RTA in Japanインタビュー ゲームのクリア時間を競う「学会とオフ会のような晴れ舞台」

e-Sportsというより学会発表でありオフ会の場

──「RTA in JAPAN」のTwitchやYouTubeのチャンネルは他のイベントに貸し出したりもしています。こうした活動の意図をお聞かせください。

Naka 基本的にRTAを広めたいというか、こういう遊び方もあることを知ってもらって、シーンを盛り上げたい意図があります。

要はお互いがWin-Winになる感じ。「RTA in Japan」の多くのフォロワーを生かしてもらうのは全然いいと思っています。どんどん使って、興味・関心を抱く人を増やしてくださいと。

実際に「RTA in Japan」の走者でそちらのイベントに出た人や、個人配信の視聴者が増えてTwitchのパートナーとして認められた人も多いです。

──これまでの開催で、RTAによってゲームの新たな魅力や、ゲームの深みが見えたタイトルはありますか?

Naka 『スーパードンキーコング』のリバースボスオーダーですね。

普通、1面2面とステージを進んでいくじゃないですか。ところがリバースボスオーダーでは、本来は最初から行けない6面のボスから攻略していくんですよ。そこから5面、4面と逆に進んでいくんです。そんなの想像できないじゃないですか(笑)。
RTA in Japan 2019: スーパードンキーコング
──確かに発想すらしないですね。

Naka ただこれは日本語版ソフトじゃできないらしいんですよ。海外版ソフトを買ってやったという。ソフトの初期版・後期版とバージョンを見て、細かい修正が施される前のソフトからバグを見つけていくんです。

──昔のカートリッジやCD-ROMのソフトだからできたことですよね。

Naka いまだったら自動アップデートでなくなりますから。逆にバージョンを更新しないでバグを残している人もいます。

──現在、国内でもe-Sportsへの注目が集まり、『Apex Legends』や『VALORANT』の大会には数十万人の視聴者が集まるようになっています。RTAは突き詰めればe-Sportsになり得ると思いますか?

Naka 海外では賞金を出して開催されるイベントもあり、e-Sportsとしての側面を持つ場合もあります。そこは国内と海外との文化の違いかなと。

僕らのやっているイベントは大会というよりショーケース――いろいろなゲームを選んで披露する場なんです。例えるなら、学会の発表のようなイメージです。「新しい発見をした」とか、「これだけの結果が出た」とか、研究成果を披露するような立ち位置に近いと思うんですよ。

──学会の発表とうかがって、何か腑に落ちるものがあります(笑)。

Naka 参加する側も選んだゲームを日々練習してきたすごいプレイヤーですし、視聴者もそうしたプレイを求めて観にきていますから、そんなに人を罵倒する環境ではないんですよね。視聴者の皆さんにとってもやっぱり殺伐としていないのがいいんじゃないでしょうか(笑)。

あとは大きな違いで言うと、RTAに選ばれるタイトルのほとんどは対戦ゲームじゃないんですよね。ソロでプレイするゲームばっかりで。e-Sportsってほとんど対戦系じゃないですか。

僕がこういう取材でお伝えしているのは「彼らがやってるのはバスケや野球。僕らがやってるのは水泳や陸上競技なんだ」ということです。要は自分との戦いなんです。

他のプレイヤー同士「どうやってうまくなるか」という話をしていくので、敵対的な発言がないんです。記録が出たら「すごい!」って言いますし、出なくても「頑張ったね」っていう感じなんです。

──最後に8月に開催される「RTA in Japan」の見どころなどを教えてください。

Naka 今回、新型コロナウイルスに配慮して、会場でもオンラインでも開催するというハイブリッド形式でイベントを行います。実際に会場に来られる方は気をつけて来場してください。 僕としては「RTA in Japan」はオフ会の面も強くあると思っています。

イベントをはじめるまで、別コミュニティの繋がりってほとんどなかったんですよ。『ゼルダの伝説』や『スーパーマリオ』とか特定タイトルの内側に固まっている印象だったんです。

でも「RTA in Japan」によって「実際にこういう人たちがいるんだ」と、別のゲームをやっている人同士がコミュニケーションする場として成立していると思うんですよ。

ネットで配信をやっていると実際に会う場ってないじゃないですか。だから年1〜2回会って「おー! どーもどーも!」みたいな。そういうコミュニケーションの場として運営していければいいなと思っています。
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