巨匠 スティーヴン・スピルバーグ監督が生み出した1982年公開の映画『E.T.』が、25年ぶりに金曜ロードショーに帰ってくる。
今回はそんな『E.T.』の帰還を記念して、10月2日(金)の放送を前に、作品の見どころをおさらいしていきたい。
E.T.にまだ出会ったことがない初見の方々もきっと、E.T.との出会いが最高の思い出となり、自分自身を変え、成長させてくれるきっかけになるはずだ。
子供の頃に目にしたという方も、あの感動的な体験を大人になった今、もう一度体感してみてはいかがだろうか。
◆主なあらすじ
10歳の主人公・エリオットはいつもひとりぼっち。シングルマザーの母親からかまってもらえず、兄の友達グループからも仲間に入れてもらえない寂しい思いを重ねていた。
そんなある日、植物を採取するために地球を訪れていたとある宇宙船が離陸する際、宇宙人が一人取り残されてしまう。それがみんながよく知るあのE.T.だ。
互いにひとりぼっちのエリオットとE.T.は出会い、心が通じ合うまでの心友となっていく。だが、宇宙人の存在を知った町の警察や宇宙服を着た謎の組織がE.Tを狙って、次々と追ってくるのだった……。
◆主な受賞歴
第40回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)を受賞し、第55回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞など主要9部門にノミネートされ、作曲賞など4部門で受賞した。
※本記事は一部ネタバレを含みます。
時にE.T.は、女装したり、ハロウィンにも仮装して参加したり、ビールを飲みまくって酔っ払ったり、テレビでキスシーンを見てうっとりしたり、それがきっかけでエリオットは学校で大変なことを起こしたりなどと、どれも笑えて見逃せない。
E.Tは最高に楽しいキャラクターなのだ。E.T. The Extra Terrestrial (1982) - 100th Anniversary Classic Moments [HD]
『E.T.』で最も有名なシーンといえば、自転車で空を飛ぶシーンだ。町や森を駆け抜ける時の浮遊感と、月を横切る自転車に乗ったエリオットとE.T.の美しいヴィジュアル。
さらに、この時にかかるジョン・ウィリアムズさん作曲の『E.T.』のテーマ曲が、最高の胸の昂りと感動を助長させてくれる。このシーンを見て、月の輝く夜空に夢や希望を抱いた人たちもいたであろう。John Williams - Flying Theme (E.T. the Extra-terrestial Soundtrack)
スピルバーグ監督もこのシーンを気に入っていると「アメリカ映画 勇気と感動ベスト100」のインタビューで語っている。
その寂しい思いや心の痛み、希望を宇宙に託し、生まれたのが『E.T.』ではないだろうか。
E.T.はエリオットの心友でもあり、兄弟のような存在でもあり、父親のような存在とも言えよう。『E.T.』はひとりぼっちでメソメソしていた主人公のエリオットが、E.T.と出会い、様々な体験を通して“勇気”をもらい、“成長”する物語なのだ。
正直、私はE.T.が嫌いだった。その当時、私はまだ『E.T.』を一度も見たことはなかったが、なんとなくあの手足の長いしわしわの姿の宇宙人というイメージが強く、怖かったのだ。
時が過ぎ、大人になって、私は仕事やプライベートのことで悩んでいた時、現実逃避しようとたまたま入った映画館でやっていたのが『E.T.』のリバイバル上映だった。
今までずっと恐れていたあのE.T.とそこで初めて出会い、初めてちゃんと向き合ったのだ。ところが、予期せぬことに見てる途中からもう涙ボロッボロッになって泣いてしまい、最後のあるシーンで私は本当に胸を打たれた。
それはE.T.とエリオットの別れのシーンだ。別れ際、E.T.はエリオットに向かってこう言う。
「一緒に(宇宙に)行こう!」
だが、エリオットはきっぱりとこう答える。
「いや、(ここに)残るよ」
それまでひとりぼっちで、メソメソしてばっかりだったエリオットのその時の表情は、逞しくなっていた。エリオットは宇宙へ逃避せず、地球に残って辛い現実に立ち向かう決意をしたのだ。
なぜなら、エリオットはE.T.と出会い、別れ、戦い、冒険することで“勇気”をもらったからだ。
私もあの日、E.T.から現実に立ち向かう“勇気”をもらった。おかげで、今では私はE.T.のことが大好きだし、辛い現実があっても頑張れているし、このあだ名にも誇りを持っている。『E.T.』は私の心友であり、私自身を成長させ、変えてくれた心の支えでもあるオールマイベストだ。
私はE.T.は実在すると思う。
なぜなら、E.T.はいつも私のココにイルから...
(I’ll… be… right… here.)
著:江川 知弘(Egawa Tomohiro)
今回はそんな『E.T.』の帰還を記念して、10月2日(金)の放送を前に、作品の見どころをおさらいしていきたい。
E.T.にまだ出会ったことがない初見の方々もきっと、E.T.との出会いが最高の思い出となり、自分自身を変え、成長させてくれるきっかけになるはずだ。
子供の頃に目にしたという方も、あの感動的な体験を大人になった今、もう一度体感してみてはいかがだろうか。
◆主なあらすじ
10歳の主人公・エリオットはいつもひとりぼっち。シングルマザーの母親からかまってもらえず、兄の友達グループからも仲間に入れてもらえない寂しい思いを重ねていた。
そんなある日、植物を採取するために地球を訪れていたとある宇宙船が離陸する際、宇宙人が一人取り残されてしまう。それがみんながよく知るあのE.T.だ。
互いにひとりぼっちのエリオットとE.T.は出会い、心が通じ合うまでの心友となっていく。だが、宇宙人の存在を知った町の警察や宇宙服を着た謎の組織がE.Tを狙って、次々と追ってくるのだった……。
◆主な受賞歴
第40回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)を受賞し、第55回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞など主要9部門にノミネートされ、作曲賞など4部門で受賞した。
※本記事は一部ネタバレを含みます。
見た目によらずチャーミングなE.T.
E.T.といえば、首や手が長く、しわしわのあの見た目に少し驚く人も多いだろう。でもE.T.はチャーミングで明るく面白いキャラクターであり、劇中では子供も大人も楽しく、笑えるシーンが満載なのだ。時にE.T.は、女装したり、ハロウィンにも仮装して参加したり、ビールを飲みまくって酔っ払ったり、テレビでキスシーンを見てうっとりしたり、それがきっかけでエリオットは学校で大変なことを起こしたりなどと、どれも笑えて見逃せない。
E.Tは最高に楽しいキャラクターなのだ。
自転車で空飛ぶ美しいヴィジュアルと音楽
さらに、この時にかかるジョン・ウィリアムズさん作曲の『E.T.』のテーマ曲が、最高の胸の昂りと感動を助長させてくれる。このシーンを見て、月の輝く夜空に夢や希望を抱いた人たちもいたであろう。
主人公はスピルバーグ監督自身でもある
主人公エリオットは、スピルバーグ監督自身でもあるように思う。それはスピルバーグ監督も子供の頃、家庭では両親が離婚し、ひとりぼっちで、いじめられっ子で、いつも寂しい思いをしていた。その寂しい思いや心の痛み、希望を宇宙に託し、生まれたのが『E.T.』ではないだろうか。
E.T.はエリオットの心友でもあり、兄弟のような存在でもあり、父親のような存在とも言えよう。『E.T.』はひとりぼっちでメソメソしていた主人公のエリオットが、E.T.と出会い、様々な体験を通して“勇気”をもらい、“成長”する物語なのだ。
E.T.はいつも私のココにイル…
私も子供の頃、名前のイニシャルが「E.T.」であったため、周りからあだ名で“E.T.”と呼ばれ、馬鹿にされたことがあった。正直、私はE.T.が嫌いだった。その当時、私はまだ『E.T.』を一度も見たことはなかったが、なんとなくあの手足の長いしわしわの姿の宇宙人というイメージが強く、怖かったのだ。
時が過ぎ、大人になって、私は仕事やプライベートのことで悩んでいた時、現実逃避しようとたまたま入った映画館でやっていたのが『E.T.』のリバイバル上映だった。
今までずっと恐れていたあのE.T.とそこで初めて出会い、初めてちゃんと向き合ったのだ。ところが、予期せぬことに見てる途中からもう涙ボロッボロッになって泣いてしまい、最後のあるシーンで私は本当に胸を打たれた。
それはE.T.とエリオットの別れのシーンだ。別れ際、E.T.はエリオットに向かってこう言う。
「一緒に(宇宙に)行こう!」
だが、エリオットはきっぱりとこう答える。
「いや、(ここに)残るよ」
それまでひとりぼっちで、メソメソしてばっかりだったエリオットのその時の表情は、逞しくなっていた。エリオットは宇宙へ逃避せず、地球に残って辛い現実に立ち向かう決意をしたのだ。
なぜなら、エリオットはE.T.と出会い、別れ、戦い、冒険することで“勇気”をもらったからだ。
私もあの日、E.T.から現実に立ち向かう“勇気”をもらった。おかげで、今では私はE.T.のことが大好きだし、辛い現実があっても頑張れているし、このあだ名にも誇りを持っている。『E.T.』は私の心友であり、私自身を成長させ、変えてくれた心の支えでもあるオールマイベストだ。
私はE.T.は実在すると思う。
なぜなら、E.T.はいつも私のココにイルから...
(I’ll… be… right… here.)
著:江川 知弘(Egawa Tomohiro)
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江川知弘
江川知弘(えがわともひろ)
1996年、熊本県八代市生まれ。東海大学卒。
作家。短編小説・短編集『お母さんの煮しめ』(2023)で、幻冬舎グループ主催の第4回短編小説コンテスト 大賞を受賞。続く第2回ラジオドラマシナリオコンテスト 大賞を受賞。2024年、合同会社MKz Squareの企画・製作にてラジオドラマ化が決定した。
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