ゲーム考古学者/メディアコンテンツ研究家の黒川文雄さんによる書籍『続編のないゲーム——クリエイターたちの美学、消えたプロジェクトの真相』が、9月2日(水)にさくら舎から刊行される。
『たけしの挑戦状』『ラブプラス』『甲虫王者ムシキング』など、日本のゲーム史に名を残した作品や、その開発に携わったクリエイターたちを取り上げるノンフィクション。
当時の企画者、開発者、プログラマーなど関係者への直接取材を通じて、クリエイターの美学や矜持と、それに対峙する企業の論理や組織の壁を紐解いていく。
『たけしの挑戦状』『ラブプラス』などを当事者の証言から紐解く
『続編のないゲーム』は全10章で構成。
第1章では、1986年にタイトーから発売された異色作『たけしの挑戦状』を、開発に携わった福津浩さんと森永英一郎さんの証言から振り返る。
続く章では、『ラブプラス』のプロデューサーとして知られる元コナミデジタルエンタテインメントの内田明理さん、シグマの高倉章子さん、『甲虫王者ムシキング』『オシャレ魔女 ラブ and ベリー』に携わった元セガの植村比呂志さん、『超兄貴』の関係者らが登場する。
後半では個々のタイトルからさらに視野を広げ、セガの技術開発を支えた中川力也さん、『DEAD OR ALIVE』などで知られるゲームクリエイター・板垣伴信さん、日本ファルコム創業者の加藤正幸さん、ゲームクリエイターの飯野賢治さん、そして歴代セガハードの開発を支えた佐藤秀樹さんらを取り上げる。
故人となった人物については、同僚や家族、後進のクリエイターなどへの取材を通じて、その足跡を辿っているようだ。
なお、タイトルに冠された「続編のないゲーム」には、『ラブプラス』『超兄貴』のように実際には後続作品が存在するシリーズも含まれている。
収録内容を見る限り、本書が追いかける「続編」とは単なるナンバリング作品の有無だけではない、より広い意味にあるようだ。
実在した幻の『たけしの挑戦状2』
黒川文雄さんは2022年、4Gamerの連載「ビデオゲームの語り部たち」で、同作の開発スタッフ・福津浩さんを取材(外部リンク)。
福津浩さんによれば、初代Xboxの日本向けローンチタイトルとして『たけしの挑戦状2』を制作する構想が持ち上がり、Microsoftからオファーを受けてビートたけしさんやタイトーを交えた打ち合わせも行われていたという。
Microsoftが開発資金を負担する意向を示すところまで話は進んだものの、タイトー側の社内事情によってプロジェクトが一度白紙化。その後、ビートたけしさんが制作しない意向を示し、企画は立ち消えになったと語られている。
今回の書籍でも第1章に福津浩さんが登場。「沈黙のダンジョンと伝説の咆哮 四十年目の邂逅」と題し、『たけしの挑戦状』を巡る記憶を掘り起こしている。
ゲーム史の「記録・記憶」を残してきた黒川文雄
著者の黒川文雄さんは、アポロン音楽工業、ギャガ、セガ、デジキューブなどを経て、ブシロード、コナミデジタルエンタテインメント、NHN Japan(現LINE、NHN PlayArt)などでゲームビジネスに従事。

黒川文雄さん
現在はゲーム考古学者/メディアコンテンツ研究家/ジャーナリストとして取材活動を行うほか、エンターテインメント系勉強会「黒川塾」を主宰している。
4Gamerでは、2017年から長期連載「ビデオゲームの語り部たち」を執筆。同連載では、ヒットタイトルの陰の立役者や著名クリエイター、ゲームセンターやゲームショップなど、当事者への取材を続けてきた。
2025年には、セガの大型体感ゲームを生んだ開発現場に迫る『セガ 体感ゲームの時代 1985-1990』や、ソニーの犬型ロボット「AIBO」の開発史を辿る『ぼくらがAIBOを作った』を刊行している。
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