辻村深月『ハケンアニメ!』実写映画化 吉岡里帆&中村倫也による“覇権”争い

辻村深月『ハケンアニメ!』実写映画化 吉岡里帆&中村倫也による“覇権”争い
辻村深月『ハケンアニメ!』実写映画化 吉岡里帆&中村倫也による“覇権”争い

映画『ハケンアニメ!』ティザービジュアル

POPなポイントを3行で

  • 辻村深月『ハケンアニメ!』2022年5月実写映画公開
  • キャストに吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子
  • 東映アニメが監修、劇中アニメはProduction I.Gが制作
直木賞作家・辻村深月さんのアニメ制作現場を描いた小説『ハケンアニメ!』(マガジンハウス刊)が、発売から7年の時を経て映画化。2022年5月に公開される。

主演は吉岡里帆さん、メインキャストを中村倫也さん、柄本佑さん、尾野真千子さんらが固める。映画化決定の発表にあわせて、ティザービジュアル・特報も解禁された。

アニメ業界を描くにあたり、国内最大手の制作会社・東映アニメーションが監修を担当してリアリティを追求。劇中アニメ2本の制作をProduction I.Gをはじめとしたスタジオが参加する。

アニメクリエイターの想いが激突

原作小説『ハケンアニメ!』は、『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞を受賞をした作家・辻村深月さんによるアニメ制作現場を舞台にしたお仕事小説だ。

挿絵は人気クリエイター集団・CLAMPが担当。2017年に文庫本が刊行され、2019年には舞台化されるなどメディアミックスを展開。今回初の映像作品化となる。
映画『ハケンアニメ!』特報(2022年5月公開!)
テレビアニメの年間制作本数300本以上、マーケットは2兆円超え──そんなアニメ業界に飛び込んだ公務員出身の新人監督・斎藤瞳が、憧れのスター監督と“覇権”(ハケン)を掴むべく争う物語だ。

本作で言う「覇権」はもっとも成功したアニメの称号を意味する。ちなみにネット掲示板から生まれた「覇権アニメ」という言葉は「1クールまたは1年間で映像ソフトをもっとも売り上げたアニメ」を指す。

吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子が繰り広げる覇権争い

「私、負けません。全部勝って、覇権を取ります!」吉岡里帆さん演じる新人監督・斎藤瞳

「アニメは魔法を超える力を与えることができる!」とアニメが持つ力を信じて、目標に向かって努力する主人公の新人監督・斎藤瞳役は吉岡里帆さん。不器用がゆえに壁にぶち当たる日々の中で、それでも懸命に前に進む瞳を演じる。

一方、瞳が憧れる天才監督・王子千晴を『仮面ライダーBLACK SUN』への出演でも話題の中村倫也さんが演じる。

中村倫也さんが演じる天才監督・王子千晴

尾野真千子さんが演じるのは千晴に人生を懸けるプロデューサー・有科香屋子

過去に手掛けたメガヒット作で天才として名を馳せるが、その後ヒットが続かずにもう後がない千晴がタッグを組むのが、尾野真千子さん演じるプロデューサー・有科香屋子。

かつて「伝説の制作進行」と呼ばれた彼女は、王子の才能に人生を懸ける。

見るからにクセの強そうな行城理役は柄本佑さん

加えて、仕事はできるがクセの強さで瞳を振り回す敏腕プロデューサー・行城理を柄本佑さんが担当する。

監督をつとめるのは、中村倫也さん主演『水曜日が消えた』で長編映画デビューを果たした吉野耕平さん。新海誠監督の『君の名は。』にCGクリエイターとしての参加をはじめ、数々のCMやPVを手掛ける注目の映像作家だ。

原作・辻村深月「最も映像化が難しいタイトル」

映画化について原作者・辻村深月さんは「『ハケンアニメ!』は私の小説の中では最も映像化が難しいタイトルだと思っていました」とコメント。

「『その期の覇権をとる』と言われるようなクオリティーのアニメを現実に映像内に再現してもらうのはまず無理だろうと諦めていました」と語るように、理由は瞳たちが制作する2本の劇中アニメのクオリティーだ。

アニメやアニメ業界を題材とした作品は複数あるが、実写となった場合「劇中で制作されるアニメをどうするのか?」は作品そのものの出来を左右しかねない大きなポイントだろう。

お仕事アニメを多数手がける制作会社・P.A.WORKSが、アニメ業界で奮闘する人間たちを描いた『SHIROBAKO』にも劇中作品が登場。アニメという映像作品としての強みを活かしながら、劇中アニメを表現した。

一方で、近年のアニメ制作を描いた実写作品として挙がるのは、2019年のNHK「連続テレビ小説」で放送された『なつぞら』だ。 同作における劇中アニメは、元スタジオジブリのアニメーター・舘野仁美さんが代表をつとめるササユリ、さらには『ハケンアニメ!』でも監修をつとめる東映アニメーションが担当。

タイトルバックは若手アニメーターとして注目を集める刈谷仁美さんが手掛け、アニメ制作を描くドラマならではのスタッフを揃えて高い評価を獲得した。

東映アニメが監修、劇中アニメはProduction I.G制作

『ハケンアニメ!』では、劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』『運命戦線リデルライト』の制作には、「攻殻機動隊」シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションが参加。

映像化はこうした「素晴らしいスタッフとキャストの皆さんの力を借りて実現」(辻村さん)したという。辻村さんも「私の描いた王子が、香屋子が、瞳が、行城がここにいる。彼らの作るアニメがここにある」と太鼓判を押している。

ちなみにこの2作品、情報解禁に先駆けて東映動画チャンネルのYouTubeに予告編が公開。動画内のクレジットによれば、前者は斉藤瞳の初監督する王道ジュブナイルロボットアニメ。後者は“待望”とされる王子千晴の最新監督作だ。

突如として公開された2本の予告編は謎のアニメーションと話題を呼び、1週間で合計10万回を超える視聴数を記録。一部ファンからは「『ハケンアニメ!』が映像化されるのでは?」という声も上がっていた。
アニメ『サウンドバック 奏の石』特報
アニメ『運命戦線 リデルライト』特報
余談だが、『ハケンアニメ!』のようなアニメ業界を描いた作品としては、塩田武士さんの『デルタの羊』もオススメしたい。

キャスト・スタッフコメント

■吉岡里帆さんコメント
公務員出身の新人アニメ監督、斉藤瞳を演じさせて頂きました。
1本のアニメが生まれるまでの軌跡と、アニメーター達の死闘を描く今作。
日本の宝とも言えるアニメーション作品ですが、その裏では想像の何倍も何十倍も地道な作業が繰り返されています。
アニメーター達の底知れない才能が日夜コンテとなり原画となり動画へと昇華されていく…
素晴らしいアニメを見た時、抑え切れない感動を覚えるのと同じようにそんなアニメ作品を作る人々の想いに触れた時きっと今までにない感動が届くと撮影をしながら毎日思っていました。
どうぞ『ハケンアニメ!』をよろしくお願い致します!

■中村倫也さんコメント
王子千晴役、中村倫也です。
台本を読みながら何度も「ある、ある。」と、この職業独特の〝クリエイター熱〟に頷いてしまいました。覇道に足を踏み込みながらも、 悩み多き、王子という人間を演じることができて幸せです。
きっと多くの人が、魂を削りながら仕事への情熱を注ぐ彼らを見て、日々を生きるエネルギーを受け取っていただけると思います。
監督・吉野耕平の世界を乞うご期待!!

■柄本佑さんコメント
行城はクセが強めなのですが同時に人間臭くもあるヤツだと思い現場に臨みました。吉野監督は線が細く声が小さく、挙動不審なところがありますがその見た目からは想像できないほど頑固で芯の通った男らしさがありました。アニメ業界を生きる骨太な人間ドラマが時に軽妙に、時に深刻に描かれます!是非楽しみにしていて下さい!

■尾野真千子さんコメント
希望、夢、憧れ、進むべき道、そんなキラキラした物語の中にいました。久しぶりに恋なんかしたりして。
妖精のような吉野監督とのやりとり楽しかったです!どんな風に繋がっていくのか楽しみです!

■吉野耕平(監督)さんコメント
本作は、もともと自分が映画化したかった原作企画を、逆に監督オファーを頂くという幸運に恵まれた作品でした。ちょうど自分自身が長編第一作目を撮った直後の、新人監督としての記憶も生々しいこの時期に、同じ新人監督の物語を描けたことの幸運と、さらに、素晴らしいキャスト・スタッフと共にその作品に挑めたことの幸運を、今は噛み締めています。様々な映像ジャンルを横断した、この作品ならではの共演をぜひお楽しみいただければと思います。願わくばこの作品が、スクリーンの向こうの誰かの幸運な出会いにつながりますように。幼い頃からずっと憧れてきたアニメの世界と、この作品を通じて関わることができたのは、本当に一生の幸運でした。

■ 辻村深月(原作)さんコメント
『ハケンアニメ!』は私の小説の中では最も映像化が難しいタイトルだと思っていました。理由は、作中に登場する二本のアニメ。「その期の覇権をとる」と言われるようなクオリティーのアニメを現実に映像内に再現してもらうのはまず無理だろうと諦めていました。
だけど──今回、素晴らしいスタッフとキャストの皆さんの力を借りて実現しました。
私の描いた王子が、香屋子が、瞳が、行城がここにいる。彼らの作るアニメがここにある。劇場で彼らの軌跡を目撃できるのが、今から楽しみでなりません。

©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

期待される実写化

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作品情報

ハケンアニメ!

原作
辻村深月「ハケンアニメ!」(マガジンハウス刊)
監督
吉野耕平
脚本
政池洋佑
出演
吉岡里帆 中村倫也 / 柄本 佑 / 尾野真千子
制作プロダクション
東映東京撮影所
配給
東映

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