YouTubeやTikTokで「ひろゆきに影響を受けすぎた数学教師」の動画を見たことはないだろうか?
シティポップ風のイラストで描かれた若者たちが、シュールな会話劇を繰り広げるアニメコントチャンネル「マリマリマリー」の作品だ。
初めての動画投稿は2020年8月。にもかかわらず、2021年11月現在、TikTokのフォロワーが約23万人、YouTubeのチャンネル登録者数は約65万人を超える。
「マリマリマリー」を手がけるのは、四千頭身のYouTubeや土佐兄弟・ロッチのネタライブも担当するコント作家・深見シンジさんとTV・YouTube作家のさかもと良助さん。そしてイラストを担当するMORISAKI SHINYAさんを加えた3人だ。
なぜ彼らはYouTubeでアニメコントをはじめたのか?誕生の経緯からブレイクのきっかけ、作品へのこだわり、今後の展望まで話を聞いた。
取材・文:鈴木梢 編集:都築陵佑
深見シンジ(以下、深見) もともと僕は放送作家の仕事をしていたんですが、企画会議でなかなか自分のアイディアが通らなくて、徐々に萎縮してしまっていました。
悔しくて、いったん誰かに、自分の考えたお笑いを見てもらいたいと思ったんです。それで、今の時代ならYouTubeをはじめるのがいいかなと。
さかもと良助(以下、さかもと) 深見とは同じ放送作家養成所の同期なんですけど、卒業してから深見に誘われたんです。
もともとお互いお笑い好きだと知っていたので、深見が「一緒にこういうコンテンツをつくらないか」と声をかけてくれたんですよね。【アニメ】喫煙所にて
──アニメコントを選んだ理由はありますか?
深見 まず、僕はコントが大好きな人間なので、やっぱりコントをやりたかったんです。でも僕らは芸人ではないので実写は難しい。
だからアニメでやろうと思ったんですけど、コミカルな作品っていくらでもあるし、ただ面白いことを面白い絵で表現するだけだと埋もれてしまうんじゃないかって。
それで思いついたのが、もともと僕が好きだったシティポップ風の絵でコントをやるというアイディア。自分で言うのも変ですけど、組み合わせの斬新さに、はじめる前からワクワクしました。
正直「シュールな笑い」は意識してなくて、僕らが好きで思いついたコントがそう言われているというか。劇中でのしゃべりややり取りが淡々としてるので、シュールと感じるのかもしれません。
──「マリマリマリー」がはじまった2020年前後は、YouTubeのアニメコント動画が流行しはじめた年でした。
深見 そうですね。はじめまして松尾ですさんを観たときには衝撃を受けました。それまでのYouTubeでのアニメって結構知識系というか、情報を伝えるためのものが多かったじゃないですか。寝る前に見るべきアニメ
深見 ああいうカオスな、人を笑わせるためだけのアニメがYouTubeの最前線で戦えてるのは、僕らの活動に大きく影響してると思います。
アニメでやりたいとはなんとなく思ってたけど、成功事例があると突き進めるというか。やっていいんだなって、勝手に背中を押してもらえたような気がします。
──MORISAKIさんはどういった経緯で参加されたんですか?
深見 イメージにバッチリハマるテイストを描かれる方だったので、僕の大学の友達から紹介してもらったんです。
本職じゃないのでお受けするか迷ったんですけど、僕もお笑いが好きだし、何かのチャンスやきっかけになればいいなと思って参加を決めました。
──MORISAKIさんもお笑いがお好きなんですね。
MORISAKI そうですね。特に好きなのはかまいたちさんで、YouTubeもよく観ますし、ファンクラブにも入ってます。
お仕事をお受けした理由も、2人のプロフィールを見たら、四千頭身さんや土佐兄弟さんといった名前が並んでいて、「ちゃんとした人だ!」と思って(笑)。
──「マリマリマリー」では、もうひとりディレクター・編集者として柳将博さんがクレジットされています。どういった関係なんでしょうか?
深見 初期の「マリマリマリー」はなかなかYouTubeを更新することができず、TikTokへの投稿が中心でした。
そのうち、だんだん多くの人に観ていただけるようになってきたので、YouTubeも本腰を入れてやっていかないとな……と思ってたんです。でもTikTokを運用するだけで手一杯で、資金もマンパワーも足りなくて。
そこで、もともとYouTube関連のお仕事でご一緒していたケイコンテンツさんにご相談することにしました。
柳さんはケイコンテンツのスタッフのひとりで、動画の編集をやってもらっています。最近は企画出しも手伝ってもらうことがありますね。
──ちなみに、現状「マリマリマリー」制作者の情報が少なく、個人の方がまとめたサイトでは、なぜか見事にすべて深見さんとして紹介されているのがダンプさん(※ふたりと同じシェアハウスに住んでいる放送作家)の写真になっているのですが……?
深見 そうなんですよ!!! 今回、公式として訂正させてもらいたいです(笑)。
さかもと 僕はAマッソさんの漫才を見て放送作家を目指したんです。【漫才】資料【Aマッソ公式ch】
さかもと お笑いは賞レースもテレビ番組も幅広く観てきましたけど、影響を受けた芸人さんを挙げるとするならAマッソさんですね。
ずっと意味わからん場所に連れてかれる感じが大好きで、新しいことにチャレンジする姿勢もいいなあって思ってます。
深見 僕は、本当にいろんな芸人さんに影響を受けてるんですよね……。
バナナマンさん、ジャルジャルさん、ラバーガールさんとか。『爆笑レッドシアター』をよく観てたので、そういうコントとか、ロッチさんとかもそうですし。最近だとハナコさんとか。いろんな芸人さんのコントを観て、ちょっとずつ影響を受けてます。【ハナコ】#59「待ちわびた反抗期」
さかもと 「マリマリマリー」は僕と深見が企画を考えてるので、それぞれが見てきたものの影響は出てるんだろうなとは思います。
──MORISAKIさんの画風はどんな作品から影響を受けていますか?
MORISAKI 漫画やアニメで言うと、『らんま1/2』『きまぐれオレンジロード』『赤ずきんチャチャ』とか……1980年代〜90年代の作品ですね。昔の作品が好きというわけではなく、絵やキャラクターが好きで観たり読んだりしていました。 MORISAKI 僕の描く絵はよく“レトロ”と言われますけど、レトロにしようという意識はなく、単純にそういった作品が染み付いているだけだと思います。
──「マリマリマリー」では、レイジやかなめ、美月ちゃん、スミちゃんといったオリジナルキャラクターが登場します。デザインはどうやって決めたんですか? 深見 3人でなんとなく「こういう台詞を言うやつ」みたいなイメージで考えてましたけど、かなめとかはMORISAKIさんに結構アイディアをもらって。レイジの髪型もMORISAKIさん発だったはず。
MORISAKI ネタは決まっていたので、僕がイラストですり合わせていった感じですね。いわゆるレトロ感がありつつも、ちゃんと現代のキャラクターとしても魅力がある、そういう意識でデザインしてます。
──ちなみに、キャラクターたちの声優も「一般人」とクレジットされていたりと、正体を明かしてないですよね。
深見 謎の人たちがやっているということで勘弁してください(笑)。【アニメコント】BTSのButterが先だと思ってるやつ
シティポップ風のイラストで描かれた若者たちが、シュールな会話劇を繰り広げるアニメコントチャンネル「マリマリマリー」の作品だ。
初めての動画投稿は2020年8月。にもかかわらず、2021年11月現在、TikTokのフォロワーが約23万人、YouTubeのチャンネル登録者数は約65万人を超える。
「マリマリマリー」を手がけるのは、四千頭身のYouTubeや土佐兄弟・ロッチのネタライブも担当するコント作家・深見シンジさんとTV・YouTube作家のさかもと良助さん。そしてイラストを担当するMORISAKI SHINYAさんを加えた3人だ。
なぜ彼らはYouTubeでアニメコントをはじめたのか?誕生の経緯からブレイクのきっかけ、作品へのこだわり、今後の展望まで話を聞いた。
取材・文:鈴木梢 編集:都築陵佑
目次
自分のお笑い見てほしくて「マリマリマリー」誕生
──「マリマリマリー」がはじまった経緯を教えてください。深見シンジ(以下、深見) もともと僕は放送作家の仕事をしていたんですが、企画会議でなかなか自分のアイディアが通らなくて、徐々に萎縮してしまっていました。
悔しくて、いったん誰かに、自分の考えたお笑いを見てもらいたいと思ったんです。それで、今の時代ならYouTubeをはじめるのがいいかなと。
さかもと良助(以下、さかもと) 深見とは同じ放送作家養成所の同期なんですけど、卒業してから深見に誘われたんです。
もともとお互いお笑い好きだと知っていたので、深見が「一緒にこういうコンテンツをつくらないか」と声をかけてくれたんですよね。
深見 まず、僕はコントが大好きな人間なので、やっぱりコントをやりたかったんです。でも僕らは芸人ではないので実写は難しい。
だからアニメでやろうと思ったんですけど、コミカルな作品っていくらでもあるし、ただ面白いことを面白い絵で表現するだけだと埋もれてしまうんじゃないかって。
それで思いついたのが、もともと僕が好きだったシティポップ風の絵でコントをやるというアイディア。自分で言うのも変ですけど、組み合わせの斬新さに、はじめる前からワクワクしました。
正直「シュールな笑い」は意識してなくて、僕らが好きで思いついたコントがそう言われているというか。劇中でのしゃべりややり取りが淡々としてるので、シュールと感じるのかもしれません。
──「マリマリマリー」がはじまった2020年前後は、YouTubeのアニメコント動画が流行しはじめた年でした。
深見 そうですね。はじめまして松尾ですさんを観たときには衝撃を受けました。それまでのYouTubeでのアニメって結構知識系というか、情報を伝えるためのものが多かったじゃないですか。
アニメでやりたいとはなんとなく思ってたけど、成功事例があると突き進めるというか。やっていいんだなって、勝手に背中を押してもらえたような気がします。
──MORISAKIさんはどういった経緯で参加されたんですか?
深見 イメージにバッチリハマるテイストを描かれる方だったので、僕の大学の友達から紹介してもらったんです。
MORISAKI SHINYA(以下、MORISAKI) もともとイラストレーターとしては活動してなかったんですが、「マリマリマリー」の構想を聞いて、すごく面白そうだなと。
本職じゃないのでお受けするか迷ったんですけど、僕もお笑いが好きだし、何かのチャンスやきっかけになればいいなと思って参加を決めました。
──MORISAKIさんもお笑いがお好きなんですね。
MORISAKI そうですね。特に好きなのはかまいたちさんで、YouTubeもよく観ますし、ファンクラブにも入ってます。
お仕事をお受けした理由も、2人のプロフィールを見たら、四千頭身さんや土佐兄弟さんといった名前が並んでいて、「ちゃんとした人だ!」と思って(笑)。
──「マリマリマリー」では、もうひとりディレクター・編集者として柳将博さんがクレジットされています。どういった関係なんでしょうか?
深見 初期の「マリマリマリー」はなかなかYouTubeを更新することができず、TikTokへの投稿が中心でした。
そのうち、だんだん多くの人に観ていただけるようになってきたので、YouTubeも本腰を入れてやっていかないとな……と思ってたんです。でもTikTokを運用するだけで手一杯で、資金もマンパワーも足りなくて。
そこで、もともとYouTube関連のお仕事でご一緒していたケイコンテンツさんにご相談することにしました。
柳さんはケイコンテンツのスタッフのひとりで、動画の編集をやってもらっています。最近は企画出しも手伝ってもらうことがありますね。
──ちなみに、現状「マリマリマリー」制作者の情報が少なく、個人の方がまとめたサイトでは、なぜか見事にすべて深見さんとして紹介されているのがダンプさん(※ふたりと同じシェアハウスに住んでいる放送作家)の写真になっているのですが……?
深見 そうなんですよ!!! 今回、公式として訂正させてもらいたいです(笑)。
シティポップ風なイラストのベースに90年代の漫画
──企画の2人が影響を受けたお笑い芸人やコンテンツはありますか?さかもと 僕はAマッソさんの漫才を見て放送作家を目指したんです。
ずっと意味わからん場所に連れてかれる感じが大好きで、新しいことにチャレンジする姿勢もいいなあって思ってます。
深見 僕は、本当にいろんな芸人さんに影響を受けてるんですよね……。
バナナマンさん、ジャルジャルさん、ラバーガールさんとか。『爆笑レッドシアター』をよく観てたので、そういうコントとか、ロッチさんとかもそうですし。最近だとハナコさんとか。いろんな芸人さんのコントを観て、ちょっとずつ影響を受けてます。
──MORISAKIさんの画風はどんな作品から影響を受けていますか?
MORISAKI 漫画やアニメで言うと、『らんま1/2』『きまぐれオレンジロード』『赤ずきんチャチャ』とか……1980年代〜90年代の作品ですね。昔の作品が好きというわけではなく、絵やキャラクターが好きで観たり読んだりしていました。 MORISAKI 僕の描く絵はよく“レトロ”と言われますけど、レトロにしようという意識はなく、単純にそういった作品が染み付いているだけだと思います。
──「マリマリマリー」では、レイジやかなめ、美月ちゃん、スミちゃんといったオリジナルキャラクターが登場します。デザインはどうやって決めたんですか? 深見 3人でなんとなく「こういう台詞を言うやつ」みたいなイメージで考えてましたけど、かなめとかはMORISAKIさんに結構アイディアをもらって。レイジの髪型もMORISAKIさん発だったはず。
MORISAKI ネタは決まっていたので、僕がイラストですり合わせていった感じですね。いわゆるレトロ感がありつつも、ちゃんと現代のキャラクターとしても魅力がある、そういう意識でデザインしてます。
──ちなみに、キャラクターたちの声優も「一般人」とクレジットされていたりと、正体を明かしてないですよね。
深見 謎の人たちがやっているということで勘弁してください(笑)。
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