ミリオンセラーを記録した『超訳 ニーチェの言葉』に続く超訳シリーズ最新作となる。
信仰の本でもキリスト教の本でもない
2000年前、ローマ帝国支配下のパレスチナ地方に現れて、圧政と宗教の束縛、貧困に苦しむ人々に愛と赦しを説いたイエス。彼がひとりの人間として、実際に何を語ったのか?
過去には『超訳 聖書の言葉』も刊行しているが、聖書を読むだけではわからないその言葉を白取さん独自の解釈のもと、「現代の若者に対してならばどう語るだろうか」という点を鑑みながら“超訳”したという。本書は、信仰の本ではない。キリスト教の本でもない。聖書を数十年かけて読んでいる人ならば、そのことがすぐにわかるだろう。ただ、イエスという一人の男が口にした言葉を書いてある。もちろん、その言葉の一部はキリスト教が聖典と認める新約聖書に記されている。
ただし、本書にあるイエスの言葉は新約聖書につづられたままではない。つまり、いわゆる「超訳」されている。しかも、私自身による解釈をメインにしたという意味での超訳なのだ。
その意味で、本書は私を通して語られたイエスの言葉でもある。だから、私自身の聖書解釈が濃く滲んでいることをまずことわっておく。また、イエスが現代の若者に対してならばどう語るだろうかというふうに編訳してもいる。 「はじめに」より一部抜粋
パンがありさえすれば人は生きていけるのか? パンを買う金があれば、生きていくのに充分なのか? 人間とはそれだけの存在なのか?
食っていければ、それでいいのか?
まさか、そうじゃないだろう。
では、何だ? きみが生きるために必要なものは何だ? パンがありさえすれば、生きていけるのか(マタイ4・4)
前作『超訳 ニーチェの言葉』は100万部超え
2010年に発売された白取さんの前作『超訳 ニーチェの言葉』は、発売1カ月で10万部、翌年には100万部を突破したミリオンセラー。読者の約4割は20代の男女。プロサッカー選手の長谷部誠選手、長友佑都選手、V6の岡田准一さんなど、多くの著名人にも取り上げられ、大ヒットを記録した。
「超訳」は元々存在したが、『超訳 ニーチェの言葉』の大ヒットを受けて、その後数年、他の出版社からも続々「超訳」の刊行が増えたのも印象的だった。
タイトルの通り、通常の直訳ではなく翻訳者の独自の解釈による意訳を含む「超訳」シリーズは、元々の読者からは懐疑的に見られる一方、読みやすさが魅力でにわかにニーチェブームを巻き起こした。
著者は、ベルリン自由大学で哲学・宗教・文学を学んだ白取さん。
既成概念にとらわれない、哲学と宗教に関する明快な解説が特徴で、これまでに『頭がよくなる思考術』『はじめて知る仏教』『この一冊で「聖書」がわかる!』などを手がけている。
文学のKAI-YOU
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