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イラストAI「mimic」運営にイラストレーターが直撃 炎上とサービス停止、その裏側

イラストAI「mimic」運営にイラストレーターが直撃 炎上とサービス停止、その裏側

mimic運営インタビュー

8月末、SNS上で大きな波紋を呼んだAIイラストレーター「mimic(ミミック)」。

イラストをアップロードすることでAIがその特徴を学習、絵柄や画風といった“描き手の個性が反映されたイラストメーカー”を作成できるという、株式会社ラディウス・ファイブ(RADIUS5)が発表したサービスだ。

8月29日にベータ版がリリースされた際、「悪意のある第三者が他人の作品を学習させ、画風・絵柄を模倣したイラストを自分の作品として発表してしまうのではないか」という危惧から批判が殺到

ガイドライン上では「他人のイラストを勝手にアップロード」する行為は明確に禁止されていたものの、騒動は「mimic」のPRやヒアリングに協力したクリエイターに対する誹謗中傷にまで波及した。

それを受け、ラディウス・ファイブは不正利用を防ぐ仕組みが不十分であると判断し、翌日8月30日にベータ版の全機能を停止した。 賛否両論を集めた一連の騒動を、運営側はどのように見ていたのだろうか?

今回、ラディウス・ファイブ取締役の渡部玲児さんに、「mimic」開発の意図から騒動の経緯、そして今後の展望についてまで、イラストレーター・虎硬さんが話を聞いた。

取材・文:虎硬 編集:都築陵佑

目次

クリエイターのためのAIを開発「RADIUS5」

──画像生成AIの登場は、絵を描く人はもちろん、エンジニアなど多くの分野にインパクトを与えました。中でも「mimic」は、日本発のサービスということもあり色んな意味で話題になりました。開発側としてはどういう意図で「mimic」を世の中に出そうと思ったのでしょうか?

AIイラストメーカー「mimic」

渡部玲児(以下、渡部) ラディウス・ファイブでは、これまでもアニメを高解像度化できる「AnimeRefiner」や画像生成AI「クリエイティブAI 彩ちゃん」など、クリエイターのためのAIツールを開発してきました。

現状の技術では、AIで生成したものをそのまま作品に使えるほどのクオリティには至っていないので、今までとは違う形で「クリエイターがいじれるAIを渡せば面白いことができるのではないか」と開発したのが「mimic」になります。

企画自体は、1年ほど前にスタートしていました。結果として、我々の意図に反しご協力していただいたクリエイターの方々が誹謗中傷を受ける事態になってしまい、本当に申し訳なく思っております。

──2022年8月は「Midjourney」 や「Stable Diffusion」など高度な画像生成AIが話題になっていました。「すごいタイミングで出してきたな」と感じました。

渡部 それは本当に偶然ですね。画像生成AIに注目が集まっていたので、良くも悪くも話題になりやすいタイミングだったとは思ってます。

「mimic」は「Stable Diffusion」を利用したものではありません。

──ベータ版リリース時のプロモーションでは、いわゆる美少女イラストをメインに打ち出されていたかと思います。運営としては、そちらの方面のクリエイターに活用してほしいなどの意図はあったのでしょうか? 渡部 美少女イラストなど、特定のジャンルに絞る意図はなかったです。テスターとしてご協力いただいたイラストレーターの手がけているジャンルが、結果として偏っていたことはあるかもしれません。また人型以外のイラストは、顔認識の精度がまだ低いことも関係していると思います。

運営「架空のmimic像が広まってしまった」

──ここからは「mimic」のサービス発表から停止までの経緯について、具体的に聞ければと思います。騒動になってからわずか1日と、非常に早い段階で停止する判断を下しましたよね。

渡部 ベータ版のリリースが8月29日の朝方で、そこからお昼過ぎにかけて話題にしていただいたと認識してます。当初はサーバーを強化するなどの対応を急ピッチで進めていました。

それが夕方ごろになると「自分の絵を使わないでほしい」「悪用される」などネガティブな反応が増えてきました。

特にご協力いただいたクリエイターに対する誹謗中傷も確認できたので、開発責任者の判断で翌30日の朝には声明の準備をしました。 ──賛否両論を集めていましたが、ベータ版のリクエスト数はどれくらいだったのでしょうか?

渡部 「初月で数百件くればいいかな」と想定していたのですが、想定の10倍以上のリクエストがありました。

色んな意味で注目されて、Twitterのフォロワー数も2日間で2万人まで増えました。

──結果として「mimic」ベータ版はサービス停止に至ってしまいました。運営としては、どこに原因があったと考えていますか?

渡部 我々の力不足でもあるのですが、存在しない架空の「mimic」が先行して世の中に広まってしまったことが、大きな要因のひとつだと考えています。

こちらの伝え方の問題ではあるのですが、「mimic」ベータ版でできることには限界があります。

例えば、「そもそもイラストレーターが描いたイラストのクオリティにはならない」「全身ではなく、顔周りしか描けない」「ウォーターマークが入る」などです。そういった部分が誤解されて、画風や絵柄をコピーできる万能な画像生成AIとして受け止められた方もいらっしゃったのではないかと思います。

あとは、利用規約に関する誤解です。真逆の解釈で広まってしまったのですが、「ラディウス・ファイブが著作物をすべて自由に使える」「『mimic』で出力したイラストはフリー素材になってしまう」などといったことは全く想定していません。

利用規約に関しては法的な部分をクリアしつつ、クリエイターの皆様にできるだけ有利な内容にしたつもりです。

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8件のコメント

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:6036)

終始言い訳してるけど
「悪用への想定」が甘過ぎなんだわ

なんで炎上したかって、その「悪用の想定」の甘さなのに
この記事見る限り運営は理解出来て無さそうですね

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:6035)

「ベータ版に限界がある」と
言い訳並べてますが
そもそも『補助ツール』の時点で
トレパク等「悪用の補助」も可能なんですよ。

mimic運営は「悪用する人間」への認識が
甘過ぎると思うし
悪人に使われる想定すらしてないのでは?

ベータ版にしても殆ど対策こうじてなかったですよね。だから炎上した

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:6029)

似たような海外のサービスにはなんも言わないのに、文句聞いてくれそうな国内のサービスにはクレーム入れるって滑稽過ぎるんだわ

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