「星宮とと×TEMPLIME」プロデューサーのKBSNKインタビュー ポップスは古びない

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星宮とととのタッグによる影響

──TEMPLIMEでは、バーチャルクリエイター・星宮ととさんとタッグを組んだ活動も積極的に行っていますが、星宮ととさんとの共同制作で音楽的な影響を受けることはありましたか?
純粋 星宮とと×TEMPLIME
KBSNK 自分だけでつくっていくとできないことはあります。1回デモをつくって星宮ととさんに渡したときに、こういう曲調ならば別の方向にシフトしてもいいよね、というやりとりはありましたね。

Cashmere Catさんというトラックメイカーがいるんですが、自分がバーチャルモデルになったMVをつくったりしていて、そこからも影響を受けました。
Cashmere Cat - FOR YOUR EYES ONLY
──星宮ととさんはデジタルアーティスト的な方を追っていたのですか?

KBSNK そうですね。デジタルアーティストだけでなくいつも新しい映像作家やアニメーターをチェックしていると思います。

KBSNKから見た星宮ととの新しさとは

──星宮ととさんは演出や歌で常に新しいことをやろうとしてるような印象を私は受けています。共同制作をされることも多いKBSNKさんとして、星宮ととさんの新しさはどこにあると思いますか。

KBSNK 企画力が優れているイメージです。「自分はこういう曲・映像をつくりたい」ということをはっきり言ってくれます。方向をはっきり示すことのできるアーティストは珍しいと思うので、そこが新しいですね。

その企画を思いついてから実際に実現してしまうのもすごいと思っています。現時点でやっていることの何倍もアイデアはあるけど、まだ実現できていないようです。

星宮ととのキャラクター性

──新しいことをした上で、『ネオンライト』の流行にも見られるようにポップな受け入れ方をされてもいます。それはなぜなんでしょう?

KBSNK 初音ミクのように、星宮ととをキャラクターとして成り立たせている印象はあります。親しみやすいキャラを演じてるところがあると思うんです。

──「星宮とと」の創造者であるTOTONEE( ΦωΦ )さんは、星宮ととに対して「VTuber」ではなく「バーチャルクローン」という表現をされていますね。 KBSNK 自分をそのまま出すようなVTuberは多いですが、星宮ととはキャラクター性が意識されています。

──あくまで「星宮とと」というキャラクターとしているんですね。

KBSNK そうですね。TOTONEE( ΦωΦ )は演者というよりはクリエイターとして存在しているので、自分としては親近感が湧きます。意見をもらうことも結構多いですね。その都度、言ってもらって直して、直したり議論したりします。

──バンドみたいですね。TEMPLIMEとして外部のボーカリストを探そうと考えたきっかけとして「キャラクター性の問題をクリアするため」(外部リンク)とおっしゃっていましたが、それはどういう意味なのでしょうか?

KBSNK 音楽をやるに当たって、自分で歌って発信するだけだと、僕がどういう人間なのかがわからないからフックが何もないと思ったんです。

だから、キャラクターみたいなものがあったら、こういう子が歌ってるから聴いてみようと思えるきっかけになるのではないかと考えました。

作曲家は増え続け、発掘されにくくなっている

──トラックメイカーとして曲を出し続けることに注力される方もいる中で、フックとしてキャラクターの必要性を考えているのは現代的だと思います。

KBSNK 曲だけで評価される自信がないというのがあるかもしれないですね(笑)。曲以外にきっかけがないと聴いてもらえないのではないかという不安はありました

3年ぐらい活動を続けていますが、僕より年下のトラックメイカーとか、僕より技術力があるトラックメイカーがたくさん出てきています。その中で、作曲家として生き残るためにはフックが必要だという意識がありました。

──自分をどう売っていくかという戦略を考えている印象を受けます。

KBSNK そうですね。最初に「M3」という同人音楽イベントでカボスニッキという名前でCDを出したとき、20枚ぐらいしか売れなかったんですよ。このまま音楽をつくり続けるだけでは無理だ、とその時に思ったんですよね。

──なるほど。つまり一度ソロを経て、星宮ととさんという強烈なフックを持ったボーカルとの共作を経た上で、再びソロプロジェクトとしてLimreで原点へ戻ってきた、と。

KBSNK まさにそうです。

──逆に、Limreとしてはキャラクター的なフックはあえて用意されていませんよね。

KBSNK 活動していく中で、YouTubeやTwitterの意見を見ていると、「バーチャルだから聴く気にならない」というコメントもありました。なので、まず「TEMPLIME+星宮とと」としての活動がある上で、フックをあえて用意せずに自分で全部歌って演奏したらどうなるのかという実験のような気持ちです。

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