実写ドラマも話題、狂気の食人サスペンス
漫画『ガンニバル』レビュー Disney+実写ドラマも話題、狂気の食人サスペンス

『ガンニバル』最終巻となる13巻の書影。本記事の画像はすべてAmazonから。

12月28日からディズニープラスで独占配信されているドラマ『ガンニバル』が、どうやら2022年最後の話題作になりそうです。

閉鎖的な山間の村に赴任した駐在員が、村を支配している“後藤家”の食人疑惑を追求していくなかで、信じがたい実態と狂気の因習に直面するというあらすじになっています。
衝撃の実写化! ドラマ『ガンニバル』本予告
主演・柳楽優弥さんのハマりっぷりもさることながら、実写で食人を描くというタブーに挑戦した制作陣の思い切りも凄まじく、1話から振り切ってる……!

この記事では、このドラマの原作である二宮正明さんによる同名漫画を、極力ネタバレを抑えてレビュー。その面白さを3つの要素にまとめてご紹介します!

1.閉鎖的な村×食人の悪魔的な組み合わせ

『ガンニバル』1巻の書影。表紙からヤバいし、中身はもっとヤバい/Amazonより

ホラー・サスペンスの鉄則はいくつか挙げられますが、なかでも“閉鎖的な空間や人間関係”をつくるのは必須でしょう。

定番は隔絶された村や離島で、『ガンニバル』の舞台も山間の村。妻と最愛の娘を連れて赴任したばかりの駐在員の主人公は、村社会の独特の慣習に苦労しながらも村人と交流。

仲を深めていくのですが、そんな折に警察官としては放っておけない村人の“食人”疑惑が持ち上がり、主人公は捜査をはじめます。

しかしそうすると、仲良くなったかと思われた村の人々も態度を硬化。徐々に排他的な性質を露わにし、家族の周囲にも怪しい影がちらつくように。

そうして主人公は、肉体的にも精神的にも極限まで追い込まれていく……この“閉鎖的な村×食人”の悪魔的な組み合わせが本作の肝です。

2.決して善人ではない主人公の異常性

『ガンニバル』3巻の書影。これが誰の眼なのか考えると……/Amazonより

『ガンニバル』が面白い点は、主人公がまあまあイカれちゃってるやつだってことです。

重大なネタバレになるので詳細は控えますが、主人公は過去にあるトラブルを起こしており、それもあって村に赴任することになっています。いわゆる左遷です。

血の気も多く、言ってしまえば問題児なのですが、非常に優秀な警察官でもあり、1人でも捜査を進められる洞察力と勘、そして対人制圧能力を有しています。

それゆえに主人公は、どんな状況でも基本的な選択肢が「ガンガンいこうぜ」の一択。時に拳銃を掲げることも辞さない強引な捜査が必然的に後藤家の癇に障るので、自分も家族も危険に巻き込まれて状況はどんどん悪化。

最終的に、数少ない味方である人物にすら狂ってると称される怪物が誕生します

3.誰も信じられない! 複雑すぎる人間関係

『ガンニバル』2巻の書影は最大の謎・あの人/Amazonより

本作は複雑な人間関係が生むミスリードも巧みです。

村で唯一の神を祀る神社の家系で後藤家に次ぐ影響力を持つ神山家。どこか怪しげで飄々とした雰囲気の村長。作中の序盤に熊に襲われて死亡した村の絶対的権力者・後藤銀。そして後藤家のなかでも秘匿中の秘匿である“あの人”。

さらに、発狂して「お前らは人を喰ってる」と叫び散らかした後に消息を絶った主人公の前任である駐在員とその娘、主人公の前にふらりと現れて消えた顔面の半分を欠損している青年など、謎が謎を呼ぶキャラクターが続々と登場します。

また上手いのが、村で絶大な影響力を持つ後藤家の人間と他の村人との間には一線が引かれており、「後藤家とはかかわるな」が大勢の共通認識になっていること。

村人全員が敵ではない。しかし誰もが怪しい。そんな絶妙な塩梅で人間関係が描写されています。

だから読み進めるほどに複雑怪奇。謎が明らかになるたびに一から読み直したくなりますが、それ以上に先が気になって、ページをめくる手が止まらなくなるはずです。

なのでオススメなのは一気読み。ドラマもあわせて、年末年始のおともにいかがでしょうか?
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