ポニーキャニオンの新たな音楽レーベル「HAMMER COLLECTIVE(ハンマーコレクティブ)」に所属するバーチャルシンガー・導凰(タオ)さんと朔雀(サク)さんが、この7月にデビュー1周年を迎えた。
この1年間の集大成として、2人はそれぞれ1stアルバムを発表。導凰さんのアルバム『COUNTER WAVE』は7月29日(水)に、朔雀さんのアルバム『REVERSE WAVE』は8月26日(水)にリリースされる。
アルバムには2人がリリースしてきた5曲に加え、それぞれ5曲の新曲を収録。プロデューサー陣には水槽さん、Daokoさん、Pa's Lam System、ケンモチヒデフミさん、KOTONOHOUSEさんといったシンガー/トラックメイカー/ボカロPが名を連ねている。
今回はアルバムのリリースを記念し、導凰さんと朔雀に加え、既存曲と新曲の双方に携わった水槽さんとDaokoさんを交えた4人による座談会を実施。
アルバム制作の裏話や楽曲に込めた想い、この一年間を振り返っての話を語ってもらった。
目次
- 1. 何者でもなかった2人が、この1年間で得たものを詰め込んだアルバム
- 2. 水槽とDaokoにとっても挑戦だった「HAMMER COLLECTIVE」との制作
- 3. 日常を掘り下げるDaokoと価値観を問う水槽──対照的なヒアリング
- 4. 導凰がアルバム『COUNTER WAVE』に込めた、自分を拡げるための試行錯誤
- 5. 自分の名刺が欲しい──朔雀がアルバム『REVERSE WAVE』に込めた目標
- 6. 対になった2つのアルバム、互いの曲をどう思った?
- 7. 水槽とDaokoがお互いの曲に感じた「らしさ」
- 8. 導凰と朔雀が振り返る1年、思い出すのは楽しさと充実
- 9. 完全なオリジナルは存在しない──水槽とDaokoが贈る“自分らしさ”を追求するヒント
取材/文:森山ド・ロ 編集:小林優介(KAI-YOU)
何者でもなかった2人が、この1年間で得たものを詰め込んだアルバム
── 今回のアルバムは、どのようなコンセプトなのでしょうか?
導凰 私たちの音楽をまず知っていただきたい、私たちの名刺になるようなアルバムをつくりたいという思いから、制作をはじめました。
導凰さん
導凰 私のアルバム『COUNTER WAVE』は、「逆流の電波」「反逆」「反撃」「対抗」といった、既存の流れや常識に対して逆方向のエネルギーを放つことをテーマに掲げています。
何者でもなかった私が、HAMMER COLLECTIVE、そして朔雀ちゃんと出会い、今に至るまでを描いたアルバムになっています。
朔雀 私のアルバム『REVERSE WAVE』も「逆相の世界」「リワインド」「時間逆行」といったキーワードを持ちつつ、導凰ちゃんのアルバムと対になる作品になっています。
二人のアルバムを通して、一つのストーリーとして完結するような形で制作しています。
朔雀さん
朔雀 実は、両方のアルバムがリンクしていて。導凰ちゃんの10曲目が私の1曲目に、私の10曲目は導凰ちゃんの1曲目に繋がるようになってるんです。
導凰 なので、両方のアルバムをずっとループして聴いてほしいです!
水槽とDaokoにとっても挑戦だった「HAMMER COLLECTIVE」との制作
── アルバムが完成した時は、どんなお気持ちでしたか?
導凰 最初はあまり実感がなかったです。「本当にできたんだ」という感覚がなくて。
収録曲のファイナルミックスが仕上がって送られてくる中、先日はじめてマスタリングに立ち会わせてもらって。世に放たれる完成版のマスターをスタジオで聴かせていただいた時は本当に感動しました。あの時にようやく実感が湧きましたね。
── 達成感があったということですね。
導凰 そうですね! それと、私自身で作詞した「Never Look Back」という曲のみ、何パターンかマスタリングしてもらった中からどの音源を完成版とするかを選ばせていただきまして。それもすごく楽しかったです。
聴いた瞬間に「絶対にこっちだ」と思えるものが、自分の中にちゃんとあったことが嬉しかったですね。
朔雀 (収録日の時点では)私の方はまだマスタリング前なので、本当の意味では完成していなくて。今は「歌い終わった」という段階ですね。
前からある5曲も、新しい5曲も、自分でも何回も聴いてしまうくらい好きな曲ばかりなので、すごく嬉しいです。
── 水槽さんとDaokoさんは、導凰さんと朔雀さんのデビュー時から楽曲を提供していますよね。最初にオファーを受けたときは、どのように感じていましたか?
水槽 そうですね。私は導凰さんの3rdシングル「不可侵」の時から、KOTONOHOUSEと一緒に提供をさせてもらってまして。
水槽さん
水槽 トラックメーカーと一緒に楽曲を提供をするのははじめてだったので。自分にとっても新しい刺激になると思いましたし、新しいことに挑戦したいという気持ちで「不可侵」をお引き受けしました。
導凰 そうだったんですか! トラックのこととかも色々と相談に乗ってもらったりして、制作もスムーズに進んですごく頼もしかったので、慣れてるのかと思ってました。
水槽 スピードでいうと、私はトラックをつくるのが一番時間かかるので、基本的にはトラックメーカーと組んだほうが圧倒的に完成までが早いですね。
「ここをカットして、こうしてほしい」と伝えると、KOTONOHOUSEがすぐ対応してくださるので、とても快適でしたし、自由にやらせてもらえたという感覚がありました。
Daoko 私も朔雀さんのデビュー曲「サイレント・プリズム」から関わらせていただいていて。
Daokoさん
Daoko もともとVTuberさんの世界に憧れがあって、ちょうど楽曲提供をはじめようと思っていたタイミングでお声がけいただいたので、とてもやる気に満ちていました。
ただ最初は、いただいた資料の情報だけをもとにつくっていくのが難しくて。そこで朔雀さんと実際にミーティングをさせていただき、お人柄や「どういう活動をしていきたいのか」といったことをヒアリングしながら、「サイレント・プリズム」の核となる部分をつくっていきました。
朔雀 「サイレント・プリズム」は私という存在を形づくってくれた曲で。だから私にとってDaokoさんは神様なんです。
Daoko えぇ!
朔雀 本当にはじめてお話しした時は緊張しまくってたんですが、すごく気さくに話してくださってうれしかったです! またお話しさせてください!
Daoko もう、いつでも呼んでください!
日常を掘り下げるDaokoと価値観を問う水槽──対照的なヒアリング
── Daokoさんと水槽さんは、ヒアリングや制作を通して導凰さんと朔雀さんにどんな印象を持たれましたか?
Daoko 私は楽曲を通しての関わりが多いので、お人柄について語ってもいいのかはわからないんですけど。朔雀さんはとても優しくて応援したくなる方だなという印象です。
導凰さんとは……実はちゃんとお会いしたのは今日がはじめてなんですよね。
導凰 そうなんですよ……! まだ対面でお会いしたことがないので。
Daoko 全然いつでも会いましょう! 水槽さんはお会いしてるんですよね?
水槽 私はこれまで導凰さんと3曲制作していて、どちらも事前にヒアリングをさせてもらいました。導凰さんはしっかりと自分の考えを持っていて、意志が強い方だと感じましたね。
私は「どんな曲にしてほしいですか?」と具体的に聞くというより、その方の世界観や価値観、物事をどのように見ているのかを聞いて、そこから断片を拾いながら曲を書くことが多いです。
「不可侵」では、彼女の中にすごく強い信念があることをヒアリングで感じたので、それを曲の中心に置いてつくりましたね。
── 導凰さんの信念とはどのようなものだったのでしょうか?
水槽 これを説明してしまうのは少し野暮かもしれませんが、「不可侵」という言葉自体がその信念を表していると思います。自分と他者との境界をしっかり引いていて、許せないことは許せないという考えを、最初のヒアリングで聞きました。
Daoko 勉強になる……! 今思うと、私はあまりうまく質問できていなかったかもしれないですね。信念のような深い部分までは聞き出せていなくて、「普段、家では何をしていますか?」とか「好きなアニメは何ですか?」といったことを聞いていた気がします(笑)。
朔雀 たしかに、そんな話をした気がします(笑)。
Daoko 水槽さんのお話を聞いて、そういう部分を聞けばよかったんだって思いました。
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