樋口楓インタビュー VTuberの生と死『俺100』主題歌を絶唱して気づいた“終わり”

VTuberにとっての生と死

「私も引退したらどうなるんだろう?」

──シングル全体でハードなテーマに挑戦したことで、意識の変化などはありましたか?

樋口楓 ここ最近だと引退・卒業する仲間がいたこともあって、「私も引退したらどうなるんだろう?」とか、「そこで時が止まってしまってだんだん忘れられていくんだろうか?」と考えてしまうことはありました。それは人間的なものとは違う、VTuberにとっての生死なのかなって

人前に立つお仕事って一時期すごい注目してもらえても、当然忘れ去られることもありますよね。それでも愛情を持ってくれる人はいて、私がずーっと『極上生徒会』や『マビノギ』をこすり続けてるのは、あの作品のキャラクターや魅力を忘れたくないし、ずっと私のなかで生きていてほしいからなんです。

ただ、私も毎週楽しみにしてたアニメが終わった途端に記憶が薄れていくことはあるし、推しキャラがいても次のクールのアニメがはじまったら新しい推しができることもある。私たちも同じようにファンの方に楽しまれているなら、忘れられることも推し変があることも当然だと思うんです。

『極上生徒会』や『マビノギ』をこすり続けるのは「ずっと私のなかで生きていてほしいから」

樋口楓 もちろんずっと推してもらえたら嬉しいですけど、それは強制することじゃないし、人によって考え方や価値観も違う部分だと思います。

昔は好きだったけど、最近はまったく見てないなと思ったら、その人の中ではもう樋口楓は死んだのと同じなのかもしれないし、私たちにとっての生死って記憶に残れるかどうかなのかなって。難しいというかややこしい話ですけど、今回の制作を通じて、よりそういうことを考えるようになった気がしますね。

──アーティストでありながらも、自分が流行り物というかコンテンツであるという感覚があるのでしょうか?

樋口楓 極端な話、仲のいい友達でも3年毎日一緒に居たら飽きるじゃないですか(笑)。だからずっと応援してくれてる人がいるのはありがたいと思う反面驚きもあって、この先も着いて来てもらえるかなって心配は常にあります。

自分でやってきたからこそ3年間活動するってすごく大変なことだなって思いますし、それ以上に活動を続けている人はもうすごすぎるなって。

最近では樋口楓のプロデューサー的な視点で、自分を客観的に見られるように

樋口楓 見習わなくちゃと思う反面、続ければ続けるほど新しいことに挑戦するのも難しくなってしまうから、そういうタイミングで新しい一歩を踏み出そうと考えて、引退や休止を選ぶ人が出てくるのかもなとも感じました。

最近、樋口楓のプロデューサー的な視点で、自分を客観的に見ることもできるので、よりそういったことを考えるのかもしれません。当然、いろいろな考えがあることなので、機会があればほかの人とも話し合ってみたいなって思いますね。

凛先輩との声優出演「かわいくて眺めちゃってました」

樋口楓『Baddest』【初回限定盤】

──『Baddest』の初回限定盤ジャケットおよび新アーティストビジュアルをウエダハジメさんが担当されています。

樋口楓 これまで焦茶さん、POKImariさんに描いていただいて、もう次は誰に頼めばいいかわからないと思っていたら、スタッフさんに「ウエダハジメさんはどう?」って提案していただいたんです。

そりゃ描いていただけるなら嬉しいけど、レジェンド過ぎて絶対無理でしょって思っていたんですが、ありがたいことに引き受けていただけました。

ウエダさんが携わった『化物語』も『魔法少女まどか☆マギカ』も見ていたので、どんなイラストが出来上がるんだろうってワクワクしながら待っていたら、もう言うことなしのイラストが完成して感激です。

──ロボット化された樋口さんの手に、シンガーとしての樋口さんが立つというかなり特徴的なビジュアルに仕上がっていますが、樋口さんからアイデアなどはあったのでしょうか?

樋口楓 こちらから何か要望を伝えたわけじゃないんですが、『俺100』の世界観とかVTuber全体のイメージからメカ樋口を描いてくれたのかなと思っていて、やっぱりすごいなと感じました。家に飾っておきたいです!

樋口楓さん『Baddest』最新アーティストビジュアル

──『俺100』では、タイアップだけでなく本編に声優として出演されました。同じにじさんじ1期生の静凛さんと一緒に収録されたとのことですが、アフレコはいかがでしたか?

樋口楓 凛先輩の「声優のお仕事をしたい」っていう思いを、一番近くでずっと聞いてきたので、出演が決まったときは嬉しかったですね。

収録当日、凛先輩は声色も上がってて見るからにルンルンだったんですよ(笑)。凛先輩って自分のやりたいことをハッキリ言うタイプじゃないんですけど、それでも長年言い続けてた夢がこれから叶うんだって思ったら、私まで嬉しくなっちゃいました。

役柄は名もなき女子生徒でセリフも一言二言だったんですけど、凛先輩はその短い中にもどう気持ちを込めればいいかめちゃくちゃ考えていました。音響監督さんと相談しながらいっぱいメモを取っていて、それは私も見習わなきゃと思ったんですけど、普段はあんまり見れない凛先輩がかわいくて眺めちゃってましたね
VTuber樋口楓&静凛「俺100」アフレコ参加コメント動画
──出演報告ツイート自体は簡素でしたが(外部リンク)、凛fam(ファン)の皆さんの喜びようも凄かったです。

樋口楓 収録後に「もう悔いはない!」って言ってたんですけど、いやいやこっからもっと出てもらわないとって思ってます。凛先輩の綺麗な声をもっとたくさんの人に聞いてもらいたいし、VTuberが声優の仕事をする機会もどんどん増えていったらいいなと思います

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