KAI-YOUでは、これまで、音楽活動についてはもちろん過去すべての恋愛遍歴まで、あらゆるお話をうかがってきました。 アニメ『機巧少女は傷つかない』のED「回レ!雪月花」の作詞作曲など数々のアニソンをはじめ、人気バラエティ番組「ゴッドタン」(テレビ東京)やアイドルへの楽曲提供といった、多岐にわたる音楽活動で成功を収め、その夢を叶えてきたヒゲドライバーさん。
しかし、そんな彼にも、30代に突入しても叶えていない夢がありました。それは、ミュージシャンとして成功するために時には封印さえしてきた、普通の恋愛、そして結婚です。
そんな中、2020年8月10日、驚くべきニュースが飛び込んできたのです。
「ミュージシャンのヒゲドライバーさん、声優の小澤亜李さんと結婚」(関連記事)
まさかの全部すっ飛ばして突然の結婚発表。偶然にも以前、ヒゲドライバーさんと小澤さんの対談も企画させていただいていた我々は、15周年をお祝いするという建前のもと、根掘り葉掘りうかがうべく、彼のもとを訪ねました。
隣には、いつものように、ヒゲドライバーさんをどん底から引き上げて信じ続けてきた(口は悪いけど)人間味あふれる事務所の社長・村田(裕作)さん。
構成:鈴木梢 取材・撮影:新見直
祝! ヒゲドライバー15周年を祝いにやってきた
15周年本当におめでとうございます!
ありがとうございます。10周年のときも取材してもらいましたけど、あっという間ですね…。この5年間で本当にいろいろありすぎて、わーっとやってきたら今! くらいの感覚ですよ(笑)。
お仕事はもちろん、環境もいろいろと変化があったと思いますが……そのあたりは追ってうかがうとして、今、ヒゲドライバーとして率直にどんな心境ですか?
そうですね、“ヒゲドライバーの第2章スタート”という気持ちですね。
なるほど…第2章のスタート、と……。
…ねえ、にいみくん。「こいつの話つまんないな」とか思ってない?
いや、思ってないですよ! いきなり何をおっしゃるんですか!! …でもやっぱり、ちょっと落ち着かれましたかね…?
数年前は本当にやばいくらいにがむしゃらに働いていたので、そのときに比べたら落ち着きましたね。生活もめちゃくちゃでしたし…。
生活がめちゃくちゃ?
そう。全然寝てなかったし、食生活も不健康な感じだし…でも最近は生活を改めるようになって。ちゃんと朝起きて、ごはん食べて、家事をして…
すんごい普通の話(笑)。
さすがにこのままの生活を続けていたら、心身共にもたないなとは思ってたから。今振り返ると、とんでもない生活をしてた…。
一時期、毎クール必ずヒゲさんが手がけられた楽曲が流れていましたもんね。
毎クールどころか、2017年なんてアニメタイアップだけで年間9曲とかつくっていたから、4クールに分けたら1クール2曲以上。どうかしてますよね(笑)。
昔、池尻大橋にあった「2.5D」という配信イベントスタジオでお会いした当時と比べると、すごい話ですよね。それだけ「ヒゲドライバー」のニーズが高まっていったということですから。
そうですね。もちろん今もコンペ(楽曲を募集するコンテストのこと)はあります。けど、当時はがむしゃらに「これ明日〆切だけどなんとか間に合わせる!」みたいな日々だったので…今は、参加するコンペも選ばせてもらうようになりました。
当然ですよね。お忙しいし売れっ子ですから。そうしてがむしゃらに駆け抜けた5年を経て、突然のご結婚ですよ! 本当におめでとうございます!(2回目)
あ、はい、ありがとうございます…(笑)。
後でおうかがいするつもりでしたが、やはりその変化を語っていただかないと話が繋がっていかないと思いました。KAI-YOUではこれまで、ヒゲさんの恋愛遍歴のすべてを語っていただいてきましたが…
確かにそうですね(笑)。
小澤亜李さんとのご結婚は、やっぱりターニングポイントになりましたか?
結婚はもちろんですが、それ以前に、恋愛をする気持ちになったことがまず大きいですね。
「恋人をつくるか、音楽を続けるか」を考えて、普通の恋愛を禁じた時期もあったほどですもんね。※1
そうなんですよ。
一方で、そのインタビューの最後に『そろそろ普通の恋愛をしてもいいんじゃないかな』ともおっしゃっていましたね。
2015年当時…というと、32歳ですね。正直な話、30歳の節目でちょっと考え方が変わってきたんですよ……変な言い方をすると「このまま30歳を超えてまだ“童貞売り”をしていくのか?」って。
それを自分で客観的に考えていたんだ(笑)。
本当に、「ガッキーに会いたい!」とか言っている場合じゃない。※2 恋愛をして、結婚を考えたほうがいいな…となんとなく思い始めて。
このままじゃダメなんじゃないか? という意識が、ご自身の中で生まれてきたと。
とはいえ仕事も順調になってきた時期で忙しくて、なかなかすぐに恋愛…という感じでもなかったんですけど。仕事をがんばったなーってときに、良いタイミングでご縁があったんです。
結婚は、自分の道の真っすぐ先にあった
「童貞売り」というお話がありました。
童貞を“イジる”のはナンセンスだし時代遅れですが、ヒゲさん自身がホスト時代から童貞を“ネタ”にして踏ん張って来られたわけじゃないですか。※3
“コンプレックスが創作の原動力になる”ことは絶対にあるし、コンプレックスに限らずその人自身の特性が表現や作品自体に影響を与えることは少なくない。
ヒゲさんであれば、“童貞”というステータスが表現に与えてきた影響はあると思うんです。例えば初期の名曲『マイティボンジャック』とか、少なくともそういった影響が強く表れていたように感じます。
2020年にもなってそこを掘り下げていいのかっていうのはすごく悩んだんですけど、でも「ヒゲドライバー」という作家の作家性にとってすごく重要だと思うのでどうしても聞きたいんです。その変化が、ヒゲさんにどう影響しているのかということを……
まわりくどいけど、つまり「今の気持ちはどう?」って聞きたいの?
簡単に要約しないでくださいよ! 一言では言い表せない話なんですから…!
……言わんとすることはすごくわかるんですけど、僕としては別に急な変化じゃないんですよね。
自然なことだった?
お相手にしてもそうだし、結婚ということにしてもそうだけど、自分の道の真っすぐ先にあったことのような気がするんですよね。
童貞が結婚した、っていうとなんか真逆のことしたみたいに思われるんですけど、延長線上にあるんですよね。だから、表現とかがガラッと変わる気がしなくて。
急に起きた出来事じゃないから、急な変化もない。
そう。出会い方もそうだし、関係性とかもそうだし、すごく自然な流れで好きになったし、自分の中の違和感とか、無理しているような感じはまったくなかったんですよね。
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