「時代に遊び心が求められてる」ホームメイドバンド“yonawo”が伝授するチルの極意

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共同生活を営む“Yonawo House”という環境

──そういう音楽を共有する感じは、東京に来てみんなでYonawo Houseに住むようになってから加速しましたか?

斉藤 福岡の頃もスタジオがあったし、こういう感じは昔から変わらないかも。

──では、東京に出てきたことも劇的な変化ではなかった?

野元 僕らの関係性に劇的な変化はないけど、東京に来たこと自体は劇的でした。東京に来て、今までやってきたことの積み重ねを形にしやすくなったというか。 ──生活と音楽がより結び付いた感じですかね。逆に、共同生活で喧嘩とかはしないんですか?

田中 個人的には、もうちょっと共有スペースとかキッチンとかを綺麗に使ってほしい、みたいのはありますけどね(笑)。

──例えばゴミ出しとか洗濯の役割分担とかは?

田中 特にないんです。食器を洗うとか洗濯するとかは、基本的に自分がやることが多いんですよ。でもまあ、一人暮らしの時とやってることは変わらないから。例えば料理したい時に使った食器が洗われてなくて「おい〜これから飯つくりたいのに」って時もあるけど(苦笑)。でもそういうのって自分自身にも言えることだから、別に怒ったりするほどのことでもないっていう。

──すごく大人な考え方ですね。

田中 そうですかね。でもまあ、言いたいことが、ない、ってわけじゃないんですけど……

荒谷 続きは家で話そっか(笑)! 共同生活を始めた最初の段階で、ルールを決めるか、みんなで話し合ったんですよね。

斉藤 そうそう。共同生活してる先輩に聞いたんです。そしたら、ルールを決めるとそれが原因で喧嘩になるってアドバイスをもらったので、今のスタイルになりました。

「俺らはバンドだし、4人でやる意味がほしい」

──東京に来て1年ほどが経ちましたが、現在はどんな心境ですか?

斉藤 あっという間でしたね。いつでも制作できる環境になったのがデカいです。

──いつでも制作できることは、逆にストレスにはなったりしてませんか?

斉藤 制作は楽しいです。スケジュールに余裕がない時は少しストレスを感じるけど、音楽をつくること自体は全然ストレスじゃない。

──荒谷さんは、東京に来てから制作がセッション的になってきたと別のインタビューで話されてましたね。

荒谷 自分のエッセンスは歌詞と歌で出せるから、その他の部分は3人に任せたいんですよ。これは昔から感じていることだけど、俺らはバンドだし、4人でやる意味がほしい。Yonawo Houseに引っ越してきてからは、そこが実現できてる気がしますね。

──役割が融解した結果、みんなで一緒にやるみたいな?

斉藤 ……どうだろう、わかんないっす(笑)。なんか場合によるんですよね。曲によってつくり方も進め方も全然違うから、その時々で一番あったやり方で制作してるって感じですね。

──yonawoはみんな思考がすごく柔軟ですね。それがyonawoらしさなんだと思います。

時代に、遊び心が求められてる

──最後に、そんなyonawoのみなさんにとっての「リラックス」ってどういうものですか?

斉藤 いいことしかない。

荒谷 うん。(リラックスすることで)自分を表現できる。過度にストレスがかかると歌詞もメロディもあんま出てこない。負のスパイラルに落ちます(笑)。

斉藤 それこそお酒飲んでる時とか、自然体の時に自分の中から出てくるものを形にすることが多いですね。

田中 自分の中に溜めてきたアイデアが音になるとすっきりするんですよ。でもこれって、人それぞれだと思う。

野元 うん。僕は、何もしないといつまでも何もしないタイプなので、オンとオフのスイッチを入れる行為をしますね。コーヒーを淹れて飲んだり。緊張と緩和のカクテル。その時間って必要ないようにも思えるけど、何も考えないでいる時間を挟むことで切り替わる。僕はその何も考えてない、何もしてない時間が本来一番好きです。 ──メンバーによってもやはり考え方は違っていますね。ただ、今では10-20代を中心に当たり前のように、リラックスした状態を意味する「チル」という言葉がしきりに口にされるようになりました。なぜ「チル」という言葉がカジュアルに使われるようになったと思いますか?

荒谷 「チル」の語源になってる「Chill Out」って、スラングで“たむろする”とか“遊ぶ”みたいな意味もあって。俺はリアルタイムで経験してないけど、前までは、仕事っていうととにかく根詰める美学を指していたと思う。でも現代は、その時代とも違うストレスがある。

だからこそ、自分のような仕事をする人間には遊び心が求められている気がするんです。それをみんな「チル」って表現してるんじゃないかな。俺自身もそういうものをつくりたいと思ってるし。

野元 きっと現在の「チル」に相当するものは昔もあったと思うんです。タバコとかお酒とか。そういう意味でCHILL OUTは人生のいろんな瞬間に一息いれるための最新アイテムなのかもしれないですよね。
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宮崎敬太

編集/ライター

Twitter:@djsexy2000
ポートフォリオ:https://note.com/keita_miyazaki/n/n8c862778bf9c

1977年神奈川県生まれ。2015年12月よりフリーランスに。K-POP、日本語ラップ、ダンスミュージック、ロックなどオールジャンルで執筆活動中。映画、マンガ、アニメ、ドラマ、動物も好き。主な媒体はFNMNL、TV Bros.、ナタリーなど。担当連載は「レイジ、ヨージ、ケイタのチング会」と「ラッパーたちの読書メソッド」。ラッパー・D.Oの自伝で構成を担当した。

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