優勝候補に最下位通過の選手が勝利──ジャイアント・キリングが起きた決勝戦
決勝戦は全3ラウンド。1stラウンドは決勝進出者全10人が一斉に早押しクイズに挑戦。そこを勝ち抜けた6名が、2ndラウンドとして1on1の早押しクイズで対決した。
その中では、準決勝・決勝1stラウンドで圧倒的な成績を叩き出し、優勝候補と目されていた北海道・札幌南高校3年の佐々木瑛太さんを、最下位通過の群馬・高崎高校3年の高橋凌駕さんが倒すというジャイアント・キリングも発生。
見守っていた観客たちも大いに沸き立った。
ジャイアント・キリングを起こした高橋凌駕さん
そして、最終ラウンドでは、前述した高橋凌駕さん、神奈川・浅野高校2年の塘岡直樹さん、東京・開成高校1年の有働英永さんの3名による、20ポイントサバイバルクイズが行われた。
各自20ポイントのライフを持ち、正解で相手のライフを1減らし、誤答で2問休みとなる。ライフが尽きれば敗退、最後に残った1人が優勝者となるルールだ。
今回の「WHAT」では、あまりにも参加者の実力が拮抗し、ハイレベルな戦いが続いた結果、当初の予定から進行が大幅に押してしまう事態に。そこで、ある問題数に達した時点でクイズが終了し、その時点で最もライフを残した選手が優勝、同点ならサドンデスとなる特別ルールが急遽導入された。
長丁場により集中力を維持するのも中々難しくなってくる中、散っていったライバルたちの想いも背負い、選手たちは果敢に早押しに挑む。
決勝戦のファイナル・ラウンドに駒を進めた塘岡直樹さん
やはりクイズ王・伊沢拓司さんを生んだ名門は強し──塘岡直樹さんや高橋凌駕さんが誤答でライフを失う一方、開成高校出身の有働英永さんは、順調に正解を積み重ねリードを広げる。
対する2人も追い上げようと、必死に正解を叩き出すも、ついにその差は埋まらず。
限定問題数に達したことがアナウンスされ、その時点で最もライフポイントが残っていた有働英永さんが見事優勝を飾った。
優勝トロフィーを有働英永さんに授与する伊沢拓司さん
伊沢拓司が語る中高生クイズ界の成熟とWHATの価値
大会終了後、大会長をつとめた伊沢拓司さん、準優勝の塘岡直樹さん、3位の高橋凌駕さんがメディアの囲み取材に応じた。
伊沢拓司さんは、今大会について「面白かったという言葉だけで説明が足りるほど素晴らしい大会だった」と振り返り、参加者や観客、スタッフに感謝を述べた。
特に“激アツ”だったポイントについては、参加した中高生たちの「技術力の圧倒的な向上」をあげた。
「参加者たちの知識量のみならず、各々の戦い方や駆け引き、諦めない姿勢といった、知識だけじゃないクイズの魅力が自然に伝わってきた」と語り、中高生クイズ界の成熟を実感したという。
競技クイズそのもののポテンシャルを信じ、あえて進行をつとめたQuizKnockメンバーによる解説トークは最低限にとどめたと語る伊沢拓司さん
「高校生オープン」や「若獅子杯」など、他にも高校生向けのクイズ大会も存在する中、そういった真剣勝負の場をQuizKnockが主催する意図について聞かれると、伊沢拓司さんは「WHATが今のクイズ界で価値を持つとしたら、“生の競技クイズ”そのままであるかつ、発信力があるところだと思うんですよね」と切り出した。
例えば、日本テレビが主催・運営する「高校生クイズ」などは、バラエティ番組という前提もあり、中高生たちが普段取り組んでいる競技クイズと趣を異にしている。
対して、競技クイズ界の有志が主催・運営する「高校生オープン」や「若獅子杯」などの場合は、その魅力を対外的に発信するためのメディア対応を行うことが現実的に難しい。
だからこそ、QuizKnockが主催するWHATには「競技クイズの間口を広げる活動」と「真剣勝負」を両立させ、その“生の魅力”を発信できる強みがある──伊沢拓司さんはそう分析している。
左から囲み取材に応じた高橋凌駕さん/伊沢拓司さん/塘岡直樹さん
WHATの発信力については、参加者たちからも魅力的に写っている模様で、3位となった高橋凌駕さんは「親に『クイズで活躍しているところを見たい』って言ってもらった」「応援してくれた友だちや顧問の先生に、自分の活躍している姿を見せたい」といった理由で参加を決めたことを明らかにした。
2位の塘岡直樹さんも、競技クイズ大会がYouTubeで配信されているという独自性を強調。そして「来年も高校3年生として参加したい」と意欲を見せた。
※記事初出時、一部記述に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

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