「ジャニーズの遺産」はどこへ行くのか──新会社会見で問われた、楽曲などの権利の行方

「ジャニーズの遺産」はどこへ行くのか──新会社会見で問われた、楽曲などの権利の行方
「ジャニーズの遺産」はどこへ行くのか──新会社会見で問われた、楽曲などの権利の行方

社名変更や廃業について発表した井ノ原快彦さん、東山紀之さん/KAI-YOU.net編集部撮影

ジャニーズ事務所が、故・ジャニー喜多川さんの性加害問題を巡って、2度目となる記者会見を10月2日に行った。

会見では、ジャニーズ事務所の前社長である藤島ジュリー景子さんからの手紙を、所属タレントかつ子会社の代表でもある井ノ原快彦さんが代読。その中では、「ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切無くしたいと思います」とのメッセージも綴られていた。

続いて、ジャニーズ事務所が10月17日付で社名を「SMILE-UP.(スマイルアップ)」に変更すること、およそ1ヶ月以内にタレントとエージェント契約を結ぶ新会社を設立することを発表。

ファンからの公募で決められるという社名はどうなるのか、これまでジャニーズ事務所が築いてきた財産や楽曲や映像の権利はどうなるのか、注目が集まっている。

“タレント事務所”ではなく、タレントの意思を尊重する“エージェンシー”

従来のジャニーズ事務所は社名を「SMILE-UP.」に。新会社の名前は公募で決められる。

新たに立ち上げられるのは、個人やグループと契約を行うエージェンシー。代表に、現在ジャニーズ事務所の代表をつとめる東山紀之さん、副社長に井ノ原快彦さんが就任する。

なお、藤島ジュリー景子さんは新会社に対して出資を行わず、取締役への就任もしないことが明言された。

新会社では、タレントが全てを会社に委ねるのではなく、自分で方向性を模索していくことを重視。会社側は、プロデュースやマネジメントという形で活動を最大限サポートしていくという。

現在ジャニーズ事務所に所属しているタレント及び社員は、希望すれば新会社に移籍可能。各グループが移籍するか否かについては、ファンクラブなどを通じて発表される。

同様の内容は、10月2日付けで事務所公式サイトにも掲載されている(外部リンク)。

大きな売り上げを記録する、ジャニーズ楽曲の権利はどうなる?

ジャニーズ事務所に所属するグループの楽曲は、俗に3大メジャーレーベルとも呼ばれるソニー・ミュージックエンタテインメント、ワーナーミュージック・グループ、ユニバーサル ミュージック グループや関連企業のJ Stormなど、各レコード会社からリリースされている。

それらの楽曲はオリコンランキング上位の常連。もちろん、楽曲の売り上げもそれだけ大きなものとなる。

「ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切無くしたいと思います」というメッセージと共にジャニーズ事務所の廃業が宣言された今回の会見だが、日本音楽業界の経済的なトップ集団であるジャニーズ事務所の財産や楽曲はどう扱われていくのか?

財産はどこへ? 記者たちが投げかけた疑問

ジャニーズ事務所の顧問をつとめる西村あさひ法律事務所の木目田裕弁護士

記者会見の質疑応答では、「新会社への財産の継承はどうなるのか」という質問が投げかけられた。

これに対し、会見に登壇した弁護士の木目田裕さんは「新会社はジャニーズ事務所(SMILE-UP.社)とは完全に別の会社であり、色々なものを承継はしません」「役員や従業員の皆さんが資本を保有する形で考えております」と回答。

一方で、楽曲や映像といった個別のコンテンツや知的財産権の管理については「移籍したタレントたちの活動に必要な権利は新会社に移行」「(新会社からジャニーズ事務所に収益が流れることのないよう)分断されたスキームをつくりたい」と述べた。

KAI-YOU.netの記者・都築陵佑が投げかけた「SMAPなどの既に解散しているグループや、今後独立していくグループの楽曲の扱いはどうなるのか?」という問いについても、木目田裕弁護士が回答。

「(独立・解散したグループに関する権利は、今後の対応の)各論中の各論」であり、「具体的なスキームと範囲はこれから最終的に詰めていく段階。現在は回答できる状態ではない」としつつ、「新会社はジャニーズ事務所とは全く別の企業であり、従来のジャニーズ事務所は廃業していく」という点を強調した。

「ジャニーズ」と名がつくものは無くなる

質疑応答では他にも、「グループ名や関連会社には名前に『ジャニーズ』を冠しているものも多いが、変更されるのか」という質問が投げかけられた。

これに対しては、東山紀之さんが回答。「本人たちもすごく葛藤があると思う」と前置きしたうえで、「『ジャニーズ』と名前に付くものは、全てなくなります」と明言した。

今回の会見では新会社の設立と、その会社がジャニーズ事務所とは切り離されたものになることが強調された。

故・ジャニー喜多川さんの性加害問題への調査と対応については、未だ整理されていない点も多い。

KAI-YOU.net編集部では、今回のような記者会見を含めて、引き続き、本件に注目していきたい。

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ジャニーズに関わるそれぞれが下した決断と対応

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2件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:9281)

今は状況的に仕方がない、権利的な問題が発生するのもわかるので。
一旦回収や停止をするのはやむを得ないとは思うが、近いうちに体制を整えそれぞれ販売できるようにして欲しい。
確かにジャニーズはなくなるのに、
ジャニーズから出された商品が
そのまま発売されているのは
とても宙ぶらりんにも思いますし……
1部制作に協力したとかならともかく
御社製品となるとね。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:9275)

SixTONESのように 中々デビューさせてもらえず15年にしてやっとデビュー! やっと花がさき、YouTubeに上げられた楽曲では3ヶ月で再生回数1億達成‼️ なおも数字を伸ばし続けている。
在籍はしててもジャニーズ事務所の力の入れ方はなかつた。努力してがんばって広がってきて やつと楽曲も認められるようになったのに、在籍しているからと楽曲回収 販売停止とは、どの歌い手さんにとっても命をかけてやってきた汗の結晶というもの。たくさんのファンの方が応援してきたからこそ ジャニーズも大きくなったのですよ!著作権とやらでそれを取り上げる。会社の不祥事の巻き添いで 著作権を振りかざして楽曲をうばうのはやめてください!!

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