水樹奈々×堀江晶太対談 “人間の限界”に挑むアニソン界の歌姫とボカロPが出会う時

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オグマフミヤ

25周年の水樹奈々を支える不完全というモチベーション

──今なお挑戦を続ける水樹さんのバイタリティに驚嘆するばかりですが、率直に歌手活動25周年を迎えた現在の心境はいかがでしょうか?

水樹奈々 ようやく自分の中にある理想と現実が合致してきたような感覚があります。すごく生真面目な人間なので、「こうあらなくてはいけない」という枠を強く意識しすぎてしまうところがあり、上手くいかない時や自分の実力が追い付かない時、そのギャップに悩まされることが多くあったのですが、30代後半くらいから柔軟に表現ができるようになってきたと思っていたんです。

でも、それも今の私から見るとまだ枠の中に納まっていたことに気づいて、まだやれていないことがたくさんあるんだなと思うようになりました。

もちろん常に全力を尽くしてきましたが、失敗できないと思えばこそ挑戦しきれていない部分もある気がして。

表現の世界には絶対的な答えはないので、だからこそ、今後はもっと恐れずにいろんなことに挑戦していきたいという気持ちが益々高まりました。

歌手として「次の段階にいけたような感覚がある」と話す水樹奈々さん

──モチベーションはさらに高まっていると。

水樹奈々 そうですね! 先輩方が「40代からが楽しいのよ! 50代なんかもっと楽しいんだから!」とおっしゃっていた意味がやっとわかってきた気がします。本当の意味で楽しみながら取り組めるようになってきたんじゃないかなとも思います。

20代の頃より今の方が体力はありますし、音域だって今の方が広いんです。気持ちの面でも体の面でもいろんなものが吹っ切れて、次の段階にいけたような感覚があるので、ここからもっと楽しみながら冒険し続けたいです。

──まさに「拍動」の歌詞とリンクするような心持ちなんですね。

堀江晶太 どれだけ時間と労力とアイデアを注ぎ込んでも、「もっとできることはあったな」って後からいくらでも思いますし、だからこそ飽きることなく続けていけるんだと思います。

私の場合、音楽そのものや業界に対して自分を救ってくれたという恩義があるので、尽くしていきたい思いもあります。その上で、すごく飽きっぽい私がずっと音楽を続けられているのは、どこまでやってもまだ余白があるなって思える不完全性があるからなんでしょうね。

「人間」水樹奈々

──今回の対談を通じて、お二方のアーティストとして共鳴する部分がたくさんあったと思いますが、いかがでしょうか?

堀江晶太 制作に入る前は、水樹さんは長く第一線を走り続けているアーティストなので、我々とは別の次元で生きているというか、もう及びつかないような目線でいるんじゃないかと思っていたところも少しあって……。

水樹奈々 そんなことないですよ!(笑)。

堀江晶太 今回しっかりお話させていただいて、我々と同じようなハングリー精神や、いまだに満たされない思いを持ってやってらっしゃることがわかって嬉しかったです。

制作中もやりとりをする中で、「もしかしたらそうなんじゃないか?」と思っていたところがあったので、その答え合わせができたような感覚でした。

水樹奈々 私もレコーディングで初めてお会いするまでは、「すごくスパルタな方かも……」と、とても緊張していましたが、優しく迎えていただきホッとしました。

短い会話の中でも曲づくりにストイックに向き合っている方だというのがすごく伝わってきました。実は、レコーディングが終わった後に「水樹さんはちゃんと練習してくる人なんですね」って言われたんですよ(笑)。

堀江晶太 全然練習してこないけど本番は完璧──みたいなやり方で納得させる凄味があってもおかしくないと思っていたんです(笑)。

実際は、じっくり練習して臨んでいただいたので「あ、練習する人なんだ」って素直に思いました。楽曲に対してしっかり向き合っていただけましたし、なんというかちゃんと「人間」だったなと。

水樹奈々 私も普通の人間です(笑)。なぜか強い水樹奈々像が一人歩きしている……(笑)。

歌手としての私は、あくまでも楽曲を良いものにするための一つのツールなんです。どうすれば曲がもっと輝くかを常に考えながら音楽と向き合っています。

今日、堀江さんと改めてお話したことで通じる部分がたくさんあると感じたのは私も同じです。

音楽をあらゆる角度から追求しながらも遊び心を忘れないという姿勢が印象的でした。その上でジャンルの違う私たちの音楽のことを想ってくださっていて、お互いにいつか接点が持てたらと考えてくださっていたことがとても嬉しかったです。

だからこそ、今回同じ気持ちで、愛を持ってこの作品をつくり上げることができたんだと改めて思いました。

Gigaコメント「拍動」の謎言語と呼吸音の真相

Gigaさん

──水樹奈々さんの楽曲を、堀江晶太さんと制作した上での感想を教えてください。

Giga 最近はたくさんコライトをする機会があるのですが、バンドサウンドが得意な方と作ることがなかったのでとてもわくわくしていました。普段使うことのない生楽器をどう使おうかなと悩んでいる時間がとても楽しかったです。水樹さんのボーカルスタイルも相まって、今までになかった新しい音になったと思います。

──「拍動」の制作でこだわったポイントを教えてください。

Giga エレクトロなパートとバンドサウンドの割合が半分くらいになるように編曲を心がけました。サビで言うと、前半8小節はギターなどを抑えめにエレクトロ中心のアレンジで、後半はギターやエレキベースを全面に出したりしてバランスを整えました。

──インタビューで触れられている「言語にもなってないようだけどリズム的にハマっていた言葉」とはどういったものだったのでしょうか?

Giga メロディをつくるときはいつも歌を録音しながら考えるのですが、ラララとかではなく謎言語が咄嗟に出てきてしまって。その中でもちゃんと韻をふんだりしていて、それをしょうちゃん(堀江くん)が汲み取って作詞してくれたので、とっても気持ちのいい歌詞になっていると思います。

──同じくインタビューで触れられている「息とか心臓の鼓動のような音」を入れた意図を教えてください。

Giga あまり覚えていないんですけど、アウトロの仮歌を入れるときに息を吐き吸いした音がいい感じだったので、そのまま採用したのだと思います(笑)。それにインスピレーションをうけて鼓動も入れたのかなと。

TVアニメ『#コンパス2.0』をもっと知る!

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作品情報

TVアニメ『#コンパス2.0』

放送情報
2025年4月7日(月)よりテレ東6局ネット、BS日テレ、AT-Xにて放送スタート
原作
#コンパス 戦闘摂理解析システム(NHN PlayArt × dwango)
アニメーション制作
Lay-duce
監督
難波日登志
シリーズ構成
福島直浩
オープニング主題歌
「拍動」
歌唱:水樹奈々
作詞:堀江晶太
作編曲:Giga×堀江晶太(Kemu)
エンディング主題歌
「ハートエイク」
歌唱:内田雄馬
作詞・作編曲:バルーン
劇伴
作曲:八王子P・YASUHIRO(康寛)・ゆうゆ・無力P・雪乃イト・にっけい

【『#コンパス2.0』キャスト】
13(サーティーン):小野大輔
塵:内田雄馬
零夜:斉藤壮馬
森田:土岐隼一
ジャンヌ:雨宮天
アオジル:石上静香
Voidoll/Bugdoll:丹下桜
十文字アタリ:山谷祥生
ジャスティス:間宮康弘
軍曹:小林ゆう
リリカ:青木志貴
双挽乃保:近藤玲奈
桜華忠臣:柿原徹也
マルコス‘55:下野紘
ルチアーノ:小山力也
深川まとい:井上麻里奈
グスタフ:山路和弘
テスラ:村瀬歩
ヴィオレッタ:田中敦子
コクリコ:天野心愛
マリア:嶋村侑
アダム:松岡禎丞
メグメグ:佐倉綾音
イスタカ:神奈延年
輝龍院きらら:喜多村英梨
ポロロッチョ:福山潤
ソーン:天﨑滉平
デルミン:和多田美咲
トマス:銀河万丈
ルルカ:市ノ瀬加那
ピエール77世:杉田智和
狐ヶ咲甘色:花澤香菜
システムボイス: A.I.VOICE 結月ゆかり

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