QuizKnock伊沢拓司&山本祥彰インタビュー クイズ王も羨む「謎解きブーム」の凄さ

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タナカハルカ

山本祥彰&伊沢拓司から見た謎解き人気と考察ブーム

──謎解きやリアル脱出ゲームといったものが、一過性のブームではなく、定番コンテンツとして定着した現状をどう見ていますか?

山本祥彰 ここ数年で謎解き自体の知名度も市場規模も上がりましたし、制作する団体も増えてきていて、盛り上がりを感じています。

僕は謎解きを解くことが好きなので、解き手として謎解きが多様化していくこと自体が嬉しいですね。

色んな層に向けた謎解きを作る団体があって、それぞれに違った良さがあって。謎解きを考える人や謎解きに携わる人が増えるほど、色んな楽しみ方ができるようになる

伊沢拓司 クイズ史を追っている身としては、クイズより10年くらい早く、テレビなど大手メディア主導でなくても人が集まる形になったことが、一番すごいと思っています。

伊沢拓司さんの著書『クイズ思考の解体』/画像はAmazonより

伊沢拓司 クイズというのは、いまだにテレビ主導な部分もあるんです。ここ5年は、もし仮にテレビがなくなったとしても、クイズブームは終わらないだろうな、という感覚はあるんですが。

一方で、謎解きは非常に早い段階で、メディアに依存せず、カルチャーがつくられてきました。2007年には、独立したジャンルとしてイベントを確立していた(※編注:SCRAPがリアル脱出ゲーム「謎解きの宴 脱出とパズルとカレーとビール」を開催)。

“何かを解く”という文化においては、メディアから独立したのは謎解きがはじめてなんじゃないかなと思います。あ、でも詰将棋とかはあるかも。

その先見性だったりとか、単品のひらめき──いわゆる小謎と呼ばれるものに対して物語性を付与したり、体験価値を見出したりする設計が本当すごいなと見ています。

伊沢拓司 また、謎解き文化の素敵なところとして、“体験の共有”に対して、クイズ文化以上に向かい合ってきたという感覚があるんですよね。

みんなで同じ謎を解けるし、参加人数の制限も緩い。クイズはどこまでも個人競技な部分があって、大人数巻き込むとなると必要な工夫や手間がちょっと多いんです。

謎解きは、その“体験の共有”に対してより向き合ってきたからこそ、この流行り方をしているんじゃないかなと思います。「人を誘って行く休日の趣味」感が出てきている。

クイズ界も最近はクイズバーができたり、皆で楽しめる形式のクイズも増えてきたりと、遅ればせながら多様化が進んできてはいますが、そういったところは「凄いな」「見習わなきゃな」と常に思っています。

──昨今、そういった謎解きブームを受けてか、事件や謎を受け手に提示することで考察を誘発させ、SNSなどでの話題性を獲得するコンテンツも増えています。そういった状況についてはどうでしょうか?

山本祥彰 クイズもそうなんですが、謎解きの魅力のひとつに、「考えたくなる」というところはあると思っています。解けない問題だけど、なぜか解けそうに思える

受け手を惹きつけるために、謎めいたものに対して「ちょっと考えれば分かるんじゃないか」という感覚をうまく利用している人は結構いるな、という印象です。ホラーとか事件性のある題材とかに、相性がいいのもわかりますね。

伊沢拓司 そうですね、考察を誘発するコンテンツは人気ですよね。QuizKnockが提供しているコンテンツは考察の余地が全くないですからね(笑)。

やっぱりSNSの普及で、みんなで議論ができるようになったからこその爆発的ヒットですよね。

しかも、明らかに情報の伝達速度が上がったことによって「これかも?」という考察が見つけやすくなって、余計に「もやもやしすぎない」し、なんなら「正解者になることで称賛される」しで、多様な参加者を巻き込んでいけたのかなと思います。

伊沢拓司 一方、考察系じゃないコンテンツを考察しちゃうケースは、もしかしたら送り手たちは嫌かもしれないね、とエンタメを見ながら思ってはいますね。

全くそういう考察を誘発させることを意図したコンテンツじゃないのに、考えすぎちゃって勝手にがっかりしちゃうとか、リアルな人間の裏の気持ちを汲み取りすぎてしまうとか。考察が行き過ぎて押し付けになってしまっていることも、SNSを見てたりすると結構あったりするので。

対象との距離感はすごく大事にして、あくまで考察系の庭の中で考察を楽しんでいただく、というのが良きエンタメへの態度なのかなというのは思いますね。

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