イベントスペースで感じた、ライブパフォーマンスの盛り上がり
さて、一方のイベントスペースではラッパーのRin音さんやNulbarich、DOMMUNE主催のDJイベントが順次開催されていた。イベントスペースは「バーチャル渋谷」と別のワールドとして存在しており、ステージの前には多くのアバターがひしめいてサイリウムを振るモーションなどをしていた。
ライブステージなどの限られた空間であればバーチャルでも人混みの賑やかさをある程度まで再現できる。ステージ以外にも渋谷の町並み全体に広がるエフェクトなど、バーチャルならではの演出が展開された。
チャット欄も演者への声援や「今日はじめて知ったんだけどなんて曲?」といった問いかけ、それへの返答などが追うのが少し難しい程度の速度で流れていった。 また、ときおり運営事務局からのアナウンスが流れるとそれに対して「がんばれー」「ありがとー」などといった言葉が返されるなど非常に和気あいあいとした雰囲気を感じられた。
話を戻すなら、ライブパフォーマンスだけでなく「バーチャル渋谷」の雰囲気も全体として和気あいあいとしたものだった。
質問に対する返答やバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」のIDを初めて交換したというやり取りなど。頻度は限られているものの「新しい出会い」と呼べるものも確実に生まれていた。
「バーチャル渋谷」はまだ都市ではない
「バーチャル渋谷」自体も街並みは渋谷の雑多さを再現してはいるが、アクセスできる情報量はそれほど多くない。店舗の中に入ることは当然できないし、再現されていても歩くことは出来ない歩道もあった。謎解きや隠しスペースなどが用意されているとは言っても実際の渋谷の人混みのような、常にどこかで何かが起こるようなイベントの密度には到底及ばないし、ライブイベントの熱量がイベントスペースから街へ漏れ出るようなこともない。
イベントといえばハロウィン当日、「cluster」ではVTuberによるライブや有志が仮装を楽しむワールドが存在していたが、「バーチャル渋谷」は当然そのような有志と協力しているわけではない。別のワールドにアクセスするためには一旦「バーチャル渋谷」から抜ける必要があった。今の「バーチャル渋谷」はなんというか、ライブイベントスペースがアクセス可能になるまでのしばらくを、やり過ごすための待機所に過ぎない。 駅前が再現されているといっても、雑多な空間への入り口というような都市の機能を「バーチャル渋谷」は再現していない。仮装を楽しむワールドに集まる慣れたユーザーたちと比べると、まだまだ一般にはアバター制作アプリのような仮装を楽しむ手段が浸透していないという感覚もある。
熱狂性、という意味では「バーチャル渋谷」は実際の渋谷のハロウィンとは比べるまでもないイベントではあった(とはいえ実際のハロウィンのような熱狂が起こるのなら、それはきっとサーバーがダウンしてSNSに悲鳴や困惑が投稿されるような瞬間だろうと思う)。
クリスマスや年越しなど、これからもイベントが集中するシーズンが続く。「渋谷」を冠した、そしてそこを再現した空間の価値はより高まっていくことと思う。
そのような時に「バーチャル渋谷」が一つのイベントのための待機所ではなく、様々な空間に繋がるポータルとして機能すれば、バーチャルにまつわる文化はより豊かなものになると思う。
(c)KDDI・au 5G / バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス
(c) KDDI・au 5G / 渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト
ぼくたちのハロウィンとバーチャルの未来
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