2022.09.18 12:00
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「mimic」の今後　人とAIが併走する未来へ

──「mimic」がイラストレーターから反感を抱かれてしまったのには、インターネット上で無断転載やいわゆる「トレパク」が横行していたり、そもそもイラストレーターのギャランティが安すぎたりするなどの問題が根底にあると思います。

だからこそ、「自分が努力してつくりあげた作品も一瞬でAIにマネされてしまう」という危機感が一気に広がり、今回は槍玉に挙げられてしまったのではないかとも思ったんです。

「mimic」に学習させたイラストと生成したイラストの比較画像（イラストレーター：此ノ木よしるさん）

【画像】その他「mimic」に学習させたイラストと生成したイラストの比較画像

渡部　開発責任者としてはクリエイターに使っていただきたいという想いがとても強いので、今回の結果は大きな反省として受け取ってます。

クリエイターのためのAIを開発している我々としても、そういった問題をAIで解決できればとは思っています。「mimic」の今後については、引き続きクリエイターファーストで、なによりも安心して使ってもらえることを最優先で取り組んでいきます。

──具体的には、他人の作品をアップロードする行為を対策する機能を実装するということでしょうか？

渡部　インプット・アウトプット双方において信用性を担保できるような施策を検討してます。

10月の公開を目指している「mimicベータ版 2.0」では、ベータ版の不正対策に加えて、「利用者のTwitterアカウントの事前審査」「学習に利用されたイラスト・『mimic』が作成したイラストを公開」「mimicが作成したイラストの悪用防止対策」を新たに追加します。

その他、状況に応じて追加の不正対策を随時検討・導入していきます。

【mimicの今後の展開について】
先般はmimicベータ版へ多数のご意見を頂戴し、誠にありがとうございました。
皆様のご意見を踏まえた、mimicの今後の展開について説明させていただきます。長文となり恐縮ですが、ご一読くださいますようお願い申し上げます。 pic.twitter.com/aYwY0a5bRf
— mimic（ミミック） (@illustmimic) September 14, 2022

──画像生成AIに信用性が加わると、むしろ大きな味方になりそうですね。そういった期待感もあり、「mimic」については停止を惜しむ声もあったと思います。

渡部　本当にありがたいです。批判の渦中にあるものに対して、応援することは勇気とエネルギーが必要です。この場を借りてお礼を伝えたいです。ありがとうございました。

──一連の騒動では、エンジニアなど技術系の人とイラストレーターなど芸術系の人の間で、ある種の断絶があったように思います。特に技術系の方は、国産のAIイラスト「mimic」の登場をむしろポジティブに受け取っていたと感じました。

渡部　それぞれのバックボーンによって受け取り方が変わってしまうのは当然だと思います。例えば、AIやプログラミングなどの知識があるのとないのでは、「画像生成AI」という現象を捉える上で情報量が全然違いますよね。

今回の反省も踏まえて、AIを開発する企業としてそういった情報を随時発信しつつ、シンプルに役立つようなサービスを提供することは重要だと思いました。「何に使えるかわからない」と、不安の方が強くなってしまいますから。

──2015年に設立したラディウス・ファイブは、これまでもAIを事業の軸にビジネスを展開してきました。AIの実社会での活用は今後もさらに増えていくと思いますが、イラストの分野ではどのように浸透させていきたいと思っていますか？

渡部　具体的な今後のイメージは探り探りという感じです。ただラディウス・ファイブとしては、人がAIと伴走していく未来が来ると思っています。その方向に我々はエネルギーを注いでいきたいです。

──画像生成AIは海外のサービスも非常に勢いが強いです。こと絵画やイラストについてはもの凄いスピード感で進んでいます。私も、国産サービスとして「mimic」を応援したいと思っています。

渡部　ありがとうございます。

【AIイラストメーカー「mimic（ミミック）」のこれまで】 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

日付	できごと
2022/8/29	株式会社ラディウス・ファイブ（RADIUS5）がベータ版をリリース
2022/8/30	協力クリエイターへの誹謗中傷に対する声明を発表。同日、トップページを除くベータ版の全機能を停止。
2022/9/14	不正利用への対策を強化した「mimicベータ版2.0」の10月公開を目指すことを発表。