RIZIN柏木信吾インタビュー “物語”を紡ぐ格闘技とマッチメイクの裏側

RIZINをブランドに、格闘技を文化に「格闘家が胸を張れる環境に」

──それでは今後のお話もお聞きしたいです。朝倉未来選手や朝倉海選手といったスター選手が離れる中で、今後どのようにRIZINを盛り上げていこうと考えているんでしょうか?

柏木信吾 2人に関して言えば、本当に自ら進んだ道なので、我々としては卒業のような位置付けで気持ちよく送り出しています。

彼らが人生の次のチャプターを進む中で、「RIZINがあるからこそ今の自分がある」と思ってもらえればいいと思います。「じゃあスターがいなくなってどうするの?」と言われた時には、「つくればいい」というのが正直なところです。

2024年6月にUFC参戦を発表した朝倉海さん

──なるほど。

柏木信吾 あと我々が目指すところは、「誰々が出るからチケットを買う」よりも、「やっぱりRIZINって、誰が出ても、いつ行っても、面白いよね」って思えるようなイベントになることが大事だと思います。

たとえば、フジロックフェスティバルは開催が発表された時点で、誰が出るかわからないにもかかわらず、チケットを買うファンがたくさんいらっしゃるじゃないですか。ブランドが確立しているからこそだと思うんですけど、RIZINもそこを目指したい。

そういう意味で、大晦日大会は少しずつそういう存在になりつつある印象です。「やっぱり大晦日は格闘技(RIZIN)だよね」と、とりあえず大晦日のチケットを買っておくというファンの方々が増えてきていると思います。

──文化とブランド力。

柏木信吾 そうです。そしてもう一つ、格闘技や格闘家という存在が、しっかりと社会で市民権を得られるような状況をつくっていきたい。それは我々運営側の仕事なんじゃないかと思ったりしますね。

たとえば海外では、UFC選手はすごく尊敬される存在です。日本ではまだまだ「格闘家です」「UFC選手です」と言ったところで、ちょっと引かれてしまったりポカンとされてしまったり。

格闘家が胸を張って「自分は格闘家をやっています」と言えるような環境をつくるための努力は続けていきたいです。

「格闘家が胸を張れる環境に」と話す柏木さん

マッチメイカー注目のRIZIN選手は3人に収まりきらなかった

──ありがとうございます。KAI-YOUは格闘技やスポーツ専門メディアではなく、RIZINもYouTubeカルチャーとしての側面を入口に、よりのめり込むようになりました。最後に、格闘技をあまり知らない、もしくは見たことがない人に向けて、柏木さんから見た今のRIZINにおける重要な登場人物を3人ほど教えていただけないでしょうか?

柏木信吾 なるほど……朝倉未来選手と朝倉海選手、とは言えなくなっちゃいましたからね。どうしましょうか(笑)。

──ぜひこの選手に注目してほしい! みたいな。

柏木信吾 それで言うと、やっぱり今のRIZINは“物語”という意味でもフェザー級が熱いので、現チャンピオンである鈴木千裕選手には注目してほしいですね。

彼はだいぶ変わった男というか、清々しくて暑苦しい熱血漢。昔のスポ根ドラマや少年漫画の主人公みたいな人物で、勝っても負けても良い試合をする鈴木選手は、ぜひ注目の1人として挙げたいです。

柏木信吾 それからフライ級の現王者である堀口恭司選手。おそらくRIZINの中で、格闘家としての完成度が最も高いのは彼なんじゃないでしょうか。海外からも知られている選手ですし、堀口選手がいることで、RIZINの格闘技レベルがリスペクトされている側面はあります。

あと1人……は難しいので3人。やっぱりベルトを巻いている(※チャンピオン)には注目していただきたいので、現RIZIN女子スーパーアトム級王者の伊澤星花選手と、現バンタム級王者の井上直樹選手、あとは日本に移住して、苦労しながらRIZINドリームを体現した現ライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザ選手ですね。

──まずはやっぱりチャンピオンに注目してほしいと。

柏木信吾 RIZINのベルトを巻いている選手には、それぞれにストーリーがあって魅力があって個性がある。チャンピオンになるだけの実力はもちろん、人間的な魅力も兼ね備えた選手

まだRIZINを知らない方々には、「一番強い選手見てみようかな?」というのが、一つの入口になると思います。

©︎RIZIN FF

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