連載 | #6 KAI-YOU編集部ネタバレ全開座談会

【ネタバレ全開】藤本タツキ座談会 『チェンソーマン』『ルックバック』が異常に面白すぎる理由

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【ネタバレ全開】藤本タツキ座談会 『チェンソーマン』『ルックバック』が異常に面白すぎる理由
【ネタバレ全開】藤本タツキ座談会 『チェンソーマン』『ルックバック』が異常に面白すぎる理由

POPなポイントを3行で

  • 藤本タツキを編集部で語り尽くす!
  • 『ファイアパンチ』から『ルックバック』まで
  • 藤本タツキ作品はなぜ死ぬほど面白いのか
アニメ化も決定している『チェンソーマン』、世間に大きな波紋を呼んだ『ルックバック』など、ダーティーかつスタイリッシュな描写とアクの強いキャラクターを武器に次々とヒット作を生み出していく漫画家・藤本タツキさん。

『チェンソーマン』連載時は、高い画力とダークな物語が多くの人を魅了し、掲載誌の『週刊少年ジャンプ』(以下ジャンプ)が発売される月曜には、同時期に連載していた『鬼滅の刃』に並んで毎週のようにTwitterのトレンド入りを果たしていました。さらに、2022年には『チェンソーマン』第二部の連載開始、TVアニメ化も控えています。
『チェンソーマン』プロジェクトPV
作者の藤本タツキさんは、2016年に衝撃作『ファイアパンチ』で『ジャンプ+』デビュー、3年後には『ジャンプ』本誌で連載を獲得。そこから常に話題に事欠くことがありません。

そんな令和の天才とも呼ばれる藤本タツキさんについて、“藤本タツキ通”を自称するKAI-YOUメンバーが語り尽くします(めちゃくちゃ削ったんですが23,000字くらいになりました……)。

※この記事は多数の『ファイアパンチ』『チェンソーマン』『ルックバック』等のネタバレを含んでいます。

登場人物紹介

うぎこ

KAI-YOUの広報担当。年齢非公開。座談会では常に司会をつとめ、KAI-YOUの荒くれ者たちの手綱を握るお姉さん。

わいがちゃんよねや

KAI-YOUの代表取締役社長。1986年生まれ。KAI-YOUでいちはやく『チェンソーマン』が来ることを予見していたと言い張っている。少年漫画は冨樫義博が好き。座右の銘は「常勝」。

にいみなお

KAI-YOU Premium 編集長/KAI-YOUの副代表。1987年生まれ。漫画を語らせるととにかく長い。『ワンピース』と『鬼滅の刃』と『うしおととら』が好きな東村山市出身。

コバヤシ

KAI-YOUの編集者/Webディレクター/漫画コンシェルジュ/ボドゲ研究家。1998年生まれ。新卒世代なのに、社内の誰よりもオールド・オタクであることを誇示する。曰く"屈折した自意識"を持つ。

古見湖

KAI-YOU Videosディレクター。1996年生まれ。『Magic:The Gathering』をこよなく愛し、社内部活動として「MTG部」が存在すると聞きつけ面接に挑み、そのまま入社し実質休眠状態だった「MTG部」を再建するという驚異のバイタリティを持つ。

目次

参加メンバーたちの好きな『チェンソーマン』キャラクターは?

KAI-YOU編集部恒例の座談会も第5回目!!! 今回は単体の作品ではなく『チェンソーマン』『ルックバック』などの作者・藤本タツキ先生の作品全般を語り尽くしていきたいと思います。よろしくお願いします。

よろしくお願いします!!!!

まずは自己紹介から。司会のうぎこです。藤本タツキの作品は『ファイアパンチ』をちょっとだけ読んでいて、本格的に読みはじめたのは『チェンソーマン』からです。好きなキャラは『チェンソーマン』のレゼちゃんです。

レゼちゃん! 人気だよね!

人気キャラですね。続いて、よねさんからどうぞ。

こんにちは。KAI-YOUのわいがちゃんよねやです。僕が“KAI-YOUで最も藤本タツキ作品に明るい”と自負しております。

(ハードルの上げ方…!)

KAI-YOU Premiumの連載でも『チェンソーマン』と『ファイアパンチ』を扱ってましたからね。

任せてください。好きな作品は『チェンソーマン』で、好きなキャラクターはマキマさんです! 『ファイアパンチ』も読んでたんですけど、『チェンソーマン』で「マジで藤本タツキすげえな!」って思いました。

KAI-YOU Premium編集長のにいみです。よろしくお願いします。好きなキャラは『チェンソーマン』の早川アキくんですね。

アキくん! 一番に挙げるのはめずらしい気がする。

そうなのかな? 普通に王道の人気キャラだと思ってた。

(こいつズレてるな……)王道といえばパワーちゃんが好きっていう人が多いのでは?

やっぱりパワーかマキマさんが多いよね。

『チェンソーマン』はパワーとマキマさんが二大人気キャラで、男性キャラというより女性キャラが人気なイメージですね。なかなか『週刊少年ジャンプ』では珍しいと思います。

たしかに女性キャラが人気になるのは少年漫画ではあまりない現象かもしれない。

それでは続いて、コバヤシくん。

はい、KAI-YOU Medium Techのコバヤシです。漫画コンシェルジュという肩書きでも活動しています。よねさんが一番藤本タツキに明るいのなら、僕は“KAI-YOUで一番漫画に明るい人間”です……と、言えるように心がけていきたいです。

漫画コンシェルジュの肩書きに重圧感じてる!?

いえいえ。僕がこの座談会をリードしていきますよ。藤本タツキ作品で一番好きなキャラクターは『ルックバック』の嫉妬にまみれている方、藤野です。

『ルックバック』はすごい作品だった。それでは、古見湖くん。

KAI-YOU Videosで映像編集とかをやっている古見湖です。好きなキャラは、にいみさんと同じく早川アキくんです。

ほら!ほらほら!! やっぱりアキくん人気でしょ!

ええ!??? なんだろう……今日の参加者の皆さん、ちょっと偏ってませんか?💦

だってめちゃくちゃ優しい人だったもん、アキさん。

唐突な“さん”付け。

たしか人気投票は3位だったよね(※第1回投票が3位。第2回ではなんと1位に輝いている!)。

性と愛──『チェンソーマン』は恋愛教本だった?

最初のテーマは、アニメ化も控える『チェンソーマン』から、古見湖くんの「マキマさんの正体知った時にどう思った? どんな予想をしてたか?」です。

黒幕だろうなっていう感じは最初からあったよね?

僕はもう一歩踏み込んで、わりと初期からなんらかの悪魔だろうなとは思ってました! 明らかに異常な強さというか凄みがありましたから。

ただ、「支配の悪魔」だとは……。

何々の悪魔とか考えて読んでたの!?

何の悪魔か考えてないで読んでたんですか?

ど、どういうこと?? にいみさん助けて!

みんなそんな「〇〇の悪魔」とか予想しながら読むものなの?

めちゃめちゃ考察されてましたし、なんなら支配の悪魔であることも予想されていたと思います。

そんなことできるの?!

KAI-YOU Premiumで連載してくれている亮祐さんの記事でも言われていたデンジ・キリスト説とちょっと関連してまして。

キリスト教におけるヨハネの黙示録の四騎士っていうのがあって、騎士たちが司るのが、マキマが無くなった方がいいと語った「戦争、飢餓、死」。その上で「残る1体が司っているのが支配だ」と考察勢に言われてました(早口)

なるほど……? そういう謎解き的な考察ってあんまり興味ないんだよね。物語とか主題に関係あるなら面白いけど。

わかる。ここまで話聞いて、俺もめちゃどうでもいいなと思った(笑)。

あんまりだ……話を振ってきたから応えたのに😭

(泣いちゃった!)……じゃあ『チェンソーマン』でどの場面が一番好きだったか選手権やろう!

僕の一番好きな場面は銃の悪魔をマキマさんが迎え撃つシーンですね。超巨大な銃の悪魔を迎え撃つために、いろんな使役している悪魔、というか死体の力を展開する時の顔が好きです。

顔! 私はヒルの悪魔との戦いでデンジが言った「夢バトルしようぜ!」のシーンですね。夢バトルはマジで痺れた。

序盤のかなりいいシーンですね。少年漫画の登場人物が目標や何らかの理由を持って戦うという性質をメタ的に、皮肉的にも捉えてもいる。

私はデンジというキャラクターに”今っぽさ”のようなものを感じていて。そのデンジに「夢でバトルしよう」って言わせたのがすごいし、主人公が戦う理由に「おっぱい揉みたいから」を持ってきたのもすげえなって

ジャンプにこれが載るんだって、新しい時代を感じましたね。

僕は、地獄に落とされて「闇の悪魔」が登場するシーンですね。 宇宙飛行士を並べたり、カエルが現れたり、”闇”っていう存在が現れたことを表現するためのモチーフ選びが秀逸だなって思いました。

地獄のシーンはすごすぎたよ。「地獄」をあそこまで迫真の形で可視化させた作品は、漫画史上類を見ないかもしれないとさえ思った。

僕が一番好きなのはレゼ編の最後、デンジが一人で花束を抱いてレゼの帰りを待ってるシーンですね。どうにも切なくて。

レゼ編は刺さるよね~! 読みながらみんな好きだろうなって思ってた。

レゼ編は劇場アニメ化してほしい。本当に完成度の高いエピソードでした。

ボーイミーツガールで、青春が詰まってたね。

あとはパワーとコベニちゃんが買ったばかりの車でデンジもろとも敵を跳ねるとこ。戦慄しました!

あれはすごかった(笑)。

ネットミーム化しましたよね。

そんな展開あるんだって吹きました。

みんな魅力的だけどパワーのキャラがすごい特殊ですよね。こんなに狂ってて性格が悪くて滅茶苦茶なヒロインはなかなか見ない。『チェンソーマン』の登場人物はみんな狂ってるから好きです。

ヒロインと一緒にお風呂に入って一緒に寝る。その展開の中で、デンジがパワーのことを知りすぎてしまったから、異性として見れないっていうところにオチるのもなかなかすごいですよね。中学生に読んでほしいなと思った。

どういうことでしょ?

もともとデンジって「おっぱい揉みたい」「セックスしたい」みたいところからマキマさんを好きになったじゃないですか。

一方で、疑似家族になるパワーっていう存在も出てきて…「エッチか? エッチじゃないか?」以外の尺度が生まれてるんですよ。

それめっちゃわかります。

たしかにセクシャルな表現は多いけど、いわゆるジャンプに掲載されるような微エロ漫画とは全く違った描き方になっていると思う。

あのマキマさんの「エッチな事は相手を理解すればするほど気持ちよくなる」っていう言葉が結構大事で。中高生だと実際によくあるんですよ。相手を知らないで、とりあえずやることやっちゃうみたいなのが。

パワーのお風呂のくだりは、結構わかりやすくパワーが異性じゃなくて家族になったっていう話だよね。

私の中ではああいう話も大事だと思ってます。世の中にはただただ性欲だけがあるわけじゃなくて、理性としてこの人は家族なんだって感じる関係性もあるじゃないですか。そういう部分を中学生男子、ジャンプ読者に読んでほしい。

愛の話ってことですね。

そうそう。あれで何かを感じてほしいと思った。「愛とは何なのか?」みたいな。

感じてください、中学生の皆さん!

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KAI-YOU編集部ネタバレ全開座談会

その時々のエンタメ業界に現れた覇権コンテンツについて編集部が議論する連載。コンテンツ自体はもちろん、そのコンテンツが出てきた背景や同時代性、消費のされかたにも目を向け、ネタバレ全開で思ったことをぶつけ合っていきます。

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