イラストレーターとしての活動も行いながら、VTuberとして配信活動も行うマルチクリエイター・しぐれういさん。
彼女が歌う「粛聖!! 口リ神レクイエム☆」のMVが、YouTubeでの公開からわずか約18日で再生回数1000万回を達成。
今では、様々なTikTokerやYouTuberたちがMVのダンスを真似し、その動画を通してさらに楽曲が広がっていく、凄まじい状況になっている。 何か1曲バズれば最高。ただ、そのバズを生み出すことに誰もが四苦八苦する音楽シーンにおいて、一体なぜこの楽曲は、ここまでの影響力でもって多方面を動かしたのか。
この記事はその理由について、楽曲の持つ魅力を中心に紐解くものである。
目次
しぐれうい「粛聖!! 口リ神レクイエム☆」とは?
「粛聖!! 口リ神レクイエム☆」が公式にリリースされたのは、実はMV公開から1年以上も前の話。2022年5月25日にリリースされた初のソロアルバム『まだ雨はやまない』に、我々の知るそれは収録された。
カバーとオリジナル曲がおよそ半々で構成されたこのアルバムは全体として、透き通る歌声を活かしたポップテイストな楽曲がてんこ盛り。
ボーカリストとしてのしぐれういさんの魅力をギュッと詰め込んだ1枚になっているのだが、中でも特殊な側面を見せていたのが、何を隠そう「粛聖!!口リ神レクイエム☆」だった。 作詞はまろんさん、作編曲はD.wattさん(共にIOSYS)。
この楽曲でしぐれういさんは、少女のような声で喋りながら口リコンをこき下ろす、通称・口リうい(本人曰く「9歳のしぐれうい」)という、ごく稀に配信で登場するキャラクターに憑依。
“ういちゃん!ういちゃん!”と群がる口リコンに罵倒を浴びせまくる、一風変わった楽曲に落とし込んでいる。
ただ、先述の通り「粛聖!! 口リ神レクイエム☆」は、リリースしてからすぐにバズるには至らなかった。
事実、アルバム『まだ雨はやまない』のリード曲が別の楽曲であったことからも、この楽曲はあくまで「アルバム中のキュート曲のひとつ」として、ファンの間で広がるのみに留まっていた印象だ。そう、あの日が来るまでは……。
突如MV公開、TikTok経由でまさかの大バズ
時は流れ、2023年9月10日。YouTubeのチャンネル登録者数90万人を目前に控えたしぐれういさんが突如公開したのが、「粛聖!! 口リ神レクイエム☆」の公式MVだった。公開直後から加速度的にバイラルしていき、それが現在まで続いた結果、此度の1000万回再生に繋がった。おそらくしぐれういさん自身も、まさか1年以上の時を経てこの楽曲がバズるとは思ってもみなかったことだろう。
そんなこの楽曲の認知を広める契機のひとつになっているのが、短尺動画プラットフォーム・TikTokだった。900…900?万!?ありがとう(大戸惑い)
— しぐれうい🌂 (@ui_shig) September 26, 2023
ちなみにうい母から「何もかもが良いMVね〜!」と連絡がきました
親に見られています
【オリジナル楽曲】粛聖!! ロリ神レクイエム☆ / しぐれうい(9さい) https://t.co/swUx1KaYV7 @YouTubeより pic.twitter.com/EDFr3VFs95
MV上のクルクル動くダンスを完コピし、いわゆる「踊ってみた」としてのオリジナリティを出した動画は中毒性が高く、(レコメンドのアルゴリズム上重要とされている要素のひとつである)視聴完了率的にもうってつけ。
以降、YouTubeショートやX(旧Twitter)でも次々と投稿&拡散されはじめ、いつしか「粛聖!! 口リ神レクイエム☆」はバズ曲としての最高の道程を辿ることとなったのだ。
昨今「可愛くてごめん」や「オトナブルー」、「ビートDEトーヒ」など、ダンスを中心にバズる楽曲は数あれど、ここまでMVと歌が対になってバズる流れは、これまでにはあまりなかったようにも思う。@nin__gn05 ういちゃん!ういちゃん!かわいいよォ〜!!!!|#踊ってみた #粛聖ロリ神レクイエム #しぐれうい #毎日投稿 ♬ 粛聖!! ロリ神レクイエム☆ - しぐれうい
この記事どう思う?
関連リンク
キタガワ
島根県在住音楽ライター。酒好きの夜行性。rockin‘on外部ライター他諸々。
6件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:9463)
一応設定では9歳でしたよ。
匿名ハッコウくん(ID:9379)
なんで「口(くち)リ神レクイエム」になってるんだろう?
匿名ハッコウくん(ID:9296)
なぜかチャンネル登録者数も約1.5倍に伸び、曲が炎上してもなお増え続けている。
実はあのアルバム全体を通しても、「しぐれういとリスナーの関係性」を歌っていることがはっきりしている曲ってこの曲だけで、実際しぐれういは通常時でもガチ恋勢などしかるべきコメントをするリスナーに対しては割とこんな感じ。
さらに、この曲の成り立ちを真に理解するためにはしぐれういというVTuberのヒストリー(特に罰ゲーム配信)の知識が必須であるが、彼女はそのための配信も繰り返し実施している。
よって「しぐれういリスナーにとって、配信と地続きの雰囲気であり共感しやすい」「新参にとってもこの曲の解説(切り抜きだとしても)を聞くことがチャンネルのイントロダクションとして機能するため入りやすい」というところが、この曲でしぐれういに初めて触れた人もきっちり取り込んでいる要因のひとつのような気がする。