動画投稿サイト・ニコニコ動画で歌い手として第一線で活動中のそらるさん。
これまでにニコニコ動画に投稿してきた「歌ってみた」動画は200曲以上、総再生数は7000万回超と、活動開始から6年が経つ今もなお、数多くのファンから人気を集めている。その一方、2013年に放送されたTVアニメ『ダンガンロンパ』のエンディングテーマ「絶望性:ヒーロー治療薬」を歌うなど、近年はメジャーシーンでの活躍もめざましい。
4月22日(水)にリリースされた2枚目のソロアルバム『夕溜まりのしおり』では、初の全曲書き下ろし楽曲での収録に挑戦。ニコニコ動画で有名なクリエイター陣による楽曲や、そらるさん本人が手がけた楽曲も収録された、多彩なアルバムに仕上がっている。さらに、アルバムに収録された全15曲がJOYSOUNDからカラオケ配信されることが、発売日前の段階で既に決定している。
そんな彼が、長年のキャリアの中で感じた「歌ってみた」の魅力、そして今回リリースされたアルバムや「歌ってみた」文化に対する思いを、赤裸々に語ってくれた。
(取材・文/鎌田篤・米村智水)
そらる 実は、子供のころはほとんど意識して音楽を聴いたことがなかったんです。高校生の頃から当時流行っていた音楽をいろいろ聴くようになって、遊びでバンドを組んだり、弾き語りをしたりしていました。主にBUMP OF CHICKENとかThe Pillowsとか、ロキノン系アーティストのカバーが多かったですね。
その後、大学でもサークルでバンド活動を続けていたんですが、そこではじめてパソコンを持って、ニコ動や「歌ってみた」の存在を知りました。それまで音楽って、多くのプロたちが関わってつくるものだと思っていたのが、そうやって個人でもつくって発表できるものなんだということを知って、自分も同じことをしてみたいなと思ったのがきっかけでした。
──ニコ動といえば、当時はボカロや同人音楽といったジャンルの動画の人気が高かったと思うのですが、そういったものにも興味はあったのでしょうか?
そらる 正直、はじめは「なんで素人の歌を好き好んで聴かなきゃいけないんだ?」と思っていましたね(笑)。お金を出せば、CDでもっと質のいい音楽が聴けるじゃんって。ただ、いざ聴いてみるとすごく魅力的なものが溢れていて、さらにそれが個人でつくられたもので、タダで聴けるということが当たり前の環境にはすごく驚きました。
今の同人音楽でも、プロや商業作品と比べたら、遜色がなくなってきているとはいえ、クオリティ自体は劣るもののほうが多いとは思いますが、個人だけでつくられているからこそ出せる曲だったり表現だったり、プロではかけられない長い制作時間だったり……そういった魅力は、やっぱりここにしかないものだなと感じました。
そらる 個人で出している他の歌い手さんとの合作CDでは、ひとりの作曲者さんと一緒にやる形が多かったんですが、今回は自分のソロアルバムということもあって、色々な人と一緒にやりたいと思っていました。自分が好きなクリエイターさんに書き下ろしをしてほしいって考えていたら、自然とこのアルバムの形になっていきましたね。
基本的には今まで自分が歌わせてもらった曲をつくっている方だったり、一緒に同人でCDや楽曲制作したことがある方が大半だったので、クリエイターがバラバラでも、ギャップはあまりなかったですね。その人らしい曲を書いてくださいってどの人たちにも頼んでいたんですが、どれもすごくいい曲ばかりで。曲によって歌うのが大変だったこともありましたが、そこまで歌えないっていうものはなかったかなと。というのも、作曲者さんが自分をイメージして書いてくださったのと、これまでその人たちの曲をたくさん歌わせていただいてきたからだと思います。
──アルバムのジャケットを手がけられた岬さんにも、ご自身でお声がけされたのですか?
そらる そうですね。岬さんのことは、すごく魅力的な絵を描く人だなと思っていて、もともとファンだったんです。僕の友だちが岬さんの友だちで、その友だちが岬さんに僕について話をしていてくれて、それでジャケット制作を受けていただいたんです。このジャケットが店頭にズラッと並ぶと思うと楽しみですね。ハッとするようなものになっているなと思うので。
──今回のアルバムのコンセプトは?
そらる 活動開始から6、7年、「歌ってみた」動画を投稿し続けてきましたが、そんな自分の歴史みたいなものを本にした時にしおりになるような──読み返すときにその時のことを思い出せるような──そんなアルバムにしたいと考えていました。自分で書き下ろした楽曲「夕溜まりのしおり」や、他の方に書き下ろしてもらった楽曲も、そういう内容になったかなと。今まで自分がやってきたことを詰め込んで、これから先につながっていくようなものができたらという思いを込めてつくりました。
──そらるさんにとって、今までの活動の指標といった位置づけでしょうか。
そらる そうですね。今まで商業や同人に限らずアルバムを出してきて、「これは完璧だ」って思えたことは一度もなかったんです。もっとうまく歌いたい、もっとこうしたいっていう思いは、いつもついて回ってくる。ただ、時間を置いて聴いてみると、いい部分もたくさんあるなって感じることも多くて、少しずついいものにはなっていると思います。それに、自分に満足してしまったらそこでおしまいかな、とも思うので。この思いのまま作り続けていきたいですね。
これまでにニコニコ動画に投稿してきた「歌ってみた」動画は200曲以上、総再生数は7000万回超と、活動開始から6年が経つ今もなお、数多くのファンから人気を集めている。その一方、2013年に放送されたTVアニメ『ダンガンロンパ』のエンディングテーマ「絶望性:ヒーロー治療薬」を歌うなど、近年はメジャーシーンでの活躍もめざましい。
4月22日(水)にリリースされた2枚目のソロアルバム『夕溜まりのしおり』では、初の全曲書き下ろし楽曲での収録に挑戦。ニコニコ動画で有名なクリエイター陣による楽曲や、そらるさん本人が手がけた楽曲も収録された、多彩なアルバムに仕上がっている。さらに、アルバムに収録された全15曲がJOYSOUNDからカラオケ配信されることが、発売日前の段階で既に決定している。
そんな彼が、長年のキャリアの中で感じた「歌ってみた」の魅力、そして今回リリースされたアルバムや「歌ってみた」文化に対する思いを、赤裸々に語ってくれた。
(取材・文/鎌田篤・米村智水)
ニコ動との出会いとその魅力
──そらるさんは、2008年頃から歌い手活動をニコニコ動画でされていらっしゃいますが、ニコ動に「歌ってみた」動画を投稿したきっかけというのは?そらる 実は、子供のころはほとんど意識して音楽を聴いたことがなかったんです。高校生の頃から当時流行っていた音楽をいろいろ聴くようになって、遊びでバンドを組んだり、弾き語りをしたりしていました。主にBUMP OF CHICKENとかThe Pillowsとか、ロキノン系アーティストのカバーが多かったですね。
その後、大学でもサークルでバンド活動を続けていたんですが、そこではじめてパソコンを持って、ニコ動や「歌ってみた」の存在を知りました。それまで音楽って、多くのプロたちが関わってつくるものだと思っていたのが、そうやって個人でもつくって発表できるものなんだということを知って、自分も同じことをしてみたいなと思ったのがきっかけでした。
【ニコニコ動画】モザイクロール 歌ってみた【そらる】
──ニコ動といえば、当時はボカロや同人音楽といったジャンルの動画の人気が高かったと思うのですが、そういったものにも興味はあったのでしょうか?
そらる 正直、はじめは「なんで素人の歌を好き好んで聴かなきゃいけないんだ?」と思っていましたね(笑)。お金を出せば、CDでもっと質のいい音楽が聴けるじゃんって。ただ、いざ聴いてみるとすごく魅力的なものが溢れていて、さらにそれが個人でつくられたもので、タダで聴けるということが当たり前の環境にはすごく驚きました。
今の同人音楽でも、プロや商業作品と比べたら、遜色がなくなってきているとはいえ、クオリティ自体は劣るもののほうが多いとは思いますが、個人だけでつくられているからこそ出せる曲だったり表現だったり、プロではかけられない長い制作時間だったり……そういった魅力は、やっぱりここにしかないものだなと感じました。
このアルバムは自分の歴史の「しおり」
──今回のアルバム『夕溜まりのしおり』では、さまざまなクリエイターさんとコラボされていますよね。ひとりの作曲者さんだけではなく、いろいろな方とコラボを行った理由とは?そらる 個人で出している他の歌い手さんとの合作CDでは、ひとりの作曲者さんと一緒にやる形が多かったんですが、今回は自分のソロアルバムということもあって、色々な人と一緒にやりたいと思っていました。自分が好きなクリエイターさんに書き下ろしをしてほしいって考えていたら、自然とこのアルバムの形になっていきましたね。
基本的には今まで自分が歌わせてもらった曲をつくっている方だったり、一緒に同人でCDや楽曲制作したことがある方が大半だったので、クリエイターがバラバラでも、ギャップはあまりなかったですね。その人らしい曲を書いてくださいってどの人たちにも頼んでいたんですが、どれもすごくいい曲ばかりで。曲によって歌うのが大変だったこともありましたが、そこまで歌えないっていうものはなかったかなと。というのも、作曲者さんが自分をイメージして書いてくださったのと、これまでその人たちの曲をたくさん歌わせていただいてきたからだと思います。
ユラユラ / そらる×ナノウ
──アルバムのジャケットを手がけられた岬さんにも、ご自身でお声がけされたのですか?
そらる そうですね。岬さんのことは、すごく魅力的な絵を描く人だなと思っていて、もともとファンだったんです。僕の友だちが岬さんの友だちで、その友だちが岬さんに僕について話をしていてくれて、それでジャケット制作を受けていただいたんです。このジャケットが店頭にズラッと並ぶと思うと楽しみですね。ハッとするようなものになっているなと思うので。
──今回のアルバムのコンセプトは?
そらる 活動開始から6、7年、「歌ってみた」動画を投稿し続けてきましたが、そんな自分の歴史みたいなものを本にした時にしおりになるような──読み返すときにその時のことを思い出せるような──そんなアルバムにしたいと考えていました。自分で書き下ろした楽曲「夕溜まりのしおり」や、他の方に書き下ろしてもらった楽曲も、そういう内容になったかなと。今まで自分がやってきたことを詰め込んで、これから先につながっていくようなものができたらという思いを込めてつくりました。
──そらるさんにとって、今までの活動の指標といった位置づけでしょうか。
そらる そうですね。今まで商業や同人に限らずアルバムを出してきて、「これは完璧だ」って思えたことは一度もなかったんです。もっとうまく歌いたい、もっとこうしたいっていう思いは、いつもついて回ってくる。ただ、時間を置いて聴いてみると、いい部分もたくさんあるなって感じることも多くて、少しずついいものにはなっていると思います。それに、自分に満足してしまったらそこでおしまいかな、とも思うので。この思いのまま作り続けていきたいですね。
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そらる
歌い手
2008年にニコニコ動画で「歌ってみた」デビューを果たす。2010年に投稿した『モザイクロール』は、現在までに170万再生を突破するほどの注目を集めている。
他の歌い手とのコラボレーションによる同人CDを多数リリースするかたわら、2012年には、EXIT TUNESより初のソロアルバム『そらあい』を発売。2013年には、スズム feat.そらるとしてTVアニメ『ダンガンロンパ』のエンディングテーマ「絶望性:ヒーロー治療薬」の歌を担当した。
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