10月28日、週明け31日のハロウィン本番を目前に控えた金曜日。
東京・渋谷は例年、溢れかえるほどの人々がコスプレ衣装に身を包み、そこで起きる狂乱ともいえるほどの騒ぎは世間を賑わせ、社会現象となった。
渋谷にオフィスを構えるKAI-YOU.netでも、そんなハロウィンの様子を毎年レポートしてきた。 2015年は、文字通り溢れかえった人の群れで歩くことすら困難。ラブホテルにできていた行列は、揶揄するようにネット上で拡散されていた。
しかし。最も盛り上がりが予想された28日金曜夜の渋谷には、意外な光景が広がっていた。
コスプレを楽しむパリピはどこへ消えたのか? そして、彼らはどこへ向かうのか? これは、そんな2016年における渋谷ハロウィンの記録だ。
写真:ヤマシタ ヒロヒサ/企画・文:ふじきりょうすけ
平日でさえ行き交う人々がごった返し、窮屈な思いをすることも多い。渋谷の玄関であり、代表的観光地の1つだ。
しかし、全くと言っていいほどコスプレをする人の姿がない。時刻は21時を少し回った頃だろうか。2015年の様子と見比べても、その熱気の差は一目瞭然だ。 センター街を進んだところで、同じく人もまばら。ニットにジャケットを羽織った筆者ですら、凍えるほどに気温は低く、吐く息も白くなるほどの気温なので、どうしても露出の増えるコスプレが少ないのは、当然といえば当然だが。 例年のハロウィン後はゴミ問題が批判されていたが、清掃活動ボランティアの方もこの状況に驚愕していた。声をかければ「そもそも人が少ないので、ゴミが出ない。朝8時までこのまま待機です」と答えてくれた。 ハロウィンに合わせてセンター街の中心につくられた、期間限定のコスプレ専門ドン・キホーテにも入店してみたが、そこですら客足はまばらだった。
そんな中、稀にではあるが、コスプレを楽しんでいる人々の姿ももちろんある。 「雨でももっと人はいると思っていた」「(コスプレをした人たちと)写真も撮りたかった」。気合いが空回りしたような、どこか呆然とした印象を受けた。 また渋谷では、言うまでもなく数多くのクラブやライブハウスが立ち並び、ハロウィン合わせのイベントも数多く開催されている。
ATOM TOKYOやclubasiaなど人気クラブが乱立する通りはどういった状況だろうか? 足を運んでみたものの、人の数は増えこそすれ、やはりコスプレ姿は少ない。コスプレを楽しむ人々とクラブイベントを求める人々は異なるのだろうか?
少なくとも筆者が声をかけたコスプレイヤーの多くは、純粋にハロウィンで路上コスプレを楽しむために仮装をしているという人たちがほとんど。
クラブイベントにはまるで興味がなく、この閑散とした状況だから帰路につく途中だと答えた人が多かった。
そもそも2015年は表通りはもちろん裏路地にまで仮装姿の人々が溢れ出していたが、今年は見つけることはできなかった。
筆者が思うに、アバンギャルドな仮装やメイク、時には公共物の破壊をも楽しむ若者たちの純粋なユースカルチャーとして機能していたのが、近年のハロウィンムーヴメントだろう。
しかし、そんな流行にさまざまな企業が乗っかり出したのはもちろん、行政までもが加わり、管理された催しへと変貌したことが人気低迷の根底にあるように感じられる。
余談だが、2015年の渋谷では、クリスマスすらも一大イベントとしての機能を失いつつあった。 ハロウィンやクリスマスを消費し尽くした人々は、どこへ向かったのだろうか? また、土日を控える明日以降、盛り上がることはあるのだろうか?
蓋を開けてみなければ答えはわからないが、いずれまた、混沌とも言えるほどの熱狂が自然発生的に蘇ることを願ってやまない。心の底から。
10月29日追記:翌日土曜は、再び例年通りの盛り上がりを見せた。
東京・渋谷は例年、溢れかえるほどの人々がコスプレ衣装に身を包み、そこで起きる狂乱ともいえるほどの騒ぎは世間を賑わせ、社会現象となった。
渋谷にオフィスを構えるKAI-YOU.netでも、そんなハロウィンの様子を毎年レポートしてきた。 2015年は、文字通り溢れかえった人の群れで歩くことすら困難。ラブホテルにできていた行列は、揶揄するようにネット上で拡散されていた。
そして2016年。ハロウィン本番を31日に控え、警視庁はついにハロウィンのための交通規制に乗り出した。28日から31日までの4日間、渋谷駅周辺を混雑に応じて車両通行止めにすると発表していた。ラブホテルに行列出来てた @渋谷 pic.twitter.com/VPLIGjzi6d
— けいし* (@pandafun20) 2015年10月31日
しかし。最も盛り上がりが予想された28日金曜夜の渋谷には、意外な光景が広がっていた。
昼間から降り続けた雨や、12度という肌寒いというには度が過ぎる気温の影響もあってか、コスプレ姿はおろか歩行者の姿もほとんど消え去り、見るからに閑散とした状況だ。渋谷ハロウィン、現状無風すぎて不安になるレベル。ここから盛り上がるのかなー。 pic.twitter.com/Wpi7uyqWJQ
— 佐俣アンリ (@Anrit) 2016年10月28日
コスプレを楽しむパリピはどこへ消えたのか? そして、彼らはどこへ向かうのか? これは、そんな2016年における渋谷ハロウィンの記録だ。
写真:ヤマシタ ヒロヒサ/企画・文:ふじきりょうすけ
ハロウィンにもかかわらず閑散とした渋谷の街並み
我々・KAI-YOU編集部は、ハロウィンスナップ撮影のため、人の出入りが最も期待できるであろう渋谷・スクランブル交差点へ向かった。平日でさえ行き交う人々がごった返し、窮屈な思いをすることも多い。渋谷の玄関であり、代表的観光地の1つだ。
しかし、全くと言っていいほどコスプレをする人の姿がない。時刻は21時を少し回った頃だろうか。2015年の様子と見比べても、その熱気の差は一目瞭然だ。 センター街を進んだところで、同じく人もまばら。ニットにジャケットを羽織った筆者ですら、凍えるほどに気温は低く、吐く息も白くなるほどの気温なので、どうしても露出の増えるコスプレが少ないのは、当然といえば当然だが。 例年のハロウィン後はゴミ問題が批判されていたが、清掃活動ボランティアの方もこの状況に驚愕していた。声をかければ「そもそも人が少ないので、ゴミが出ない。朝8時までこのまま待機です」と答えてくれた。 ハロウィンに合わせてセンター街の中心につくられた、期間限定のコスプレ専門ドン・キホーテにも入店してみたが、そこですら客足はまばらだった。
そんな中、稀にではあるが、コスプレを楽しんでいる人々の姿ももちろんある。 「雨でももっと人はいると思っていた」「(コスプレをした人たちと)写真も撮りたかった」。気合いが空回りしたような、どこか呆然とした印象を受けた。 また渋谷では、言うまでもなく数多くのクラブやライブハウスが立ち並び、ハロウィン合わせのイベントも数多く開催されている。
ATOM TOKYOやclubasiaなど人気クラブが乱立する通りはどういった状況だろうか? 足を運んでみたものの、人の数は増えこそすれ、やはりコスプレ姿は少ない。コスプレを楽しむ人々とクラブイベントを求める人々は異なるのだろうか?
少なくとも筆者が声をかけたコスプレイヤーの多くは、純粋にハロウィンで路上コスプレを楽しむために仮装をしているという人たちがほとんど。
クラブイベントにはまるで興味がなく、この閑散とした状況だから帰路につく途中だと答えた人が多かった。
そもそも2015年は表通りはもちろん裏路地にまで仮装姿の人々が溢れ出していたが、今年は見つけることはできなかった。
渋谷からハロウィンが消えた日
しかし、なぜここまでハロウィンの影が薄くなってしまったのだろうか?筆者が思うに、アバンギャルドな仮装やメイク、時には公共物の破壊をも楽しむ若者たちの純粋なユースカルチャーとして機能していたのが、近年のハロウィンムーヴメントだろう。
しかし、そんな流行にさまざまな企業が乗っかり出したのはもちろん、行政までもが加わり、管理された催しへと変貌したことが人気低迷の根底にあるように感じられる。
余談だが、2015年の渋谷では、クリスマスすらも一大イベントとしての機能を失いつつあった。 ハロウィンやクリスマスを消費し尽くした人々は、どこへ向かったのだろうか? また、土日を控える明日以降、盛り上がることはあるのだろうか?
蓋を開けてみなければ答えはわからないが、いずれまた、混沌とも言えるほどの熱狂が自然発生的に蘇ることを願ってやまない。心の底から。
10月29日追記:翌日土曜は、再び例年通りの盛り上がりを見せた。
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日本が世界に誇るべき最高のポップシティ、渋谷。 あらゆるカルチャーと人種が集まるこの街で、毎日のように繰り広げられるパーティー、愛のはじまり、夢の終わり、高揚感と喧噪、その捉えがたきポップの断片をかき集める人気連続企画。 2010年代は渋谷から発信されていく、と思う。
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