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絵柄・画風のマネは悪いこと? 波紋呼ぶイラストAI「ミミック」から考える

絵柄・画風のマネは悪いこと? 波紋呼ぶイラストAI「ミミック」から考える

「ai illustration」/画像はDream Studioで作成

Midjourney」「Stable Diffusion」……AIによる画像生成サービスが流行する昨今。イラストレーターの画風・絵柄を学習してイラストを生成するAIイラストメーカー「mimic(ミミック)」が、SNS上で賛否両論を生んでいる。

イラストをアップロードすることでその特徴をAIが学習し、“描き手の個性が反映されたイラストメーカー”が作成できるという「mimic」。

ベータ版がリリースされた8月29日、「悪意を持った人間が、他人の作品を学習させ、画風・絵柄を模倣した作品を発表してしまうのではないか」と多くの批判が寄せられた

ガイドライン上では「他人のイラストを勝手にアップロード」する行為は明確に禁止されているものの、それを防ぐ手段がないことなどから問題視されている(なお、AIに学習させる目的で著作物を利用すること自体は、2019年1月に施行された「平成30年改正著作権」によって認められている)。

しかしながら、ここまで波紋を広げた大きな要因には、イラストレーションシーンに根強い「絵柄パク」「画風パク」への忌避感があるのではないだろうか。

法的にはOKでもタブー視される「絵柄・画風パク」

他人の作品をサービス上に無断でアップロードする行為の法的な問題点は一旦さておいて、「mimic」で他人の作品をアップロードしてその画風をAIに習得させる行為を人間に置き換えてみると、人間が絵柄や画風を模倣する「絵柄パク」「画風パク」と構造上は相違ないと言えるだろう。

一般に、画風や絵柄は表現技法のひとつにすぎず、著作権は存在しないと言われている(正確に言えば、画風や絵柄が似ていることだけで、著作権侵害が認められるかどうかは非常に難しい)。

しかし、クリエイターとしてのモラルやマナーの問題として、絵柄や画風といった個性を模倣することはタブーとされてきた。

特にネット上では昔から、イラストや漫画作品について、いわゆる「パクり/パクられ」を日々検証する文化が存在しており、2022年現在でも根強い。

絵柄・画風を神聖視させた二次創作文化

そもそも、なぜ画風や絵柄は、イラストレーターの個性として神聖視されるようになったのだろうか? そのひとつの要因として考えられるのは、二次創作文化の台頭にあるのではないかと筆者は考える。

古くより、法律上ではグレーゾーンにあたるファンアート、つまり二次創作とともに発展してきたイラストレーションシーン。

インターネットの普及、特にSNSの登場以降、二次創作とイラストレーションシーンは最早切っても切れない存在になった。二次創作をきっかけに人気を獲得し、第一線で活躍するようになったイラストレーターは数えきれない。

二次創作文化において、既存作品のキャラクターなど共通の対象をモチーフとすることが多くなっていく中で、画風や絵柄といったものを差別化することでクリエイターとしての個性を確立する方向が際立っていったという側面があるのではないか。

絵柄・画風の模倣がタブー視される正体

長年の研鑽や鍛錬によって身につけた自身の個性──オリジナリティが、他人やAIによって奪われることへの怒りや不安・恐怖といった感情を抜きに語ることはできないだろう。

しかし、「巨人の肩の上に立つ」という言葉があるように、そもそも、画風や絵柄を含むすべての創作行為は先人の模倣から出発するものだ。

盗作とオマージュ、悪いとされる模倣と良いとされる模倣の線引きは、果たしてどこにあるのか?

絵柄や画風を学習したAIが筆を持ち始めた今こそ、もう一度冷静に議論し直されなければならない。

【AIイラストメーカー「mimic(ミミック)」のこれまで】                   
日付できごと
2022/8/29株式会社ラディウス・ファイブ(RADIUS5)がベータ版をリリース
2022/8/30協力クリエイターへの誹謗中傷に対する声明を発表。同日、トップページを除くベータ版の全機能を停止。

画像生成AIとモラル・マナーを巡る

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