Mika Pikazoインタビュー “本当に愛される”イラストを生み出す方法

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Mika Pikazo『VISIONS 2023』インタビュー

pixiv総監修のアートブック「VISIONS」シリーズ最新刊『VISIONS 2023 ILLUSTRATORS BOOK』(KADOKAWA)が10月4日(火)に刊行される。

「イラストレーターの“見ている世界”を発信したい」と名付けられた「VISIONS」シリーズは、累計発行部数13万部を突破。海外では翻訳版も発売されている。

シリーズ第3作となる『VISIONS 2023』は、シーンの第一線で活躍する170名の代表作・新作が収録される中、カバーイラストをMika Pikazoさんが手がけた。

Mika Pikazoさんは、ビビッドな色彩感覚を持ち味とした色使いに定評があり、海外からも注目されているイラストレーター。

9月のNintendo Directで発表されたゲーム『ファイアーエムブレム エンゲージ』(外部リンク)や、バーチャルYouTuber(VTuber)の輝夜月さん、ハコス・ベールズさんのキャラクターデザインを担当。その他にもMR群像劇「RE:BEL ROBOTICA | レベルロボチカ」の原作・原案をつとめるなど、その活躍は多岐にわたる。

今回、『VISIONS 2023』に掲載されたMika Pikazoさんの特別インタビューをKAI-YOU.netで公開。Mika Pikazoさんの口から、モチーフや作風の変化、表現の可能性、そして作品に込めた思いが語られている。

取材・執筆:虎硬

【画像】Mika Pikazo『VISIONS 2023』カバーイラストのメイキングほか(15枚)

目次

10代のときの自分が見て「いい!」と思えるものをつくりたい

──『VISIONS 2023』のオファーを受けていただき、ありがとうございます。今回参加しようと思った理由を教えてください。

Mika Pikazo 大勢のイラストレーターの方が集まった画集の存在は以前から知っていましたが、ここ数年はそうした画集への参加はちょっと控えていました。自分自身がイラストレーターとして、創作者として、どういう立場なんだろうか、と自問自答していたところがありました。

でも、自分の活動をもっと盛んにしていきたいと思っていましたし、『VISIONS』は国内だけでなく海外でも展開されているので、いろいろな人に知っていただくチャンスだと思い、載せていただきたいと思っていたところでした。今回はカバーイラストまで描かせていただいて、大変光栄です。

──2016年にインタビューさせていただいた(外部リンク)ときのMika Pikazoさんは、20代前半でまさに新進気鋭という感じでした。あれから6年、今もなおイラストのトップシーンを走り続けていますが、ここ数年は構図や服装もさらに凝ったものが増えて、デザインへのアプローチが強くなったと感じます。

一枚絵を描くときと、VTuberのようなキャラクターのデザインをするときと、意識の違いはありますか?

「和装少女❀」(2016)

Mika Pikazo 一枚絵は眺めるものですから、見る人の感情や気分に訴えるものになるように意識しています。一方、キャラクターデザインは、イラストに興味のない方にもその人物を長く愛してもらえるかが大事だと思っています。

イラストに関心がない方が「このキャラクターはここが可愛いよね」と思ってくださることが嬉しいですし、キャラクターに人物としての深みが出るように考えながら描いています。

また、キャラクターデザインは、ほかの方たちとつくっていくことが多いので、自分の手を離れていろいろな展開をされていくものです。たとえば声が付いたり音楽が付いたり3Dになったり、イラスト以上に発展していく生き物なので、そこが面白いです。

平面で、画面越しにつくられていくキャラクターも生命を宿すと信じていますし、自分がキャラクターデザインに挑戦するのは、それをこの目で見るためだと思っています。これからもずっとやっていきたいですね。

画集『MikaPikaZo』(BNN)カバーイラスト(2019)

──2019年の画集『MikaPikaZo』(BNN)の刊行以降、最近の作品を拝見すると、可愛いプラスおしゃれ、あるいはクールというように、ここ2~3年で作風に大きな変化があったと思います。こうした変化は意識的にやっていますか?

Mika Pikazo 昔からいろいろな絵を描いてみたいという気持ちがありました。「Mika Pikazoはこういう絵を描く人」と思っていただくことが嬉しい半面、それにとらわれたくないという気持ちもあって、どんな作品でも「自分にとって面白いと思えるような表現はないか」といつも考えています。自分の中で挑戦したい、これを表現したいと思うようなものをたくさん頭の引き出しにしまっています。

絵柄に関しては、ものによってかなりデフォルメを効かせることもありますし、リアルになることもあると思います。振り返ってみると、絵柄はけっこう異なっているかもしれません。それでもMika Pikazoの絵だと思ってもらえるのは、絵柄ではない部分に宿るものがあるんじゃないかと。

──最近は、イラストと同じ服を着た人が街にいてもおかしくないような、リアルに寄ったデザインも取り入れているように感じるのですが、実際のファッションの研究もしているのですか?

Mika Pikazo 今まではキャラクターデザインで服をつくるときも、セーラー服などわかりやすいアイコンを描いていましたが、最近は実際に10代の子たちがどんな服が好きでどんなファッションをしているのか、「あえて流行のファッションを自分の絵で描いてみたらどうなるのかな」と思って描いています。

「LAUGH」(2021)

──10代の子たちのことが気になるのはなぜですか?

Mika Pikazo 私は10代のときに絵や音楽などクリエイティブなものに影響を受けて、挫折したときもつらかったときも、支えてくれたのはその時代に見ていたものでした。

あの多感で繊細な瞬間を救ってくれた作品やアーティストに対して強いリスペクトがあります。彼らの、クリエイティブで誰かの気持ちを救いたいという実直さに助けられました。そして助けられたからこそ、自分も創作をする者として同じことを志すべきだと思っています。

だから、特に今の10代の子を中心に、見てくれる方が「いい!」と思えるものをつくりたいですね。

歳を取っていくと、30代なら30代で好きになるものもあるし、40代、50代で好きになるものもあるでしょう。また、現在活躍しているクリエイターさんを見ても、歳を重ねたがゆえのアプローチがあることもわかります。でも、今の私は「若い頃の私が今の私の絵を見たらどう思うんだろう」というところに、しばらく焦点を当てていきたいと思っています。

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